第拾壱話 昨日の敵は何とやら
よろしくお願いします。
私、解海析華は、呆然としていた。
今はサポートがないので、二人を連れて歩くことは出来ない。
その先に、敵が居ればな尚更。下手すれば、死。
それは免れたい。それにしても先ほどの戦闘はあっけなかった。不覚にも焔が格好良かった。
私としたことが一体何を考えてるんだろうか。馬鹿馬鹿しい。
「よおよお。ボロボロじゃん」
私はとっさに振り向いた。
「・・・悪態をつきたいところだけど、そんな余裕は無いの。手を貸して」
毛程の可能性しかないがこれにに賭けましょう。
「条件が一つ」
「言ってみなさい。下衆な事なら、即決裂よ」
「そんな馬鹿な事じゃない。こいつ等が完治した後の、再戦」
「・・・いいわ。了解した」
「それじゃあ頼むぜ」
この人・・・最初に倒された能力を発動してない・・あの人か。
「次元幽閉」
穴が開いた。奇妙な穴だ。その穴は違う空間に繋がって・・・。
医務室だ。見覚えがある。まるで窓でも付けたかのようによく見える。
「早く治療しな。大丈夫だ。会場から出た時点で試験はリタイアとされるからな」
「ありがとう、恩に着るわ」
「お前そんなキャラだったか?」
「助けてくれたら礼を言う。当たり前でしょ。そんな教育も受けてないの?」
「・・・変わってはないようだ。じゃあな」
私たちは医務室に飛んだ。かなり負担が掛かる。やっぱり空間移動は体に毒らしい。
「早く!治療を!」
気づいた一人が二人を乗せて運んでいく。良かった・・・コレで本当に助かった。
〜二人が集中治療室に入ってから1時間後
「とりあえず一安心ね」
「そうだな」
「そうですね」
「というか、お前だけ戦闘に参加しなかったんだな」
「何を言ってるの。貴方のサポートがなかったらそれこそ一般人レベルよ」
「そういえばそうだったな」
「そうですよ!お前!析華さんにそんな危険なことさせる気だったのか!」
「お前な・・・まあいいや。とりあえず僕が死にかけてから記憶がない。何があったか話してくれないか」
「何リーダー面してるの。殺すわよ」
「回避不可と下から見上げるのと恐怖が4倍増しだ」
そんなに私怖い顔してたかしら。心外ね。
「えっと・・・僕が二人倒して、負けて、・・・析華さんが俺に惚れて・・・」
「記憶の捏造甚だしいわね」・・・ほんの少し本気だったけど・・・ね。
「あれ敵だったのか。てっきり析華が後ろから刺したんだと」
「貴方は助けない方が良かったかしらね」
私はボールペンを彼の頭のそばに刺した。
「何処が一般人レベルだ。マウンテンゴリ」
今度はコンパス。彼の髪の毛が数本宙を舞う。
「もっと穴を開けて欲しくなかったら、命乞いをおすすめするわね」
「すいませんでした。いや、本当に、ごめんなさい。だから助け」
三角定規。
「謝罪の意味!?」
「「外したか・・・」」
「お前もか!図ったな!シャア!」
「私たちを赤い彗星と同義化しないで欲しいわ。私たちはニュータイプよ」
「俺がアムロで・・・」
「私がアムロ。貴方は所詮ララね」
「死亡確定!?」
「なんにせよ、今回死ななかっただけでも良かったじゃない」
「そういえば、試験は?」
「リタイア。当然でしょ」
「・・・まあ、次があるからな」
「何言ってるの。次は私違うメンバーと組むわ。こんな甲斐性無しじゃなく、頼れる仲間をね」
「「!?」」
「冗談よ。これからもよろしく」
こうして、私たちの第1回目の試験は、幕を下ろしたのだった。