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第6話 ~親子丼~

時空竜の母娘、アルさんとミリーが同居する事になったので

提供した客室へと再度移動する事になった。

10畳の純和室なのだが、客用布団こそあるもののその他の家具は

一切置かれていない。

「あ~、布団ぐらいならあるんですけど、他の家具とか必要ですよね?」

「そうですね。エイッ」

必要な家具があれば創造で創ってしまおうと思っていたのだが、

アルさんがパチンと指を鳴らすと同時に室内の様子が一変した。


まず、広さが変わった。軽く倍の20畳ぐらいはありそうだ。

ちなみに後で実際に確認した所、家の外観などに影響は一切無かった。

「客室という限られた空間を広げただけで、その他の家という大きな

 括りの空間には影響しないようにしました」

という物理法則に全力で喧嘩を売る回答だった。


更に、ダブルサイズの木製ベッドやソファーにローテーブルなど

家具までが一揃い創造されていた。

個人的には畳や襖などの和風な部屋に洋風の家具というミスマッチに

違和感を感じまくるのだが、アルさんは満足そうだし、ミリーは

早速ソファーに飛び込んではしゃいでいたので良しとしよう。


自分の創造魔法?でも同じ事が可能だとアルさんから聞いた俺は

二人には自室でゆっくりしてもらう事にして、早速リフォーム?

を行う事にした。


まずは自分の部屋から。しかし広さは変えない。

広すぎても落ち着かないし。その分内装を変更していく。

普通の学習机と椅子のセットを、たまにテレビなどで見る社長室に

あるような豪華な物に変えた。

机はそうでもないが、座ると後ろからは頭が見えないぐらい背もたれの

高いあの社長椅子(正式名称不明)には憧れていたのだ。

実際に座ってみたが、予想以上にリクライニングが効いて快適だった。

あとは布団を羽毛布団に変更したぐらい。

5分ぐらいフカフカの手触りを堪能したような気がする。


続いてお風呂場の改造を行う。

まずは脱衣所のスペースを広げて銭湯の脱衣所ほどの広さにした。

浴室も広さを倍ほどに広げて、約10畳ほどのスペースを確保。

浴槽は檜製で大きさも倍にしてゆっくりと足を伸ばせるサイズに変更。

ついでに湯桶などの浴室用品も総檜製の超豪華風呂だ。

こうして風呂に拘るのは日本人の特性だろう。


調子に乗って次に訪れたのは台所。

こちらもまずは広さを変更して縦長の8畳ほどのスペースを確保。

真ん中に調理台を置いて、片方の壁際には業務用冷凍冷蔵庫を設置。

反対側の壁際に大型シンクとフライヤー、6つ口コンロ、食器洗浄機など

一切遠慮する事なく調理器具を設置して飲食店の厨房並にした。

食に拘るのも日本人の特性として仕方ないと思う事にした。


最後に居間に戻り、座卓を掘り炬燵に変更した所で時計に気づいた。

時刻は18時を指しているが時間の流れは同じなのだろうか?

太陽があれば大まかな時間も分かるのだが、外は真っ白な世界なので

実際に夕方なのか分からない。


客間に戻りアルさんに聞いてみた所、元の世界・ここの世界・新しい世界

全て同じ時間の流れとの事だった。

規則正しい昼型の生活をしないと体調に悪影響があると聞いた事が

あるのでアルさんに相談してみると、またもや指を鳴らしただけで

室内に差し込む光が赤みを帯びた。

庭に面した障子を開けると見事な夕焼けだった。

もう驚きはしなかったが、「なんでもありなんだな」とは思った。


夕方という事で夕食の準備をする事にした。

「夕食作りますけどリクエストありますか?」

「美味しいのー!」

「あらあら。私もお任せするので、見ててもいいですか?」

「台所も広くしたし大丈夫ですよ」

そんな会話を交わして三人で台所に向かった。


取り敢えずの主食として米を研ぎ炊飯器にセットする。

片手間に家事をする程度の男子高校生がそんな凝った料理を

作れる訳が無いので、数少ないレパートリーを脳内検索する。

冷蔵庫から鶏もも肉・玉葱・しめじ・白葱・卵を取り出す。

もも肉は一口サイズにそぎ切り、玉葱は輪切りに、しめじは石突を

落としてばらし、白葱は斜め切りにしておく。

出汁汁として麺ツユ・砂糖・酒を混ぜ合わせておく。


「料理ってこんなに手間がかかってたんですね」

とアルさんが言うので、今まで食事はどうしていたのか聞いてみると

肉塊を創造して丸齧りしてたそうで…。

下手に突っ込めないので乾いた笑いで流して調理に戻る。


鍋部分と取手がL字型になった特徴的な鍋をコンロに掛け出汁汁を注ぐ。

切り分けた材料を鍋に放り込み加熱する。

その間に丼に炊けたご飯を盛りつける。

材料に十分火がとおったら溶いた卵を回し入れて数秒おく。

丼ご飯の上に鍋の中身をズラすようにして乗せたら完成。


お盆に完成した丼を乗せ、箸とスプーンをつけて居間に戻り食す。

「美味しいー!」

「あら、本当に美味しいわ。なんだか優しい味ね」

親子丼は二人にも受け入れられたようだ。

料理名とその由来を伝えると

「私とお母さんだね!」

と満面の笑みで微笑んだミリーに和んだ。

ちなみに新しく造られた掘り炬燵は二人にも好評だった。


途中、二人がスプーンなのに対し、俺だけ箸を使っていた事に

不思議がられ、食後にお箸の使い方教室が始まった。

持ち方と動かし方を教えて、創造した大豆を摘む練習をした。

意外にもミリーの方が先に上手くなり、アルさんが少し悔しそうだった。

その後も負けまいと頑張るアルさんのギャップに和んだ。

それでも早々にコツを掴んでしまった二人はスペックが高いのだろうか?

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