第弐話 無資格の自覚
こんにちは。蝸牛です。よろしくです。
「・・・貴方・・・何者なの?」
「・・・何ってただの一般人だと思いますが?お嬢様?」
「その言い方はぜひ止めてもらいたいわね。さもないと殺すわよ」
・・・・・怖い。
「冗談はさておき、貴方能力としては周りに影響を与えるほど強いわよ」
「嘘つくな・・・自分の無能は重々承知の助だ」
「いや、これは研究のしがいがありそうね。家に持って帰りたいくらい」
・・・なにか呪術の実験でもされそうだ。
「さぁ・・・本格的な解明へと乗り出しましょう」
「ちょっと待て」
「?」
「『?』じゃねーよ!さっきお前の能力解析だって言ってただろ!」
「私の解析は私の能力の片鱗よ。他にも透視、読心看破。纏めて神眼なんて呼ばれてるけど。一つ一つはかなり凡庸性は高いけど質は低い、所詮Cクラスの能力。ちなみに解析は他人の能力系統と能力の発現状況を見るだけ。そんな恐れるような能力じゃないから安心して。ただ・・・今回は少し見易かったわね。貴方が無能だからかしら」
・・・クソ・・・またか小馬鹿にされた・・・
「それにしても便利よねこの能力。そこの壁に耳つけて盗み聞きしてる私のストーカーも見えちゃうんだから」
「!?」
こんな奴に・・・ストーカーだと・・・!あり得ない。僕の嗜好からしたら断じてあり得ない。
「突っ込むべきところはそこかしら」
・・・読心か。ますます厄介な人だな・・・・
「ストーカーって誰だ?」
「・・・貴方は知らなくていいわ。なぜならここでその人は居なくなってしまうから」
・・・消す気か!
「いやはやすみません。析華さんがどんな野郎とどんな会話してるか聞きたくなって・・・つい」
恐らくここで死んでしまうであろう、可哀想な男が顔を出した。
「貴方にそこまでとやかく言われる権利はないわ。・・・そう。彼氏を選ぶことにもね」
「!?・・・析華さん・・・まさか・・・」
「そう、この人は私の将来の伴侶よ」
?黙って聞いていたらなんか大変なことになってきた気がする・・・
「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
・・・彼の両手から何かが発現した・・・なんだあれ・・・火!?炎!?なんてベタベタな展開なんだ・・・!
「逃げて!あ・・・えーと・・・名前・・・私の彼氏!」
「偽装カップルだったら名前くらい確認しとけよ!」
・・・それが僕の断末魔と化した。
こうして・・・僕は二人の馬鹿のおかげで、医務室へ運ばれ、全治2週間の怪我を負うことになった。
ありがとうございました。