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第拾漆話 不幸の奇功

えっと・・・

申し訳ありません。これからなるべく更新していきたいと思います。

「何?集団自殺?貴方嘗めてるの?そこの二人はともかく、私がするわけないじゃない」

相変わらず酷い・・・。

「で、何の用?焰が居るのはなんか理由があっての事?」

「ええ、取り敢えず貴方の自己紹介頼める?」

「・・・幸影 座簿、Aクラスで血液型・・・うおっ」

途中で彼の顔に新聞紙が飛んでくる。

「おっとと・・・あ!」

転んでフェンスに体を打ち付ける。老朽化していたフェンスが悲鳴を。

「あっ!ひっかっ!」

制服の肩とズボンの裾がフェンスに掛かって千切れる。

ベキ。

「・・・え?」

ギシギシと悲鳴を上げていたフェンスが崩れ落ち、そのまま彼の肢体は宙に投げ出された。

・・・何だこいつ、何だこの馬鹿、俺たち二人の思考は完全に一致していた。

いや、それはたいした問題ではないのだ。先ほどこの残虐非道の同級生に、友達の殺害というとんでもない濡れ衣を着せられたのだ。俺の責任に成り兼ねない。

取り敢えず下を見る。・・・横たわっている、というより、もう既に・・・。

そう思っていた、死んだと思っていた。自然と罪悪感も焦燥感も悲しみも無かった。だって自業自得だろ。どう考えても。

ワイドショーのインタビューでどんな事を話そうかと思っていた。王道は、

「そんな事をするような人じゃ無かったし、明るくてクラスの中心人物だった」かな。

ん?

俺は自分の目を、頭を、そして精神を疑った。

「信じられないだろうけど、あの人、ちゃんと生きてる・・・」析華。

「冗談、焰、焰?」

一番彼の事を知ってるであろう焰が、泡吹いて倒れている。まあ友が屋上から落ちたらそうなる・・・のか?

目を離した隙に下には血溜まりと野次馬だけが残されていた。

「あー痛ったい痛ったい。今のでどれくらい骨イッたかな」

「!?」二人で振り返る。

「あ、ごめんごめん、自己紹介の続きね?俺の能力は大熱狂の大番狂わせ(シュートザムーン)。自分の不幸の分だけ自分の基礎能力が上がる、っていう寸法。迷惑千万だけどな」

うーん・・・俺と同じようで違う・・・自分にしか使えない所は少し使い勝手が悪いか?

「いや、死なない程度、というと貴方の範囲を十分超えてるけど」

確かに。俺は自分の力100%+強化用の100%の計200%だからな・・・。

「一つ聞くけど、その不幸は自分限定なの?」

「不幸は俺の性なだけで能力じゃないから伝染はしないけど・・・巻き添えには注意」

巻き添え・・・焰の体が無意識にピクリと反応する。分かってるじゃないか。自分の立場。

「後、俺は他人の不幸を肩代わりする事でこの能力を更に強化する事ができたり」

析華の口元が不敵に歪んだ。一言多かったな、可哀想に。口は災いのなんとやら。

「あのさ、貴方、私達と一緒に来月の試験受けて?」

「何で?」いい返し方だ、煙に巻け。じゃないとお前に明日は来ない。これも余計な事かもしれないが、お前の今日一番の不幸は屋上からの転落ではなく、析華との出会い・・・かもしれないな。

「頼みたいのよ、人数合わせが必要で」明らかに頼んでいない。

「嫌だよ、だってお前ら補正掛かってるでしょ?」

「・・・補正?」

「主人公補正。そこの地味男くんはともかく、焰と君は間違いなく強いと踏んでるからね」

地味男?地味男?地味男、地味男。その言葉だけが頭を巡った。もう決めた。お前に同情なんてしない。

「補正が掛かってる人との関わり程つまらないものは無いからね。地味男くんだったら友達になれそうだけど」

そういう意味か、親しみやすいのか。って納得する訳無いだろうが。

「地味男くん、俺と対戦してみない?それから考えてあげる」

析華の視線がそこらのナイフよりも鋭く光った。もう後戻りはできそうにない。




〜10分後〜




「拍子抜け。こんなに弱いとは思わなかった。これ本当にお前等の仲間?」

だそうだ。因に俺は今信じられない体勢で床に寝ている。床が生暖かいのが気持ち悪い。自分の血か。

「でも、補正はあんまり掛かってないみたいだね。安心したよ。足手まといがいるならこっちも楽しめる」

予想以上にクレイジーだ。本当にさっきと同一人物か?言動にその節は有ったけど。

「で、どうするの?私の傘下に組入るのか組入らないのか。どっち?」

「・・・強いなあ、君。ま、いいや。俺は今から、君の下僕だ。どうぞ自由に使ってくれ」

初対面にこんな台詞が吐ける以上、焰を重ね合わせずにはいられない。お前等の親の顔を見せろ。

とりあえず僕を治せ。運べ。保健室限定な。おかしいな、声が出ない。

「じゃあ、最後の一人について、協議しましょ?」

「うん、そうしようか」二人は出口に向かって歩き出した。

析華が屋上から出る時、彼、座簿は、先ほどの新聞紙に足を滑らせ、運悪く下に落ちていた拳大の石に頭をぶつけて昏倒した。

結局析華は気付かずに先に行った。気付かなかった?気付いていた?神のみぞ知る。

そのまま焰が意識を取り戻すまで、三人はほのぼのとした日差しの中血溜まりに倒れ伏していた。


余談ですが。

座簿の能力名の由来は、トランプゲームのハーツからとっています。

マイナスの得点札を押し付け合うゲームなのですが、見事マイナスの得点札をコンプリートすると、シュートザムーンという特別ルールで100ポイントもらえる、というものです。

どうでもいいですね、済みませんでした。

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