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怪奇事変

怪奇事変 間違い電話

掲載日:2025/12/29

乾燥が酷くて最近喉やられまくりで体調も悪いです、皆さんも気を付けましょう~

第十怪 間違い電話


 突然だが、皆さんは問い合わせをする番号の桁を間違えて電話した事はあるだろうか?

 大体は「お使いになった電話番号は現在使われておりません」などと言うアナウンスが流れるはずだ……が、大抵は一桁違いで繋がる場合もある。

 永遠と流れる電話のコールの音、当然、相手側も見知らぬ人物からの電話など出たくない為、そのまま放置かすぐ切り、着信拒否などの対策を講じるだろう。

 だが――稀に好奇心からその電話を出てしまおうと考える人物や悪戯で出てしまおうと考える輩も居る。

 アナタはこの時どうするだろうか?

 間違えた!っと電話を自分から切り、正しい電話番号にかけなおすか?

 それともそのまま気づかずに電話を続けてしまうのか?

 分かっていてそれでも――電話を掛け、相手の反応を楽しむためにやるのだろうか?

 

 「もしもし」

 

 コール先の問い合わせ主は恐る恐る電話を取る、何故恐れているのか?

 それは当然――()()()()()()()()からの連絡だからだ。




 高間純一(たかまじゅんいち)、今年で大学4年生の学校を卒業し就職する事が決まっている。

 そんな彼は些細なミスから本来かけるべき問い合わせ先の会社ではなく、全く違う場所にコールしてしまう。


 「繋がらないな……」


 電話番号を見て違和感に気づく、コレは自分のかけるべき電話番号ではないっと。


 「ヤバイヤバイ!」


 慌てて通話を切り、再度連絡先を読みあげながら慎重に入力を済ませると、目的の問い合わせ先に繋がった。


 「もしもし、お忙しい時に失礼します!高間純一と申します!新卒の件でお電話を――」


 高間はお世話になる会社への連絡と今後の予定を聞く為に問い合わせをしていた。

 彼は前述にも説明した通り大学を卒業し、社会人として生きていく事になる。

 その緊張感もあってか、当日の下調べは勿論、ネットなどの情報などを拾い、社会人としての振る舞いなど徹底して気を付けている。

 子供の頃は漠然と成長していつか父や母の様に何かの仕事に着手するのだろうっと思っていたが、本当にその時が来るとは思っていなかった。

 IT企業に就職する事になった高間はその能力を会社で発揮できるかどうか、今更だが不安になって仕方なかった。

 通話を終了すると携帯に一着の不在通知が目に映る。

 友人か誰かだろうと思うと、不在着信と書かれた内容で電話番号は乗っていない。


 「もしかして、さっき電話した相手?」


 いや、そんな、知らない電話など掛け直す意味などないだろう。

 高間は携帯をベットに放りなげ、着替えをすませに行く。

 今日は同窓会だ、卒業最後、学生最後の宴。

 そうして不在着信など忘れてしまい、携帯をポケットに入れ、高間は約束の時間に集まる居酒屋へと足を運ぶのであった。




 「高間~、お前IT企業だって?」

 

 「有名どころなんだろ?良いよな、そんな大手から拾われるなんて、俺なんて砂利集めの様にすり抜けて滑り止めの会社だもんな~、マジ最悪」


 「つうかそう言う場所でやりたい事ありますか!とか言われてもねーんだよな、鐘稼ぎを隠すためにわざわざ嘘の台本読んで納得させるのってマジで大変」


 「今から先輩共の介護とかウケる~」


 各々が好きに卒業とこれからの社会への不安や願望、不満などをぶちまけつつよりヒートアップしていく。

 高間も同じく自身の夢について公言していた。

 いつかITで作った全世界対応のチャットを作る事、だが今の会社では何となくだがその夢を実現させる為に必要なピースが足りていないと感じていた。

 

 「やる前から後ろ向きとか、ど~んだけ傲慢なんだよ」


 「いや、まぁ、そう……なんだけど――」

 

 そこで違和感に気づく、先ほどから太もも部分が震えている事に。

 それはポケットに入れた携帯電話だった、着信は全て不在着信となっており、非通知となっている為、誰なのか分からない。

 

 「(なんだ……気持ち悪い)」


 数時間前に会社に間違いて電話した番号からじゃないだろうな?っと思ってしまうも、これだけ非通知の不在着信が入っていると何か遭ったのではないかと心配になってしまう。

 例えば携帯を忘れた家族からの電話、もしかしたら何か巻き込まれたのかもしれないとメールを送るが、直ぐに返信は返ってきた。

 

 『こっちは誰も電話してないわよ、何かあったの?』


 やはり気のせいかと携帯を閉じようとする中で、酔いが回った友人に携帯を取られてしまう。


 「おい!」


 「はいはい~ちゅ~もく~!高間君が愛しの彼女様から愛のラブレターでちゅ~」


 その気持ちの悪い喋り方を何とかしろっと思ったが、それ以上にその携帯を返せと言う気持ちが強く、強引に奪取しようとするも身軽に躱されてしまう。

 酔いが回り過ぎてふざけ始めているが、店内で流石に迷惑をこれ以上かける事はできないと、相手の出方を伺う。


 「さてさて、人気の高間君に送られた愛のラブレターは……」


 だが、その奪った相手はつまならそうに携帯を高間に返すとそのまま崩れる様に座り込んだ。


 「つまんな、お前、そんな不在着信着てて、なんかしたのか?」


 「いや、べ、別に、何も」


 何もないはずだっと意味が分からず携帯の中身を確認すると、数十件にも及ぶ不在着信がまた履歴に残っていた。

 異様と言う言葉が頭の中に浮かんだぐらいだ、何故なら本当に数十件――と言うより99+となっていた。

 こんなに連絡がかけてくると言う事は、相手を怒らせてしまったのか?

 いや、知り合いの中で一番大切な家族は誰も掛けて居ないと言う話だ、そもそも向こうも携帯を所持しているから非通知にはならないはず。


 「(……いやまさか、そんな、間違い電話でこんなにしつこく掛けてくるはず――)」


 その直後、また携帯が震えた。

 画面には非通知と書かれた表示だけが移るのであった。




 帰宅後、携帯の電源をオフにして酔い冷ましに水を一杯飲みほし、そのまま椅子に腰をかけ、携帯電話を見つめる。

 奇妙な話だ、ただ間違えただけでこんなにも非通知が来るなんて……いっその事出て「間違いだった」っと伝えた方が良いだろうか?っと過るも危険すぎる。

 これだけの非通知の数、普通じゃない。

 知っている人物にあたっても掛けた形跡はないと言われてしまい、今全身が恐怖で満ちている。

 こうして電源をオフにしているからこそ、今は平常心で居られる、平常だからこそ、恐怖を感じれる。

 大丈夫、気にし過ぎだと思い、その日はベットでちゃんと就寝した。

 

 翌日――


 携帯を遅る遅る電源を付けると、悪夢がそこには広がっていた。

 あり得ない程の通知、これは迷惑電話だ、普通に警察に報告しても問題ないと思うが非通知拒否をすれば良いだけだと思い、設定をしてそのまま終える。

 これで謎の連続電話は掛かってこないはずだ、これ以上の事が起きた場合は――その時こそ警察に連絡しようと思った。

 昼過ぎになり買い物に行くことになった高間はデカいショッピングモールを散策して過ごしていた。

 学生の時に見えているこの光景と、今後社会人となったこの光景は全く違うものとして映るだろうと思い、今の内に色々行きたい場所に行ってると言う感じだ。

 そんな中、店員の声でそちらに振り返ると、どうやら携帯ショップで何かしらのサービスを行っているらしい。

 抽選くじみたいなものだろうと近づくと、やはりそうだ。

 だが今は正直携帯を見たくない気分だった、もしかしたら――

 っと自分の予想を言う前に不可解な出来事が起こるのであった。

 一斉にレンタル機材である携帯から非通知の電話が鳴り響いたのだ。

 急いで店員が止めに入るも電話はバックヤードに保管しているお客に売る商品にまで手が伸びていた。

 

 「(……なんだよ、気持ち悪い、どうしてこんな)」

 

 そう考えていると、他の客の携帯からも着信が鳴り響き始めた。

 一斉に鳴り響いた携帯を取る人々はそこから流れてくる声に当てられ制止しはじまる。

 

 「皆さん、こちらの不備で――」

 

 慌てて事情を説明していた店員もその状況を確認すると固まってしまった。

 どこか虚空を見つめるような視線で目には生気が宿っているとは思えない表情。

 

 「(何が起きてるんだ、チクショウ!)」

 

 急いでその場を後にするも、やはり他の人も同様に同じ状態になっていた。

 原因は“携帯に出た”から、それが一番の問題だろう。

 つまり、もし昨日の段階で高間も同じ様に電話に出ていたらと思うと背筋がゾッとした。

 いや、気のせいではなかった、何か重苦しい空間に放り出されたかのような圧迫感のある空間に居る様な……そんな何とも言えない感じだ。

 

 「う、うわぁぁぁぁ!?」

 

 足取りが重くなりつつ、エレベーター使おうとするも、開閉された中の人物達が虚空の目線で耳に携帯電話を当てたままこちらを見る表情はホラーだった。

 急いでエスカレータは、電話を抱えたままの人間がドミノ倒しの様に重なりあって倒れていた為、階段を使ってそのショッピングモールから脱出を試みようとした所で、

 自身の携帯からも着信音が響く。

 恐る恐る、携帯の画面を見るとそこには――非通知と書かれた表記だけがされていた。


 「(なんで、非通知は拒否したはずなのに、どうして表記され――)」


 そこで高間は気づく。

 あり得ない話、だが聞いた事がある話、怪談話。

 その電話を間違えた者には“あの世から通知が来る”と言う怪談話だ。

 ただの間違いでは?っと思ったがそれには幾つかのルールがあり、まず“あの世に通じる番号”を知っていないと意味がないと言う事。

 それが偶然会社の電話を1つ間違えただけでそこに繋がってしまったと言う事実。

 そしてもう1つの条件は、最も“あの世に近い者”から送られてくる最終通知と言われている。

 つまり――言葉の意味のままである。

 

 「俺が……死ぬって言うのか?」


 最も“あの世に近い者”なんて急に言われても実感など湧かなかった、だって今だってこうして心臓も脳も正常に動いている。

 健康診断では異常など見つかった事ないし、人間ドックだってやってきた。

 健康体そのもの……そんな自分が死ぬ?

 だがテレビなどを見るとその画面の向こう側の人間はどうだろうか?

 高間と全く同じ条件下だとしても“突然死”はある。

 この世は不条理だ、決して平等に出来ていない、その不平等が今自分に訪れている事を知ると、どうしよもない恐怖が全身を支配し、その場を走り出した。

 

 「死にたくない!死なない!俺は!」


 ショッピングモールを出た瞬間、車が通過する――

 だがそれが高間に衝突する事はなく、目の前の家族に衝突し、大事故へと発展した。

 赤い色、血が流血し轢かれたのは男性であった、誰がどう見ても――即死だ。

 

 「……ハハ」


 乾いた笑みがこぼれてしまう、だって自分は生きている!あんな作り話の怪談で命を落とすなんてこと――


 「ある訳ないんだ!」


 「君、は、はやく、い、医者を!」


 「え?あ、はい……」

 

 恐らくこの中で一番、恐ろしかったのは高間自身だろう。

 目の前でどうにも助からない命を繋ぐための電話、だがそれよりも電話による怪談話で自身が命をを落とさなかった事への安堵の方が勝っていた。

 そう、高間は気づいていなかっただけなのだ。

 ただの偶然で自身の命が助かった事に。

 その後は救急車が到着し緊急搬送されたが、乗っていた医者の様子からして男性の命は恐らく助からなかったのだろう。

 明日のニュースを確認すれば良いだけの事、高間はその日力なく家路に着いた。 




 社会人――誰もがなるべくしてなる、と言う訳ではないが、大半の人が通る道。

 今日から社会人として高間は会社へと出社する事になった。

 非通知による悪戯はあれから緩和されていき、やがて自然と鳴らなくなった。

 頃合いを見てバイトで貯めた金で機種変更と同時に電話番号も変更しておいた。

 これで何事もない、平和そのもの。

 

 「(そうだ、あの時にあったあの事件はたまたま、偶然できた事故であって俺のせいじゃない)」


 だが忘れてはいない。

 携帯ショップで鳴り響いた着信音のメドレーとショッピングモールを飛び出した際に偶然歩行者の道に居た男性に衝突した車の事故。

 当時はその次の日、大々的にニュースに取り上げられており、運転手は昼間から酒に酔っており、アルコールによる飲酒運転が原因だったことによる事故だったらしい。

 全く迷惑な話だが、相変わらず思う、自分ではなくて良かったと。

 部屋を出て新着のスーツを着こなし通勤途中にバイブレーションが鳴ると、表記されていたのは一件のメッセージ。


 『今日から社会人!頑張れ純一!』


 母からのエールのメッセージだった。

 フッとその場で鼻で笑ってしまい『社会人として頑張ります』とだけ返し通勤を再開する。

 最寄駅から1時間した場所に勤務先があり、そこで勤務する事になる。

 時間は朝の9時~17時までと8時間と1時間の休憩、社会人のルーティンである。

 基本的に新卒である高間達は初年度での残業は禁止となっている為、残業はない、まずは仕事と社会人としての生活が慣れ始めてからゆっくりと調整していくらしい。

 無論、初年度を終えても会社の業績や課題などでの残業もある為、熟すタスク以上のモノも要求される為、帰宅時間などを概算すると引っ越しした方が良さそうだと思った。


 「(最悪……)」

 

 高校の時ぐらいだろうか?大学では抗議の時間によって朝からもあったが、満員電車に乗るなんて行為はほとんどなかったため、久しぶりの感覚だ。

 おしくら饅頭状態になりながら電車に揺られ、到着する度に増える状況が無理やり入る事で、更に圧迫は強くなる。

 その中、またバイブレーションが鳴った。

 しばらく続いたがこの状態では出る事など叶わない為、放置することになり、ようやく目的の駅に到着すると「降ります!」と言う言葉と共にあの圧迫感から解放される。

 全く酷い目に遭ったと、シワシワになったスーツを直し歩き出すが、途端に思い出す。


 「(そう言えば、電車の中で鳴ってたよな……携帯)」


 どうせまた母か友人だろう?っと思い見ると、会社からの通知だった。

 

 「は!?」

 

 記載されていたショートメッセージは以下の通りだった。


 本日は初出勤と言う事もあり本社にて入社式を行います、開始時刻は8時半から、必要な筆記用具を持ちお時間にヅレが生じないようお越し下さい。


 「(ふざんけんなよ!つうか直前になってこんなメッセージ送るとかどんだけ常識ないんだこの会社――)」


 っと言いかけた瞬間、送信履歴を見ると2日前となっていた。

 

 「(ありえない、そんな連絡着てなかったぞ!?見逃したのか?)」

 

 初めての社会人との事で焦る気持ちを落ち着けつつ、それでも焦ってしまう。

 とりあえず、まずは電話で事情を説明して遅れる事へのお詫びを入れなければと慌てて連絡先を開き、電話をしようとすると――


 「ん?」


 見慣れない電話番号が表記されていた。

 機種変更した際に電話帳も確かに一通り移し終えたのは知っているが、こんな電話番号知らないぞ?っと高間は思う。

 だが、それよりも会社への連絡だと会社へ連絡を入れ、女性が対応して下さり、事の顛末を話すと形式上ではあるだろうが、焦らずに来てほしいとの事だった。

 少し安堵するも恐らく内心の評価はガタ落ちだろう。

 

 「(何が社会人として頑張りますっだ、馬鹿じゃないか)」

 

 自称気味になりながら反対車線の電車に乗って本社へと向かう事にする中、また電話が鳴ると同時に、ホームに流れる音声。

 

 『お待ちのお客様!ただちに路線から出てください!』


 喧噪と共に野次馬に塗れながらホームの下を見ると、男性が虚ろな目をしたまま、携帯を耳に宛て虚空を見つめていた。

 

 「ッ!?」


 高間はこの光景を知っている、あの時と一緒だ。

 ショッピングモールで鳴った時の客の反応と同じ――そして、ゆっくりとだがその時は近づく。

 金属が軋む様な音と噴出する警報の音、電車は勢いを殺す事ができずにその男性を――轢き殺してしまった。

 しばらくつうかしてから電車は止まるも、辺りには金臭い香りが立ち込め、一瞬だけ視界に居れたが見れたものじゃなかった。

 周囲の人間の中にも気分を害して吐く者さえいるほど、酷い死に様だ。


 「……そんな」


 思わず携帯を見てしまうも“不在着信”も“非通知”なども載ってない、あるとすれば――あの“謎の電話番号”のみ。

 まさかアレを見たから今度は()()()()()()()()()殺せるって事なのか?

 結局、高間はその日、入社式には参加しなかった。

 事情が事情なだけ会社側も理解を示しており、結局スーツを着て外出する1日……いや、グロテスクな光景をみた1日となって終わった。

 

 翌日――


 出社早々初日の出来事として“遅刻新入社員”のレッテルを貼られるかと思ったが、みんな暖かく向かい入れてくれた。

 いや、寧ろ心配された。

 昨日の事件の報道はかなりショッキングな報道だったらしく、モザイク加工が間に合わなかった動画の拡散もあって衝撃的な一面を飾った。

 

 「高間純一君だよな」


 「はい、えっと」


 「磯野和彦(いそのかずひこ)だ、災難だったね、昨日は」

 

 「あ、はい……」


 「良くあるんだよ、特に4月はさ」


 「事故……ですか?」


 「ああ、昨日の報道見たけど、虚ろな表情してたし、僕としてはアレは仕事でやられたタイプかなって見てる」


 「そう……なんですかね」


 よくも人の死をそう語れるものだと感心してまう。

 4月の電車事故が多いのは聞いた事はあるが、間地かで見てしまったのには確かに衝撃的だった。

 当分、肉が食えないレベルのダメージは負ったぐらいに。

 前日は母の心配したメッセージを何件か受け取ったが「大丈夫」と全て返して、胃に消化の良い物を食べて1日を終えた様な形だ。

 正直まだあの時の光景を思い返すと気持ち悪い……そんな高間の表情を見た磯野は肩を軽く叩き励ましの声を上げる。

 

 「まぁ、無理だけはするなよ!マジでキツかったら早退しても良いし、上司もそんな堅苦しくない人だからな!」


 「あ、どうも……」


 声がデカイ以外は。




 昼になると磯野さんが食事に誘ってくれたが、少し気になる事があり高間は友人に電話をかけていた。


 『都市伝説の話?』


 「ああ、前に言ってた“あの世から通知がくる”いう怪談の――」


 『ああ、学生時代に少し流行った話だな。大学だっけ?確かソースはネット情報だった様な気がする』


 「それで具体的にはどんな内容だったか思い出せるか?」


 『ああ、印象深かったからな。確か“あの世に通じる番号”を知ってるのともう1つが“あの世に近い者”の2つが条件じゃなかったか?』


 「……」


 ここ最近の出来事は変だ、昨日即死した男性も携帯を持ったまま虚空を見つめていた。


 『ああ、そうそう。前にお前がショッピングモールで事件にあたっちまった内容もネットであったんだけどさ、それが――』


 「え?」


 それを聞いた瞬間、背筋が凍り付いたかのように固まってしまった。

 何故ならその車で跳ねられた男性も昨日の男性同様に“携帯を片耳に押し付けたまま死亡した”のだから。


 『まぁただの偶然だ、怪談話とは関係ないと思うぞ?……高間?聞いてるか??』


 「あ、ああ、ありがとう、助かったよ」


 そう言って通話を終えるとどうしよもない震えが身体を支配する。

 怪談話?そうじゃない、これは“呪い”に近い現象だ。

 死んだ人はこの2つの条件を満たしてしまったが故に起きた死亡、起こるべくして起きた死と言う事になる。

 ならば自分はどうなのだろうか?と考え込んでしまう。

 怪談話が真実だとして偶然“あの世に通じる番号にかけてしまった”がまだ“あの世に近くない”が為に生かされてるだけなのか?

 どちらにしろ、今はあの不気味な“非通知”と“不在着信”の波はない、出なくて正解だったのかもしれない。

 もし――あの通話に出てしまっていたら……自分も同じ運命を辿っていたのだろうか?っと考えてしまう。

 



 そうして月日は流れ、高間は会社の飲み合いの付き合いで出会った女性と恋に落ち結婚をし、子供にも恵まれ、順風満帆な生活を送っていた。

 すっかりと成長した息子の姿を見ると、此処まで育てたかいがあったと誇らしく思う。

 これからもどんどん成長して、何時かは自分を超える才能を見出して、良い会社に就職し、そして良い人と巡り会って、子供を作って、自分もいつかは爺となるのだろう。

 そう漠然と思っていた、あの電話がなるまでは。

 

 「はい、もしもし高田です」


 「え?」


 携帯を探しに部屋に戻ると妻が自分の携帯に出ていた。

 それ自体は特に問題ではない、問題なのは――まるで虚空を見つめ、携帯電話を持ったまま頭上を見続ける妻の姿だった。

 それが以前亡くなった男性たちを彷彿させる様で、急いで携帯を取り上げ方を揺する。

 

 「おい!美紀!美紀!?」

 

 いくら名を呼ぶも反応がなく、完全に虚ろになった状態、この状態で前の男性は事故に遭い死んだが、妻はどうなる?

 いや、凶器となる物も何もない、大丈夫、大丈夫だ!っと自分に言い聞かせるも、急に美紀は動き出した。


 「ど、何処に行くんだ美紀!」

 

 「お母さん?」


 息子も妻の挙動に不思議がるも、ベランダに出るとその手すりにつかまり、足をかけ始めた。


 「や、やめろ!」


 だが異様な力でビクともしないどころか、一緒に登ってしまうぐらいに引っ張られてしまう。

 そして最後に、妻がニヤリと不気味な笑みを浮かべたと思った瞬間、身体がふわり……と浮いた様な気がした。

 いや、浮いたのだ。

 そして強い衝撃と痛みを伴ったと感じた瞬間、完全に自身の意識が途絶えた。

 何が起こったかは分からなかったが、確かに最後に見た妻の顔は“別人”の様に見えたのを覚えている。

 



 高田純来(たかだじゅんき)15歳、中学生。

 彼は幼い頃に父と母を亡くしている。

 高層マンションの上階に住んで居たこともあって、2人は即死だった。

 何が原因で死亡したのかは不明だが、父が母を止める姿を覚えていた為、報道では自殺となっているが、そうではないと息子の純来は思っていた。

 父が他界する前にある情報を聞き取りしていたのを父の友人から聞いた事が未だに残っている。

 それは――怪談の類とされた決して間違えてはならない“間違い電話”と言う怪談話。


 1.あの世に通じる番号に掛けるべからず

 2.あの世に近い者が掛けるべからず

 

 この2つの条件を満たしてしまうと“あの世からの招待”と言う形で“死が訪れる”と言われている。

 だが矛盾している点もある。

 父はどうか不明だが、少なくとも母はこう言う怪談の類が苦手で、実行などする事はないと言う事だ。

 当時は掛かってきた電話に出た形跡があるとの事……つまり、電話を出ただけではこの2つの内何れも条件を満たしていない。

 つまり――この怪談には知られていない“隠された条件”があると純来は考察していた。

 友人の伝手で“霊媒師”の証言だと微かに“呪いの気配”があるらしく、最初は信じていなかったが、全ての当時の話を言い当てられ、一部知っている部分もある事から純来はこの“霊媒師”の言う話を信じる事にした。

 

『私もこの件については手に1人で手に負えるものではないので、良ければ“霊術院”に行かれてはいかがでしょうか?』

 

 簡単に言えば“霊媒師”としてのキャリアを学べる学校の様な場所らしく、純来もあの事件をきっかけに少しだけだが霊感がある。

 それを元にもしかしたら事件の解決に繋がるかもしれないと考えた純来は“霊術院”のある場所に向かう事にした。


 「ん?」

 

 純来はホームの下の路線に立っている人物の目が行く、だが周りは誰も見えていない。

 アレは……“視えてはいけないモノ”

 それがこちらを見た様な気がしたが、それをかき消すように電車がゆっくりと到着した。

 先ほど居た不気味な“アレ”がいた号車に乗り目的地へと向かう事にするのであった。

 道中、謎の着信が入っていたが、純来は確認すると知らない電話番号と言う事で無視する事にした。


 のちに分かった話だが、アレは“拡散する呪い”らしく、出なかった者に憑依した呪いは解けている訳ではなく、周囲に影響を及ぼすらしい。

 つまり母が死んだのは父が条件を満たし、出なかったが故の事故と言うことらしい。

 そして“携帯電話”と言う日常的に使うような便利な道具を用いた呪いの“解呪”は簡単ではなく、一時的に凌ぐことぐらいしか対応策がないらしい。

 ――何故なら、この“呪い”で亡くなった者が更なる“呪い”となり生者に“呪い”を拡散しているからである。

 出ない事が、試さない事、これが最大の防衛だが、日常的に使う代物こそ達が悪いらしい。

 “間違い電話”を利用した“呪殺の電話”――それがこの怪談の真相だった。


 第十怪 呪殺の電話

 


間違ってかけた事ぐらい…あるよね。

ちなみに、私は小学生から間違い電話もらって、丁寧に違いますって言ったのに、即ブツ切りされました……そんなに怖かったのかな?

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