第参話 炎の素性
蝸牛です
どうぞよろしく
医務室にて
「普通なら全治2ヶ月、ここの設備で全治2週間ですって。よかったわね」
「これで良かったと思う奴が居たら僕は畏敬の念を抱くよ」
「なんにせよ、良かったですね。そんな大きな怪我じゃなくて」
「元凶が言う台詞じゃないよな、確実に」
「ところでお二人は本当にお付き合いしてるんですか?」
話逸らしやがった・・・この人たちは僕に何をさせたいんだろう・・・
「ええ。本当の本当、それも中学の頃から」
「いや、コレは誤・・・」
「(小声)黙れ殺すぞ」
「(小声)すいませんでした」
「そして、さっき大幅に話が逸れまくった所だけど。貴方能力はあるはず。ただそれが何なのかは・・・」
「そう・・・なんだ」しまった。少し気まずくなってしまった。
「・・・そういえば、君とは初対面だね。よろしく。俺焔 新太」
「僕は芽竜 発斗。よろしく・・・じゃねーよ。なんでさっき殺されかけた相手に親しげに自己紹介されなきゃならないんだろうな!」
「まあ正確に言うと殺す気だったんだけどね」そう言って彼はニコリと笑った。
「僕の周りは精神異常者ばっかりだ!」
「ところで哀れなストーカー君。貴方はなぜ私を付け狙うわけ?」
「付け狙うとは失礼な。俺はただ貴方のことをすべて知り尽くしていたいだけです」
「変態が。それこそ下衆だわ。発斗くん?貴方は安心していいわ。世界一の下衆がそこにいたから。貴方は二位よ」
「それは析華さんの中での立ち位置が芽竜さんよりも上!?よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
・・・つくづく可哀想な奴。こいつを好きになってしまった挙げ句、心酔が半端じゃない・・・。
「あなたはそれでいいの?貴方も十分可哀想だと思うけど」
なんか見透かされてる感じだな。実際そうだけど。
「ちなみにこの哀れなストーカー君の能力は見たとおり。なんて名前だっけ」
「滅邪の炎です」
「格好良すぎるし長い。愚者の炎に変更ね」
容赦ない・・・まあその通りだし俺にも同情する気は無いのだが。
「はい!ありがとうございます!」
・・・なるべくしてなった男だな・・・感服。
「発斗君。いや、発斗。貴方の能力を試す方法を考えついたわ」
「何故言い直す。でも残念ながら僕は生憎この体なんだ。僕は君の策には乗れそうもない」
「大丈夫よ。焔君?だっけ?この人の点滴と包帯を引きはがして」
「アイアイサー!」
「ちょっとまって!包帯は!包帯は勘弁!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「次に保健の担当医に見つからないように貴方のバッグの中に!早く!」
「ちょっと!冗談だよね!痛い!そっちの間接はそっちには・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!チャックが!チャックが皮膚に!ァァァァァァァァァァァァァァァ!ごめん・・・帰りに自殺する前に・・・僕逝くよ・・・ごめん母さん・・・遺書も・・残・・・せ・・・なかっ・・・bぐえいbjかうfslh」
「・・・何も聞こえなくなったわね」
「そうですね。人が入っていないみたいだ」
「というか、死んだかもしれないわね」
「いいんじゃないんでしょうか」
「?参考までに聞くけど、何で?」
「俺と貴方の関係に邪魔者がいなく・・・ブヘァァァ!」
・・・薄れゆく意識の中、僕とさっき昏倒したらしい焔の、盛大に床に倒れる音が聞こえた。
ありがとうございました。