アズマの実をハンケ村の名産に! ――ハンケ村開拓日誌
王歴895年12の月 記録:パタス・ムーア
昨晩ロイドが王都から帰ってきた。
今回、ロイドに頼んでいた用事は二つ。この村で採れたアズマの実を売ることと、それで得た資金でなるべく多くの魔石を購入することだ。
結論からいえば、ロイドはどちらの任務も完璧にこなしてくれた。持って行ったアズマの実は完売し、ロイドは馬車いっぱいの魔石を持ち帰ってくれたのだ。
王都の野菜店に持ち込んだところ、店主は私たちのアズマの実をいたく気に入ってくれたそうだ。
半分でも引き取ってくれれば上々と思っていたのだが、件の店主はなんとすべてのアズマの実を高値で引き取ってくれた。
私たちのアズマの実は、プロの目からみても「まるで高級な果実のよう」だと評価してくれたそうだ。
アズマの実は放置すると勝手に増えるほど生命力が強いので、豊かな土地では雑草扱いされることも少なくない。
しかしハンケ村で育てたアズマの実は非常に甘く、食べると力がみなぎってくるのだ。やはりこの土地の風土が、アズマの実の生育に適しているということなのかもしれない。
このままアズマの実の栽培を続けて、ゆくゆくは「アズマの実といえばハンケ村」というイメージを国中に広げていきたい。