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第1話 ~プロローグ①~

初投稿作品となります。完走目指して頑張る。

とある田舎の限界集落。

総人口は100人にも満たない。

そんな超がつくド田舎で暮らす唯一の少年、伊佐美 哲也 17歳

は今日もいつものように弁当を鞄に詰めると庭先で木刀を振るう

祖父に一言伝えて家を出る。

「じいちゃん、朝飯準備しといたから。行ってくるね」

「おう。行ってこい」

齢70を超えて未だ朝稽古を欠かさぬ祖父は柔剣道併せて6段

という猛者である。


「毎朝の事とはいえ、5時起きはしんどいな…」

なにしろド田舎である家から学校までは日に数本しか走らない

バスを使って片道1時間半はかかる。

幼い頃に両親を亡くし、祖父に引き取られた哲也は出来るだけ

家事を手伝うことにしている。

特に食事に関しては祖父が壊滅的にダメなので、完全に哲也の

仕事となっている。

その為、朝食と弁当を作る時間を逆算して通学時間を加味すると

上記のように5時起きという苦行になる訳だ。


ようやくバス停についた哲也は時計を確認すると一息つく。

(良し。今日も10分前には着いたな)

なにしろ乗り遅れたら遅刻は確実なので笑えない。

ちなみに、乗り遅れると次のバスに乗ったとして学校に着くのは

お昼休みになるという過疎具合だ。

欠伸をしながらバスを待っていると、背後から視線を感じた。


「…のわっ!」

振り返ると山肌から白い蛇(?)のような頭が覗いていた。

思わず変な声が出てしまった事を咎める事はできないだろう。

見つめ合っているとカサカサと枯葉をかき分けて出てきたのは

蛇ではなくトカゲであった。

「お前、びっくりさせるなよな」

そう声を掛けると小首をかしげるトカゲは妙に愛嬌があるように

感じられた。

バスが来るまでの暇潰しに観察していても逃げる様子は無い。

ド田舎なのでトカゲ程度珍しくもない。

ただ、微妙に光沢のあるパールホワイトぽい色合いのトカゲを

見るのは初めてだ。

トカゲもこちらを観察するかのように視線を向けている。


ふと思いつき、鞄から弁当箱を取り出すと卵焼きの一切れを

一部千切って、そっとトカゲの前に置いてみる。

「食いたきゃ食え」

そう声をかけて観察に戻るが、哲也と卵焼きを見比べている様

だが食べようとはしない。

そうこうしているとバスがやってきたので乗り込む。

席に着いてトカゲがいた場所を見るとトカゲも卵焼きも姿が

見えなかった。

なんとなく、少しだけ良い気分になった。

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