第拾伍話 百聞は実戦に如かず
蝸牛です、よろしくお願いします。
リア友よ・・・笑うなかれ。
先程の作戦会議から、数分。
申し込みしていた。もう締め切りまであと2日を切っていたからだ。
「何故に!?俺達は一回も実習をしてないのに!?」焔が喚いている。
「大丈夫。お前を実験台にして数回やった」
「それでさっきから肩と背中が!?」
「・・・おかしいな。鳩尾も入れたんだけどな」
「だって貴方、ちゃんとキメてなかったじゃない。あれじゃ破裂はしないわよ」
「殺す気だったの!?析華さん!冗談ですよね!大丈夫ですよね!?」
「・・・残念だけど、持ってあと三時間ね」
「余命一日未満!?」
「析華・・・お前も・・・優しい嘘が・・・つけるように・・・」
勿論嘘泣きだ。こんな奴に涙なんて流すものか。だが・・・こいつを騙すにはこれで十分だ。
「えぇ!?俺後何時間生きられるんですか!?教え・・・」
脳天に辞書がクリーンヒット。今日の辞書は・・・英和か。
焔が無言で倒れ伏す。斃れ伏す?
「残念。一秒もなかったようね」
・・・本当にいい顔するよな・・・イイ性格だな・・・。
「貴方も・・・一回三途の川急流川下りツアーどう?」・・・・・・広辞苑・・・だと!?いつ変わった!?
「・・・残念だけど、本当に本当に残念だけど、俺船酔い体質なんだ。参加は出来ないなぁ・・・」顔が引きつるのが分かる。・・・正直今すぐ逃げ出したい。帰って漫画でも読んでいたい。
「・・・大丈夫。向こうに行っちゃえばもう関係なくなる」
「・・・三途の川・・・いや、ほら、だってさ、・・・・・・」
そういえば三途の川って溺れたら生き返るんだったな。そうか。その手があった。
「シートベルト着用、手枷足枷付きよ」
「もはやツアーじゃない!拷問だ!」
「いや、だってね。試験のこともあるし・・・」
「?そんなこともあったわね。私は構わないわよ。私は貴方みたいに独りぼっちで、哀れで、可哀想で、屑で、馬鹿で、阿呆で、人でなしな人間じゃないから」
「人のことをどれだけ貶せば済むんだ・・・」
「そうね。貴方の精神が崩壊して発狂しながら階段を転げ落ちるくらいまで」
「そこまで行ったら何か他の物を感じる。ネクロマンス的な」
「何?貴方魔術なんて信じてるの?馬鹿じゃないの?死ぬの?死ぬんでしょ?死ぬよね?死ぬって言ったでしょ?」
「・・・んで、・・・ここで話を変えるのは凄く勇気が要ることだったんだが、実際実戦で覚えるのどうので前回失敗したよな」
「・・・っ・・・それは言わない約束よ」
やった!勝った!
「ツアー参加決定っと・・・」
ごめん。僕に最初から勝ち目なんて無いのを忘れていた。
焔を負ぶっている状況でこのまま辞書を食らったら焔にまで・・・まあそれはどうでも良いとして。
「・・・あのさ、気になってたんだけど、焔ってクラスは?」
「Aよ。知らなかった?」
僕は、この隠れエリートを窓から投げ捨てた。
サブタイ詐欺ですね。分かります。
ごめんなさい。
ありがとうございました。