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おーががよーじょか  作者: おつくん
7/14

はじめてのかぞく

申し訳ねえ...ただ申し訳ねえ...


こいつ(トラ)には布団がわりに温めてもらったりメシをもらったりと

かなり世話になったというのに...


名前が「ぱんつ」って...

まさか呟いただけで決定するとは思わなかったんだよ...



「ご、ごめんなあ?」



「ガルア!がうあうがーう!!」




あ、あら?意外と嬉しそう?



「おまえそのなまえでいいのかよ?」



「がうあう!」べろべろ



「ううう...ぱんつぅー!」




なんていいトラだろうか!

感動してくっせえのも気にせずぱんつとじゃれあった




俺がこの世界で生きて行く上でぱんつはとても重要な存在だと思う

ぱんつがいなけりゃおれはまだ腹を空かせていただろう



おそらくぱんつはこの森の生き物のなかでもかなり強い方なんじゃないか?

豚の化け物とか一瞬で仕留めてたし



とにかくクソ地蔵も頼りになりそうにねえし

俺はまだ死にたくねえ!

この世界でなんとか生きて行くしかねえんだ!



「うっし!ふたりでがんばろーな!

ぱんつ!」



「グルルオ!」



メシはぱんつがとってきてくれるし

鑑定スキルで安全なものを食べられるはずだ


水も泉のもので問題ないだろう



となると次の目標は...



「ぜんらはなあ...まずいよな」



やはり服だろう

全裸はむしさされとかこわい

絵的にもようじょの全裸はよろしくない



うむむ....しかし服ってどうすりゃいいんだ?


毛皮とか?ダニとかこええな

なめし方とかまったくしらねえし


布...いちから作るのは難しいなあ


店に行って買うだけとはなんと便利な事だったのか実感するぜ...



「んあー!くそ!どうにもならねえか...なあぱんつ

おまえふくってしってるか?」



「があ?」



「ほらこう...なんかひらひらっとしててさ!やわらかくてあったかいんだ!」



わたわたとジェスチャーでぱんつに伝えようと頑張る



んんん、流石に無理か!

なんとかして俺の言ってること伝わんねえかなあ...


「が...がうがう!」


やけくそでぱんつの鳴き真似をしてみる


「!!がうおう!!!ガルルルア!!!」


____________________________________


【ようじょの力】


実績解除を確認しました


【スキル】


ふぃーりんぐとーく


を習得しました


異種族間会話が可能になりました


____________________________________


ぱんつは俺に背を向け腰を下ろす


「がうあう!!」



「な、なんだ?のればいいのか?」



ぱんつの背中に腹ばいでしがみつく




ギュオ!!!!!



「わわわわわわ!!!」


ぱんつは猛烈な勢いで走り出した

景色が線になってみえる!

どんなスピードだ!!



「あばばばばばば!!」


なんとかぱんつの体にしがみつき落ちないように耐えること5分



ぱんつは謎の洞穴の前で急停止


どしゃ


「おえええ....うっぷ...」


グロッキーなおれを置いてぱんつはホイホイと洞穴へ入っていき

すぐに何かをくわえて戻ってくる



「グルルォ!」


どさっとぱんつがおれの前に落としたものは布の袋だ



これは...開けてみると中身は男物の服や革鎧、短剣...なんか猟師とかが使いそうなものばっかりだな


洞穴をちらりとみたら壊れた弓や鎧に折れた剣なんかもみえる



「お、おまえこれって...」



「がうあう!!(たまにやってくる

にんげんをおどろかせたらおいていくの!)」



「うおおおおお!!!!」



びっくりしたあー!!!

ぱんつの言ってる事がわかるぞ!?




「があ?(どしたのおねえちゃん)」



「おねえちゃん!?...いや、なんでもねえよ...ただちょっとびっくりしてな...」



そうだ、びっくりしたが意思の疎通ができるのはすごく助かるぞ!


...つーかぱんつおまえ....

猟師の身ぐるみ剥いでんのか

かなりやんちゃしてるな...



「ま、まあなんにせよふくがてにはいった!

よくやったぱんつ!ありがとう!

たすかったぞ!」


わしわしとぱんつの頭をなでた



「グルル!(えっへん!)」



とりあえずこの服は...うん、やっぱりおっさんくせえな

泉で洗おう



「それじゃあわるいけどもっかいいずみまでたのむ」



「グルルア!(はーい!)」



____________________________________


泉で服を洗ったらやたら綺麗になった

驚きの白さだ


しかし、服のサイズだぼだぼなんだよな...


どうしよう...


そうだ!ひとまずはこの袋をでかい布にして...


体に巻きつけとこう


うん、古代ローマっぽいな


「そーいやこのせかいにもにんげんっているのか...」



この世界はファンタジーだ


少なくとも鬼がいる、今まさにここに

俺も元々は鬼として生まれるはずだったらしいし

他にもモンスターがたくさんいそうだ


俺も...モンスターだよなあ


自分の姿を泉に映す


ツノが生えてはいるが

見た目はようじょだしいけるんじゃないか?


瞳が青く肌は褐色、髪は紫だが

そこはまあファンタジー世界だしおかしくはないだろ....たぶん


布を頭に巻いてツノを隠せば...

おお!もう人間じゃん!

いけるんじゃないのかこれは



俺がそんな事をしているとぱんつがなんだか心配そうな目でおれを見ている



「どうしたぱんつ?」



「クゥゥア....(おねえちゃんはにんげんとなかよくしたいの...?)」



「ど、どうしたいきなり」




「グルルォ...!ガルルル!(にんげんはきらい!にんげんはわたしのだいじなものをうばうんだ!)」


尋常じゃないぱんつの様子に驚く



「...なにがあったんだ?」




「グルルォ...グルルル...(むかしにんげんがもりにきたの

わたしたちのけがわはとってもつよいそうびになるんだとかいってた


おかあさんはわたしをどうくつにかくして....そのにんげんに....)」



...!!....そんなことが!


「クゥゥ...(おねえちゃんにんげんのところにいっちゃうの...?)」



「お、おれは...」



すぐに答えなかったのがいけなかったのか

ぱんつは興奮した様子でおれに頭を擦り付けながら叫ぶ



「グオオオオ!グオオオオ!(だめだめ!いっちゃだめ!またわたしひとりになっちゃう!もうひとりぼっちはイヤ!!)」



「ぱんつ....」


...あほか俺は


孤独の辛さなら自分だってよくわかってるはずだろうが

こいつとは...ぱんつとは会って間もないけど

今まで俺とこんなに仲良くしてくれたやつはいない

なによりおれの初めての友だちだ



「だいじょうぶだぱんつ

おれはどこにもいったりしない

おまえといっしょにいるよ」



「グアアォウ!?がうがあ!

(ほんと!?わたしのおねえちゃんでいてくれるの?)」



「ああ、やくそくだ

おとこににごんはない」



__________________________________


【称号】


おねえちゃん


を獲得しました


ぱんつが妹になりました


__________________________________



「ガルルル!ガルルル!(わーい!おねえちゃんおねえちゃん!)」


べろべろべろべろべろ



「だああああ!それはやめろ!!」



この森でこいつと仲良く暮らしていくのもわるくねえかもな...


そんな事を考えいたおれは





ドッッッッッ!!!




ぱんつに飛んできた矢に気がつけなかった

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