06
遅くなりました
「「リュウキ様、お疲れ様でした」」
アンナとアンネがそういってお辞儀をした。
「あぁ、使用人たちを集めてくれてありがとな」
ぐぅ〜
「「「………」」」
朝食を食べていなかったためか、とうとう腹の虫が騒ぎ出してしまった。
「ところで、朝食ってどうすればいいんだ?」
そう。朝食を食べていないのだ。
報告を優先するあまり、朝食を食べていなかったため、腹の虫がならないかと心配になっていたのだ。
「「あ、はい。わかりました」」
一瞬あきれるような顔が見えた気もしたが、気のせいだろう。気のせいだと思いたい。
「リュウキ様は食堂にてお待ちください」
「すぐに朝食の支度をさせましょう」
「頼むよ」
俺はそう言って食堂へと向かった。
―――――
朝食を食べ終え、紅茶を飲みながら、リュージュの記憶の整理や記憶と現在の違いを確認していると、食堂の扉が開いた。
「リュージュ! 無事だったのか!」
そこには知らないおっさんがいた。
「誰だお前は」
「ぐはっ!!」
ただ身元の確認だったが、なぜかおっさんは胸を押さえて蹲った。
「ほ、ほぼ毎回のこととはいえ、ひどいじゃないか」
知らないやつにそんなことを言われても困るだけだった。
試しにリュージュの記憶を覗いてみるが、こんな見た目の知り合いはいない。
「本当に誰かわからないのかい?」
その時、彼の体が突然強い光に包まれた。
「ボクのことを忘れるのはひどいじゃないか」
だんだんと声が高くなり、言い終えると同時に光が収まる。
「一時期は一緒に旅もしていたのにさ」
そこにはきれいな青髪を短く切りそろえ、活発的な印象を持たせる少年が立っていた。
「これでわかるよね?」
先ほどと同様にリュージュの記憶を覗くが、こいつに似た少女しか出てこない。
「ウィニー……」
「そうそう!」
「の双子の弟か?」
「そんな弟はいないよ!」
その言葉とともに、頭部に強烈な痛みが走った。
「もう、ウィニーだよ、ウィニー」
「え? だって、ウィニーは少女だろ? どう見たってお前は少年じゃないか」
次の瞬間、頭上から大量の水が降ってきた。
「それはボクに魅力がないってこと!?」
「そりゃ男子に欲情したらまずいだろ、男として」
「だから、男子じゃないよ!」
「……え?」
その言葉を信じることが出来ず、いろいろとじっくりと見る。
だが、やはり女性特有のふくらみどころか、女であると確認できる情報が一切ない。
「……はぁ………」
「そんな目で見るなー!!」
そんなことを言われても、どう見ても男子というか、少年にしか見えないからしょうがない。
「むむむ……こうなったら………」
「そういえば、俺のことをリュージュと言っていたが、別人だぞ?」
彼が入ってくるときに言っていた言葉を思い出し、俺はリュージュではないことを伝える。
「え……嘘、だよね?」
「まあ、リュージュの記憶も持ってはいるが、一部はあいつが消していったし、全てを理解しているわけでもないから、別人と言っていいだろ」
「そんな……」
ウィニー(自称)はその場に膝をついた。
皆さんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。