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歪
関係があるとか環形だとかは興味が無い。
興味があるもので言えば、歪だ。
歪であれば、何でも良い。が、人工の歪には興味が無い。
この国は、完璧を目指している。
完璧な秩序、完璧な街並み、完璧な人物。
完璧であれば、特別手当が支給される。
努力義務であるはずなのに、国民は、完璧を求め、悪戦苦闘している。
そんな不格好な様を見るのがこの上なく幸せだ。
私は時代遅れだと言われることも少なくない。
そりゃそうだ。
完璧な存在を目指す世界で、瑕疵を放置しようと足掻いているのだから。
しかし、足掻けば足掻くだけ自分の理想からはかけ離れていく。
そんな時、一人の男と出会った。
決して綺麗とは言えない容姿、酒臭く歩きたばこを堂々と出来てしまう愚鈍さ。
そんな姿に惹かれてしまう。
「すいません。お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」
精一杯の勇気を振り絞り、名前を聞いた。
「うるせぇよ。黙っとけ!」
ぶっきらぼうな振る舞いに尊敬とは違う感情を抱いてしまった。
数日後、彼は姿を消してしまった。
次は、もっと良い歪を!




