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10話 目指せ!ロシナンの町

勇者との激闘を終えた次の日に、俺は魔王様に呼び出されていた。


コンコン。


「山田です」

「どうぞ」

「失礼します」


ガチャ。扉をあけて山田が魔王様のいる部屋に入っていく。


「山田くん、わざわざ来てくれてありがとう」


「まぁ呼ばれたらそりゃあ来ますよ」


「今日来てもらったのは、とあるお願い事をしたいと思ってね。」


「勇者パーティの討伐なら嫌ですよ?」


「違う違う。石田さんいるでしょ?石田さんの情報収集を手伝って欲しいのよ」


「そんな事、魔王様が直接僕に言ってくるんですか?そういうのは所属長から言われるものだと思ってました」


「今回はちょっと特別でね。昨日勇者パーティ撃退したじゃない?その関係で、ちょっと近隣諸国がざわざわしてるんだよね。まぁ近隣っていっても人間の国なんだけどね。それでの偵察に行って欲しいんだよ。ほら僕たちじゃ入れないから」


「なるほど、分かりました。それで行って何をしたら良いでしょうか?」


「それは石田さんに聞いておくれ。詳しくは彼女が知っているから。明日にでも良いから今日は帰ってしっかり休んで、明日からかなりハードになるから」


「分かりました。明日石田さんに聞いてみます。では、失礼します」


次の日、石田さんの元に行き魔王様に言われたことを伝える。


「山田くん今回は近くの【ロシナンの町】という人間の国に行って欲しの。まぁ休暇の旅行と思って欲しいわ。勇者を撃退されたと噂が広まっているの。それで、人間たちがどう動くかを見てきて欲しいのよ」


「どう動くかですか?」


「そう。1番は町長とかに会えたら良いけど、無理なら酒場とか宿屋とかで情報を集めてきてちょうだい。ツブヤッキーだけではカバーできない部分があるのよ」


「わかりました。いつからいけば良いでしょうか?」


「今から行ってきてちょうだい。馬車で近くの場所まで連れてってもらうわ。まぁ近くと言っても数時間かけて人里離れた場所行ってそこから歩いて3週間かかる場所だけどね。」


外に出て馬車に乗り目的地に向かう。


あたりは毒の池やすごい尖っている山などアニメや漫画の世界の魔界と同じ感じだ。


「旦那、着きましたぜ。ここから西に歩いて行くと大通りに出ます。出たら山が見えますので山に向かって歩いてください。その山を越えたら目的地の町でございやす」


「ありがとうございます。助かりました。」

(ここから3週間も歩くのかぁ地獄だな)


荷物は1週間分の食事とナイフとテントと寝袋


(道中で水とか食料は確保しておかないとな)


歩いてると大通りに出た。大通りに出たが、山なんて一切見えない地平線が広がっている。


「山なんて全然見えないじゃないかッ!どんだけ目がいいんだよ」


進んでいると1台の馬車が通った。


「すいません」


だが、馬車は止まらない。山田は全力で走り馬車を追いかける。


「すいませーん!止まってくださーい」


すると馬車がゆっくりながら止まってくれた。乗っていたのは見た目80歳越えのおじいちゃんだった。


「なんか言ったかい?」


「ハァー、ハァー、止まっていただきありがとうございます。ロシナンの町に行きたいのですが、方角はあってるでしょうか?」


「ロシナンの町?はて、、、ロシナンの町。あぁー知っとるよ」


「方向はこっちであってますか?」


「合っとるとも、合っとるとも。わしも丁度ロシナン町に仕事で行く途中じゃ」


「よかったら乗せてもらえませんか?」


「わし、そぉいうことはせんと決めてるんじゃ、今までもこれからも誰かを乗せることはありゃーせん。」


そう言い残し馬車は本当に行ってしまった。


「糞じじぃめ。次会ったら覚えとけ、絶対に許さねー」


まぁ方角が分かったことだけでも良しとしよう。歩いていると山がうっすら見えてきた。だがまだまだ遠い。ひたすら歩いてると夜になったのでテントを張りご飯を食べる。


「明日か明後日には山に入れたら良いな。そしたら水や食料が手に入るかもしれない」


気づいたら寝ていて朝を迎える。テントを片付け歩き出す。そして夜が来てまた寝る。それを3日間繰り返した。


「山に全然着かねーじゃねーかよッ。どんだけ遠いんだよ!ってか遠くから見えるってどんだけでかい山なんだよ」


結局山に着くまでに魔王城を出て1週間かかった。山の標高は9,000m。あのエベレストより少しだけ大きい。山に着くまでに食料がなくなってしまった。


「野生の動物とかいれば良いな。あとは川を見つけて水の確保と水浴びをしたいな」


山に入りひたすら山を登っていく。だんだん暗くなって行くが良い感じにひらけた場所に出れないのでテントを張ることが出来ない。ひたすら暗い山道を懐中電灯の明るさだけで進んでいく。すると洞窟を見つける。


「今日はここに入って寝るか。食料は無くなってしまったから、明日は山を登りながら食料を探すか」


次の日の朝、上と下を見ながら歩き食料を探しながら歩く。すると小さいが水が流れる音がする。


「川が近くにあるんじゃないか?魚もゲットできるかもしれないぞ」


山田はかすかに聞こえる水の音を頼りに木々を掻き分けて歩く。10分ぐらい歩くと目の前に川が広がった。穏やかな流れの川で中には魚がたくさん泳いでいる。上空には鳥が飛んでいて、泳いでいる魚めがけて急降下する。見事に獲物をゲットした鳥は遠くに飛んで行ってしまった。


山田は川の近くに行き水を顔をつけゴクゴク飲んだ。


「冷たくてうめぇー!生き返るッ。魚を獲りたいなぁ。」


木の枝をナイフで切り、やらかい蔓を伸ばして先っぽに付けたら手製の釣竿の完成だ。餌は虫を捕まえて蔓で縛る。川にゆっくり入れてあとはひたすら待つ。


「釣ったら食べれるように火を起こしておこう」


ライターで落ち葉に火をつけて乾いた木の枝を入れて火を強くする。良いぐらいの火力になったので釣竿の方に戻ると先がピクピクしている。


「反応してるぞ。うりゃー!」


竿を一気に上げすぎて魚が逃げてしまった。餌も持っていかれて、踏んだり蹴ったりだ。


「まじかよ。1度冷静になろう。釣りの基本思い出そう。魚が餌に食いついたら落ち着いて少し様子を見て、糸を引いたらアワセて全力で引っ張るだったな。良し次こそは釣ってやる!」


餌をつけて川にゆっくり沈める。そして待つこと5分。竿に反応があった。


「落ち着け俺、、、まだだ、、、今だッ」


勢いよく上げた竿には魚が1匹くっついてきた。


「よっしゃ〜ッ。ゲットだぜ!」


早速捕まえた魚の調理を開始する。

まず腹の部分に切り込みを入れ内臓を取り川で綺麗に洗う。次に持ってきた塩をまんべんなくかけて、細い木の枝に縦にジグザグに刺す。そして焚き火の近くに刺して焼けるのを待つ。水分が落ちて無くなるまでしっかり焼いて完成だ。


「いただきます。」


一口食べる。あまりに美味いため、口の中のやけどなど御構い無しにひたすら食べる。食べ終わるのに5分とかからなかった。山に入っての初めての食事になるこの魚に感謝する。


テントを片付け、火を消して川沿いを上流に向かってひたすら歩く。1週間かけて山を越えた。すると辺り一面に広がる草原に出た。一応、人が通っていると思われる道はあるのだが、辺りには草しか見えない。


「きた道に出ちゃったのかな?もしかしてどっかで道を間違えて戻ってきちゃったのかな?」


すると馬車がゆっくりこちらに向かってくる。

山田は思い出していた。止まってくれなかった爺さんの事を。



「すいませーん。道を聞きたいのですが、止まってください」


横からではなく前に行き通せんぼをしながら言う。すると馬車は止まる事なくそのまま突っ込んできた。


「あぶねっ!止まってください」


ドンッ!


馬車に轢かれかけたのをギリギリでかわし側面に蹴りを入れた。山田は武術を嗜んでるわけでもなく、筋力トレーニングをしているわけでもないので、当然吹き飛ばされた。


「ありゃ?何か引いたかの?」


聞き覚えのある声がする。

あの時の爺さんだ。あの時の爺さんがロシナン町の用事を終わらせ帰るところだった。


「こりゃー、こないだの若造ではないか?やっとここまで来たのか」


「あんたが乗せてくれてたら今頃俺は宿屋のベッドで寝てたんだよ!」


「ワシは誰1人としてこの馬車に乗せることはない!」


「じゃあ方向とどれぐらいの日数がかかるか教えてもらって良いですか?」


「歩いて行くなら1週間じゃな、馬車だったら3日で着く」


「じゃあ、馬車に」


「乗せん、てかワシはもぉ帰るんじゃ。そもそも逆方向のロシナンの町には行かんのよ」


「食料と水が底を尽きています。なにか貰えませんか?」


「それならこの道を進んでいけば、野生の動物もおるし川だってある。食べれる虫もいっぱいおるから問題ないぞ」


「糞爺め」


「じゃあのー。ワシは馬車でのんびり帰るとするかのぉ」


馬車はゆっくり進み出す。山田は呆然と眺めていた。【山田は二度と会いたくないランキング1位を更新した】


「ここをまっすぐ行っても1週間かかるのかぁ、、これって滞在と往復を合わせて2ヶ月の旅じゃん。給料って出るのかなぁ、、、」


途中、川で水を飲みに虫を捕まえて、嫌々口に入れる。


「意外に美味しい」


特に幼虫は焼いたら外はカリカリ中はトロトロでとても美味しい。虫と動物を交互に食べて、川の水を飲みながら1週間なんとか歩ききり無事にロシナンの町に到着した。


「やっと着いたー!まずは宿屋で寝て、明日から活動開始だ」

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