プロローグ
ここ始まりの街オリジンは今日多くの冒険者で賑わっていた。
街の中心には冒険者ギルドがあり、その前に2人の少年と少女が立っていた。
「それじゃ、入ろうか。ノア」
「うん!おにぃ早く行こ!」
兄と呼ばれた少年は名前アーク。歳は17だが背の丈が180程だ。黒い髪に深い青い眼をした少年と言うには好青年と言った方が正しいくらいの見た目をしている。
一方、妹のノアは歳はアークの1つ下の16で兄のアークとはうって変わって黒髪ではなく美しい黄金の様な金髪をハーフツインに結い上げて風に靡かせている。眼の色もアークとは違い深紅の宝石のような眼をしている。
そうして2人はギルドの中に揃って入って行った。中へ進み受付嬢に話す。
「すみません。冒険者の登録をしに来ました。」
アークがそう言うと机に向かっていた受付嬢が顔を上げる。
「はい、承りました。そうされますと先ずは認定試験をしてもらいます。」
受付嬢が無愛想ながらも丁寧な対応してくれた。
「認定試験?」
ノアが首を傾げる。
「はい。こちらで提示する条件の素材を規定量採取又は討伐してきてください。安心してください、討伐と言ってもノーマルスライムやピクシーラビットなどの簡単な対象に絞ってありますので。」
受付嬢が淡々と話しを進めた。
「分かりました。そしたら詳細を...」
認定試験を受けて2人はギルドを後にした。
「ねぇー、おにぃいくら初心者用とはいえその内容簡単過ぎじゃない?」
「ははっ...まぁ仕方がないよ普通は認定試験なんてのはあのくらいの子達が受ける想定だからね。」
そう言うとアークを前の方を指さした。
そこには5〜6歳くらいの兄妹が両親と仲睦まじげに歩いていた。それを見たノアは少し悲しげな表情を浮かべた後こう言った。
「もしパパとママが生きていたらノア達もあんな風に暮らしてたのかな...」
「あっ...ごめんノア、そんなつもりじゃ...」
自分の失言に焦っていると
「って嘘だよ!ノアこそごめんね...おにぃにそんなつもりはないって知ってるのに。あの時沢山泣いたんだからその分今は冒険者になるって言う夢二人で叶えようよ!きっと
そうしたら天国のパパとママも褒めてくれるよ!」
そう言うとノアはハニカミながら「さ、行こ!おにぃ」
と歩き出した。
ノアの後をついて行きながら目的地であるピクシーラビットやスライム、薬草が群生している近郊の平原に向かう。
楽しそうにスキップしているノアの背中を見ながらアークは10年前のある過去を思い出していた。
それは当時まだ7歳だったアークが6歳のノアと両親と一緒に仕事である街に行ったその帰りの夜謎の巨大な魔獣に襲われたのだ。ソレは他の魔獣とはどこか違う異様な雰囲気を纏っており大きさが10mは超える体躯をしていた。目が合うや否や真っ先に襲いかりその凶悪な過去に何体もの生き物の命を絶ってきた血に染まった爪がアーク目掛けて襲いかかる。
だが、父親のロッドは王都で騎士団副団長をしていた。すぐさまアークを抱き寄せ腕1本でその凶爪を剣でいなす。
「クソッ、隣街だからと油断していた。まさかこんな化け物が出てくるとは。」
ロッドはそう言うと後ろで恐怖で泣きじゃくるノアをなだめている妻メアリーに叫ぶ。
「メアリー!アークとノアを連れてオリジンに走れ!コイツは何かおかしい!」
そう言うとロッドは渾身の力で爪を押し切り隙を作り一瞬の間にその魔物の両足を切断した。
そうして俺とノアを連れ走っているメアリーにロッドが追いついた。そうすると走りながらメアリーがロッドに言った。
「はぁ、はぁ、、アナタあの魔物は?」
「はぁ、両足を切り落とした。もう追っては来れないはずだ...だが油断するなこのままオリジンまで...」
オリジンまで走るそうロッドが言う瞬間、メアリーがロッドを突き飛ばした。
「なっ...おいメアリー」
ロッドがメアリーに視線を向けたがそこで見たのは。
「……ッ...ゴフッ...」
深々と先程切り落としたヤツの爪がメアリーの胸を貫いていた。あろうことかそのまま魔物爪を肩に向け上に切り上げた。メアリーの胴は激しく損壊した。
それを見たロッドは激しく怒りを露わにする。
俺もノアも母親の現状を見てもう助からないことは子供でも明白だった。
「メアリーィィィ!!...よくもやってくれたな化けも...何ッ!?」
ロッドが目にしたのは戦闘を離脱する前に切り落とした両足が何事も無かったように再生していること。
それを目にしたロッドは覚悟を決め俺に叫んだ。
「アーク!!ノアを連れてオリジンまで走れ!急げ、俺が時間を稼いでる間に!」
そういうとロッドはその魔物に切りかかる。
普段は優しい父親からは想像できない怒号とともに闇夜に煌めく剣と爪がぶつかることで生じる火花。
覚悟を決めた俺はまだ温かな血を流し続け朦朧とする意識を辛うじて繋ぎ止めている母親に縋るノアの手を取り言った
「ノア行こう!父さんがヤツを抑えてる間に!」
「でもお兄ちゃん...ママが...」
そう言うと混濁している意識の中母さんが言う
「アーク...、ノア...生きるのよ...」
そう言うと先程まで不規則な呼吸をしていた母さんの身体が静かになる。
泣きそうになるが涙を堪えてノアの手を取る。そしてひたすらに走った。途中で躓きそうになるも決して右手に掴んだノアの手を離さず。
そうして俺たちはオリジンに辿り着き門番をしている騎士にことの経緯を伝えた。
俺たちは街に保護されすぐに街の騎士団とギルドにいた冒険者が現地へ向かった。
そして夜が明け騎士団と冒険者が帰ってきた。
その後ろには所々赤黒いシミが付いている白い布が被せてある台車が引かれていた。
俺は一目で事の顛末を理解した。そうして一晩中泣き続け走り続けたノアが疲れで寝ていたが騒ぎで目を覚まし変わり果てた2人を見てさらに泣いた。そこでようやく俺もノアと共に泣いた。2人の死を悲しみながら俺は決意する両親を殺したあの謎の大型の魔物を討伐すること、そして唯一残されたただ1人の妹のノアを絶対守りきること。
こんにちは、鳳です。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
試行錯誤しながらこれから面白い話を書き続けていきますのでどうかよろしくお願いします。
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