入校初日
大抵の合宿教習所は、入校したその日から学科と技能教習が行われる。
入校の手続き等が終了したのが午前11時。この日から私の普通二種免許取得のための悪戦苦闘の1週間が始まることになる。
卒業検定は1週間後の日曜日。
卒業検定まで、たったの1週間しかないのである。
その1週間で、お客の生命を預かるタクシーやハイヤー、介護タクシーを運転することが出来る普通二種免許の運転技能を徹底的に学ぶわけである。言い換えてみれば、運転技能を教える教習所教官も、たったの1週間で普通二種免許の運転技能を習得させなければならない責務を負う。だから率直に言うと厳しい指導となる。
そこには、生半可に教えることの出来ない役割、
『旅客の生命を守る運転技能を習得させる』
という重大な使命を負っている訳である。
教官の指導が教習生の運転となる。教習生は教官の指示指導を受け自らの運転技術を向上させる。いや、運転技術だけではない。運転中における歩行者の保護を通して、生命の尊さを学んでゆくのだ。
南湖自動車学校に於ける卒業生の交通事故率の低さが、県内、いや、全国でも知られているところに、教習所教官の指導が徹底していると裏付けることが出来るのである。
私は、手元の、
『教習スケジュール』
に、目を通した。
午後2時から、
学科①
となっている。
その後、午後3時から、引き続き、
技能教習①
午後4時から、
技能教習②
である。
時計の針は、午前11時30分を指していた。
私は、共に入校した埼玉県出身と自己紹介された青年と、表の喫煙所で話をしながら辺りを伺った。
喫煙所は、教習所内のコースに面しており、数名の若者が技能教習に励んでいた。奥のコースでは、大型車、けん引車、バスの技能教習が行われている。
皆、真剣そのものの表情である。
笑い声を上げながら、数名の教習生が喫煙所にやってきた。
皆、普通車免許を教習しに来ているらしく、仮免がどうのこうのと談笑していた。
私は、あまり若者達と会話をしなかったが、皆、朝会ったら、
「おはようございます」
と、きちんと挨拶してくれた。
皆、しっかりとした素晴らしい若者達であり、若者達のその姿が、千葉県立千葉大宮高等学校(更生前科二犯43歳の現役高校生参照)で共に学んだ生徒達と重なった。