第捌話 幻惑、言惑
こんにちは。予想外に閲覧数が伸びていて、逆に申し訳なくなっている自分が居ます。ごめんなさい。
それではよろしくお願いします。
さっきの戦闘の後、全く人と出会わなくなった。
緊張感が切れかけてたその時、
ガサッ。
「・・・俺が見てきます」
ザッザッザ・・ドカッ!・・・タッタッタッタッ!・・・大丈夫なのだろうか。あ、戻ってきた。
「大丈夫だったのか?」
「ああ!発斗!ありがとな」
「そうか。ゆっくり休め」そう言って僕は、彼に手刀を打ち込んだ。
「そこにいるんだろ!出てこい!」
「・・・何処で気がついたの?」そう言いながら、何とも妖艶な、姉妹と思われる三人が出てきた。
「上手くできたと思ったんだけどなぁ」
「操、操り方下手」
口々に話し始める。
「勉強不足だ。あいつが僕に礼なんて言うはずがない。後、あいつの挨拶以外の第一声は「析華さん」だ」
「あら残念。私のミスだったのね」
「発斗君、ここは私に任せてくれない?貴方だと、手が出しにくいかもしれないし。第一、ああいう女子、嫌いなのよ」
「いや、見ただろ、あいつ等絶対チームプレイ派だ。一人じゃ勝ち目はないと思うぞ」
「だったら貴方が盾になればいいじゃない」
「まあ、焔が居ない今となってはその手段も非現実にはし辛いのが現状だ。仕方ないな」
「なに?貴方達馬鹿なの?私達結構強いし、どうなっても知らないわよ?」
「こっちは辞書で顔潰されたことがあるくらいだ。それくらい、どうってこと無い」
「そう。なら安心。こっちから行きましょうか。悪魔の歌声!」
耳をつんざく音が聞こえる。脳に直接響く感じだ。僕と析華と半々で攻防力を強化していたけど、どうやらそうはいかないらしい。
僕は100%の攻防力を析華に預けた。ふらつく。立ってられない。
「!よし、次!摩訶!」
「幻覚」
頭が・・・なんだコレ・・蝶?なんか・・体が動かなく・・なって・・
「看破発動」
幻覚は効かないらしいな・・・良かった・・。
「操」
「人形芝居!」
体が・・勝手に・・くっ!さっきの焔もこれに・・・。クソ・・析華に迷惑はかけたくないな・・・
ズガッ!そう思ってる内に、僕の顔には辞書がめり込んでいた。
「こいつ・・・仲間を!?」
「鬼だ!悪魔だ!」・・・同感だ・・全く。
「使えない仲間は要らないの。私は仲間が居ない方が強いのよ」
「何を・・・!ただのハッタリよ・・・!」
そこから先は、残忍なショーの始まりだった。
まず容赦のない析華の攻撃。皆から操と呼ばれていたものへの脳天辞書振り下ろし。
「!・・・」一人目、撃沈。
「!操・・・!油断したか!」摩訶が木を背にして構える。それが命取りだ。
析華が上から降らせた先の戦闘の虫の残骸に気づかなかった彼女は、恐怖で気絶してしまう。
「!?なぜあいつが虫が大の苦手だと・・・!?」
「言ったでしょ。『看破』だって」・・・二人目、撃沈。
「悪魔の歌声!全弾発射!」
「声の弾丸。面白いわね。でも。残念ながら、看破で貴方の声の周波数は把握してあるの」
その瞬間。彼女の口から声、と言うか音が発せられた。あまりにも機械音に近い声だ。
「・・・・!」
「さあ、私の前にひれ伏しなさい」
・・・・・完全勝利だ。味方なのに恐怖さえ感じた。逆に意識がはっきりしてくる。
「3秒以内に印を出しなさい。じゃないと、痛い目を見るわよ」
渋々差し出す。目の前の惨劇を目の当たりにして、これでも抵抗してくる輩は居ないだろう。
「さあ、二人とも起きなさい。五秒以内・・・」
二人とも起きた。飛び起きた。あいつは意識を無くしているはずなんだが。本能か・・・。納得。
「二人とも頼りなさ過ぎ。私一人の方が強いじゃない」
「前に戦闘向きじゃないとか商人とか言ってなかったっけ?」
「私は死を売り歩く地獄の商人よ」
ああ、なるほど。・・・・だったら性格の悪さも頷ける。
焔がこいつに心酔したのにも・・・頷けない・・・事もない。
ありがとうございました。