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運転免許経歴書

合宿教習所代金を振り込んだ私は、その足で本籍地記載の住民票を取りに千葉駅前の区役所の出張所に赴いた。住民票を取った私は、急いで千葉駅構内の『立ち食いそば』で空腹を満たし、総武線各駅停車に揺られ免許センターにほど近い、


『幕張本郷駅』


に降り立った。


しかし、電車で免許センターに行ったことのない私は、どこの乗り場からバスに乗ったらいいのかわからず、お上りさんみたいに、キョロキョロとバス乗り場を探し回ったが面倒くさくなり、


「あのう、免許センターに行きたいんですが、どこで乗るんですか?」


と、お婆さんに尋ねた。


お婆さんは、


「免許センターかい?ああ、あそこだよ」

「なんだい、兄さんは今から免許の試験かい?」


と、親切に教えてくれた。


「はい。まあ、そんなところです。ありがとうございました」


お婆さんは、ニコニコと、


「頑張るんだよ。試験は難しいからね。大丈夫、きっと合格するさ」


と、励ましの言葉をかけてくれ、背を向けて歩いていった。


私は、学科試験を受けに来ていると勘違いしている、お婆さんの後ろ姿に深く頭を下げ、改めて合宿教習にかける意気込みが強くなったことを胸の内に感じた。


免許センターに到着した私は、二輪試験場入り口の奥にある受付に行き、運転免許経歴書の書き方を教わった。


「運転免許経歴書ですね。それでは、こちらの用紙に、お名前とご住所、違反による取り消し等の年月日、あと運転免許証を拝見いたします」


と、丁寧に教えてくれた。


教えられたとおりに記載しながら、


「あの、いつ頃できるのですか、運転免許経歴書って」


と、私が尋ねると、受付の事務員は微笑みながら、


「うーん、来週になるかな」


「えっ、来週ですか、あのう、今週土曜日から合宿で福島行くんですが」


「大丈夫っ。教習所に送るから。この封筒に教習所の住所書いてねっ」


と、はにかんだ。


出発は明後日に迫っていた。

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