「Doubt!」 -RIGHT SIDE-
「LEFT SIDE」は読まれましたか?
では、どうぞ。
そうでなければ、読後に是非、
「LEFT SIDE]も。
【RIGHT SIDE】
<キャスト>
月曜の女 仕切る
火曜の女 軽薄
水曜の女(※男が演じる)??
木曜の女 ちゃかす
金曜の女 キレやすい
土曜の女 お気楽
日曜の女 気弱
祝日の女 天然
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静かに溶明
緊迫した面持ちの女8人が立っている
月 「・・・・・テレビ」
火 「・・・洗濯機」
水 「パソコン」
木 「車」
金 「どっち?」
木 「ベンツ」
金 「じゃ私はアウディで」
土 「(上を指差し)これ」
月 「どれよ」
土 「このシャンデリア」
祝 「(笑って)ちょっと、持って帰れるの?」
火 「そうよ、ルールでは」
土 「持って帰れればいいんでしょ。なんとかするわよ」
日 「・・・(消え入りそうな声で)犬」
金 「え? なんて?」
日 「(半泣きで)えっと、あの・・・い、い・・・ぬ」
祝 「犬だって」
一同 「はぁあ??」
水 「犬ってありかしら?」
火 「あれ高いわよね」
木 「なんだったっけ、まぐか、マグカッププー?」
月 「なんだっていいでしょ、ルール内なんだから」
金 「まあ、そうね」
祝 「次、私ね。えっと・・・あ、あの置時計! まだよね?」
水 「ええ」
火 「そんなんでいいの?」
祝 「いいの、可愛いから! ハイ次、月曜さん」
月 「ああ、じゃあ・・・ て、その『月曜さん』ってやめてくれない?」
祝 「だってそうじゃない」
火 「ええ。私、火曜だし」
水 「(手を挙げ)水曜」
木 「(同じく手を挙げ)木曜」
金 「(イラっとし)そうよ、私たち日替わりの女よ! 今更それがどうした
の?!」
火 「ちょっと金曜、うるさい」
金 「金曜、言うな」
水 「じゃ、金ちゃん」
木 「ぷぷ。(欽ちゃんのモノマネ)」
金 「馬鹿にしてんの?!」
月 「静かに! これまでルール通りにやってきたんだから、最後くらい
もめない」
火 「仕切るね、月曜」
月 「でもさ」
金 「なによ」
月 「なんかおかしいのよね」
水 「なにが?」
月 「なんか違和感があるのよ」
祝 「なにに?」
月 「この状況・・・ なんかおかしいと思わない?」
各々、周りを見渡す
全員、水曜に注目する
一瞬、間
木 「別に」
土 「ねぇ」
祝 「それよりほら、早く続きやっちゃいましょうよ」
火 「そうね。ほら月曜、次は何にするのよ」
月 「うーん・・・ はぁ、もういいわ」
一同 「え?」
月 「なんだか飽きちゃった。興味がなくなったっていうか」
土 「あ、わかるー。私ももういいや」
金 「え、うそ、信じらんない」
水 「欲がないわねー」
木 「あんたよりはね」
水 「失礼ね!」
祝 「あははは、みんな目くそ鼻くそですよー」
月 「あんたサラリと残酷ね」
日 「い、いらないんなら私が全部・・・」
一同 「え?」
日 「いや・・・その・・・」
日曜に詰め寄る一同
と、隣の喧騒に気付き
水 「ちょっと、隣うるさいわね」
火 「大事な話してんのに」
土 「いいじゃん別に」
金 「ちょっと文句言ってくる」
月 「ほっときなさいよ」
金曜、構わず出てゆく
火 「あーあ」
木 「切ーれた切れた(笑う)」
水 「で、日曜ちゃん、なんて言ったの?」
日 「あの・・・その・・・」
祝 「まあまあ、皆さんいいじゃないですか! そんな目くじら立てなくて
も」
一同 「は?」
祝 「日曜さんも、他意があって言ったわけでは・・・ てか自分に正直
って素敵ですよー」
月 「いや、単純になんて言ったか聞こえなかったんだけど」
一同、頷く
祝 「え?」
土 「え、あんた聞こえてたの?」
火 「この子なんて言ったの?」
祝 「えっと・・・ あははは!」
木 「笑ったよ。これ聞きたくないなー」
水 「ま、ほら、日曜ちゃんは前からこんなだし。あまり責め立てないで
あげましょうよ」
土 「水曜はホントいい子よねー」
火 「金曜も見習えばいいのに」
水 「そんな・・・ 金曜さんだって素敵な女性じゃないですか」
月 「・・・やっぱりなんかおかしい」
祝 「だからなにが?」
月 「この状況」
と、金曜戻ってくる
金 「ったく・・・ って、あれ? どうしたの?」
木 「まだ月曜がなんか腑に落ちないんだって」
金 「何に?」
土 「この状況だって」
金 「はぁ? 心配性だね、相変わらず」
火 「で、どうだったの、隣」
月 「面倒起こしてないでしょうね」
金 「ああ、馬鹿が騒いでたから、一喝してやったよ」
月 「なんて?!」
金 「ちったぁ静かにしやがれ!!! って」
日 「うわぁあーーん!(泣き)」
日曜をなだめる一同
月 「(金に)ちょっとは状況考えなさいよ!」
金 「へーいへい。んで?」
水 「なに?」
金 「さっきの続きは?」
火 「ああ、なんかね、月曜がもういいって言ったし」
金 「もういいって言ってもさ」
祝 「飽きちゃったって。沢尻エリカかーって」
木 「あはは、うまいね。てか私ももういいや」
土 「そうね。この部屋のものそれぞれ持って帰ったってたかが知れてるし」
火 「まあ、アレに比べれば・・・ね」
一同、ほくそ笑む
水 「でもね、この部屋のもの、全部キチンと処分しなくていいの?」
土 「なんとかなるんじゃないの?」
水 「でもほら、一応、この部屋も含めて『ボス』の物だし」
間
日 「ぼ、『ボス』の物は、みんなの・・・もの・・・」
月 「・・・そうね。キチンとみんなで分配して処分する。そこまでやって
仕事が完了するってものよね」
水 「そうですよ。『ボス』の女なんですから私たち」
木 「『ボスの女』ね(笑う)」
火 「ま、そうね」
祝 「じゃ、続きー。えっと私はぁ」
金 「ちょっと、次あんたの番じゃないでしょ」
祝 「いいじゃん言ったもの勝ちで~」
土 「いいんじゃないの?」
月 「それよりも」
一同 「え?」
月 「まずこの、さっきから感じている違和感を払拭したいんだけど」
火 「なんなのよ」
月 「なんかおかしいのよ」
一同、また各々顔を見合わせる
最後に水曜に視線が集まり・・・
が、しかし首を横に振る一同
土 「あー!!! わかった!!」
一同 「なになに??」
土 「私たち、日替わりの女よね?」
火 「今更・・・」
月 「それが?」
土 「なのに私たち・・・8人いるわ!!」
一瞬、間
土曜以外、一同爆笑
木 「あんた今更なに言ってるの?」
水 「信じられなーい」
金 「ばーか」
土 「え? なんでなんで? あんた月曜でしょ、火曜・水曜・・・」
と、土曜、次々に指差し
土 「私が土曜で、この子が日曜・・・ (祝日に)ってあんた誰ー?!」
あっけに取られる一同
祝 「わー、今このタイミングでこのリアクション、ざんしーん」
土 「なに言ってるのよ! 誰よあんた!!」
一瞬、間
クスクス笑う者・呆れる者・・・
土 「な、なによ」
月 「ああ、そっか・・・ あんたと日曜はあまり面識なかったわね」
火 「この子は『祝日の女』。各曜日が祝日に当たったらこの子が『ボス』の
担当をしてたのよ」
木 「土曜と日曜は基本当たらないからねー」
日 「無知・・・ふっ」
水 「平日でカレンダーの赤い色の日は、私たちは休みで彼女が替わりに
担当してくれてたの」
月 「一昨年から私が休みの日が増えて、助かったというか面白みがなくな
ったというか」
祝 「でも、ゴールデンウィークとか大変なんですよー。ぷんぷん」
日 「それ以外、休んでる・・・」
祝 「むきー」
木 「なーによ。違和感てのこれ? つまんなーい」
月 「いえ。まだなにか・・・」
金 「ねぇ、思ったんだけどさぁ」
水 「なに?」
金 「『ボス』って、結局なんだったんだろうね」
しばし間
月 「それは考えない。それがルールだったはずよ」
金 「そうだけど」
火 「私たちはキチンとそれぞれの役割をこなし、仕事を成し遂げた」
祝 「それもこれで終了―! ちーん!お疲れサマンサ♪」
金 「でも、私たちの知らない間に、第二・第三の『ボス』が現れたりして。
でもって私たちを今度はハメようとしてたりして」
土 「なに言ってんのよ」
金 「この中に、その『ボス』がいたとしたら?」
間
金 「なーんてね! さてと」
水 「ハメようって・・・例えば?」
金 「え? じょ、冗談よ」
日 「なんかザラザラする」
祝 「うん。ザラザラするよ」
木 「なんなのよ具体的に言ってみなさいよ」
火 「これ? 月曜の言う違和感って」
月 「そう・・・かも」
金曜に詰め寄る一同
と、隣室の喧騒がまた聞こえる
顔をしかめる一同
金 「(助かったと言わんばかりに)私! ちょっと注意してくるから!」
急いで出て行く金曜
月 「どう思う?」
火 「あの子、『ボス』を独り占めしようとしてるんじゃない?」
木 「そのために私たちの不安を煽らせて分裂させようと?」
水 「まさかそんな」
日 「『ボス』を扱うの・・・大変・・・」
土 「わかってるよ、そんなことは!」
日 「うわぁーん」
祝 「もう苛めないでー」
月 「まあでも、一旦みんな『ボス』から離れることに決まったんです。
明日からは全員他人。余計な詮索はなしにしましょう」
土 「でも、最初に『なんかおかしい』って言い出したのは月曜だよ」
月 「そうだけど」
祝 「『ボス』のお陰でこんな美味しい思いをさせてもらったんだもん。
誰でももう一回、味を占めて~ってね」
火 「みんな・・・ そう思ってるの?」
一瞬、間
と、戻ってくる金曜
金 「(取り繕って)あ、あははは・・・ あの隣の馬鹿どもさ、さっき
嚇して写メ撮ってやったんだけど、(携帯を差し出し)今度騒いだら
『ネットに晒すぞー!』って言ってやった。あははは」
一同、沈黙
金 「あ、えっと」
水 「き、金曜さん。まさかあなた『ボス』をみんなに内緒で独り占めしよ
うなんて思ってませんよね?」
祝 「言ったね水曜!」
日 「コロス・・・」
金 「は? 馬鹿言わないでよ!! 『ボス』は私ひとりで手に負える代物
じゃないよ! あんたらだってそうだ! そんな物騒なこと考える
かよ!!」
土 「本当かよ?」
日 「『ボス』のシステムは、私が作った・・・」
火 「そうだ。日曜が最初に作って」
木 「日曜日にね(笑う)」
月 「最終的にこのメンバーで対応することに決まった。それで上手くいっ
たじゃない」
木 「そうだけど」
水 「『ボス』も、それで充分満足していると思うわ」
祝 「満足♪満足ぅ~♪」
金 「私だってそうよ! 今回の報酬に加えて、アウディまで貰えたら充分」
木 「(笑って)ベンツの方がよかった?」
火 「煽るな木曜」
月 「ともあれ、今日をもって『ボス』に関する全ては抹消。これからは
みんな他人。それ以上お互いに干渉しない。いい?」
一同、各々頷く
月 「(金曜に)いいわね?」
金 「私ははじめから」
と、隣室でまた喧騒
金 「ああ、もう!!(出て行こうとする)」
日 「待って!!!」
初めて聞く日曜の大声に驚く一同
日 「さっきの・・・その・・・」
水 「なに?」
祝 「さっきの写メだって」
金 「(携帯を出し)これがなによ」
日曜、金曜の携帯を奪いまじまじと眺める
金 「後で返してよね! あいつらぶっ殺してやる!」
金曜、出て行く
と、しばしして携帯を見ながら徐々に笑い出す日曜
唖然とする一同
月 「ど、どうしたのよ」
日 「(笑いすぎて言葉にならず)こ・・・これ・・・・」
日曜、一同に携帯を差し出す
祝 「え?! なに?」
火 「こ、コイツらがなによ!」
日 「お・・・おと・・・(笑いが止まらない)」
木 「まさかあいつら?!」
土 「隣にいるの?!」
月 「私たちが運営していた闇サイト・・・私たち8人が日替わり管理人、
その名も」
一同 「『ボス』!!!」
一同、爆笑
水 「まさかホントに指定した隣の部屋に逃げ込むなんて!」
火 「怪しむだろ、ふつー」
木 「てか、逆にやばくね? 私ら」
土 「やばいやばい。金曜ほっといて逃げようよ」
月 「まあまあ、彼らのお陰で無事にお宝をゲットできたんだし」
日 「システムを構築したのは・・・私・・・」
火 「わかってるよ! しかし洒落がキツイな日曜」
祝 「3億~~!!」
盛り上がる一同
と、隣室で激しい銃声数発
一瞬、間
木 「死んだかな?」
火 「ま、いいんじゃない?」
水 「それも想定内、なのよね? 日曜ちゃん?」
日 「・・・まぁ」
祝 「さすが!」
土 「どうする? 金曜、待つ?」
月 「今更どっちでもいいけど・・・ でもなーんか、まだ違和感あるのよ
ね」
土 「なにに?」
月 「この状況」
一同、各々を見渡す
水曜に目が留まる。が、スルーして溜息
水 「わからないわ」
頷く一同
月 「ま、いっか」
暗転
了
改稿 2010/0608
こちらの仕掛けた、小気味良いトリックはご堪能いただけましたか?^^;
色々、ご意見お待ちしてます!