邂逅と決別
きのうはもう死滅した
やわらかな新生の光に焼かれ
ちりぢりにすらなった
わたしはただ呆気なく
手一杯に溜めた砂がこぼれきるのを待つように
無力にわらっていた
もう何千と夕日をみた
きのうが風化して
きょう雨が降って
あしたが流れ堕ちてゆく
御覧
生花まがいに咲いている
毒々しい造花のむれを
御覧
しろい頁を濡らすことしかできない
いっきくの淡雪を
時が気まぐれに行き交う 雑踏で
ひとは迷える子羊となり
そして
きのうは死滅した
人生は
愛しい一冊の本であり
本でしかなかった