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戦闘

 小鳥ほどの大きさの羽虫形バグが十匹ほどと、巨大な蟻形バグがアテナの方に向かっていた。

 ブゥゥゥーンという耳障りな音を立てながら、先陣を切ったのは羽虫形バグ数匹だ。

 それに対しアテナは自分の魔法、水魔法[Calabrone(カラブローネ)]を繰り出した。その魔法は、自身の周りに水の球を数個浮かべ、それを操るものだ。


 水の球は、羽虫形バグより少し速いくらいのスピードしか出ないが、アテナはそれをうまく操り、挟み撃ちや、死角からの攻撃により羽虫形バグを次々水の球の中に捕らえていく。水の球は羽虫形バグを捕らえると、ぐぐっと小さくなり、中の羽虫形バグごと粉々に破裂した。


 仲間を潰された残りの羽虫形バグは、蟻形バグの背中に集まり、ぶくぶくと形を変えていく。そして羽虫と蟻のバグが統合して、羽蟻形のバグになったのだ。

 しかし、羽虫形バグの大きさと数と蟻形バグの大きさの比率が悪かったのか、全体の大きさに対して羽が小さい。申し訳程度の飛行しか出来ないようだ。


 そうは言っても羽があることにより、脚も武器として使えるようになった羽蟻形バグは、アテナに向けて脚を突き刺すような攻撃を仕掛けた。

 アテナはそれを避けると、その脚を魔法で折った。それは鞭のように動かせる水魔法[Leviatano(レヴィアターノ)]だった。

 アテナがまた鞭を振るい、羽蟻形バグの他の脚も折っていく。


「あとはその、小さな小さな羽だけね。……って言ってももう終わりなんだけどね!」


 アテナはそう言うと、羽蟻形バグにぐっと接近する。羽蟻形バグも顎を使い攻撃しようとするが、すでにアテナは羽蟻形バグの腹の下の死角に入っていた。

 そして鞭を羽蟻形バグの胴体に巻き付けると、そのまま引き絞り、果てには羽蟻形バグを真っ二つにしてしまった。

 羽蟻形バグは塵となり消えていった。



 一方で、ルシウスの方には蜻蛉形バグが向かっていた。数は四匹だが、そこそこ大きい個体ばかりだ。


「逃げられると厄介だな」


 ルシウスが片手を空にかざすと、その手から一筋の雷が発せられた。雷はルシウスから数メートル上に上がるとそこで弾け、その部分からルシウスと蜻蛉形バグを囲むようにドーム状の雷の筋で出来た檻が現れた。


「雷魔法[青柳の檻]だ。逃がすわけにゃいかねえからな」


 雷魔法[青柳の檻]は、檻に近づいたものを威嚇するようにさらに電撃を発した。畳み掛けるようにルシウスはすぐに次の手を打つ。


「雷魔法[白緑の羽]!!」


 ルシウスから四方八方に、小さな雷が無数に飛ぶ。その一つ一つの威力は小さいが数が多く、蜻蛉形バグは避けきれずにいくつも当たる。そして蜻蛉形バグは、ダメージが溜まっていき倒れるものも居れば、フラついて檻に当たり感電するもの居た。


 あっという間にルシウスの勝利だった。


 しかし、ルシウスの雷魔法[白緑の羽]は、コントロールが出来ないために、仲間の近くでは使えなかったり、一つ一つの威力が小さいためにこの技単独ではあまり使えない、課題の多いものだった。



 アテナとルシウスが戦っていたその間、レオもバグと戦っていた。


 縦幅だけでも人間と同じくらいある蛾形バグと、犬ほどの大きさの蟻形バグ三匹がレオに向かってきていた。


「いくぜ! 火炎魔法[ファイアトラップ]!!」


 レオはバグと距離のあるうちに最初の魔法を自分の足元に向けて使った。それは地面を伝って蟻形バグの下までいくと、一気に燃え上がった。

 蟻形バグのうち先頭にいた一匹はこの炎で燃えて塵になったが、残りの蟻形バグ二匹は脚を半分失ったもののまだ生きており、蛾形バグにいたっては当たってすらいなかったので無傷だ。


「次、火炎魔法[ファイアサークル]!!」


 レオは動けなくなった蟻形バグに接近し、両手を地面に着けた。するとそこからバグを取り囲むように炎の円が現れ、炎の柱のように燃え上がった。

 蟻形バグは避けることが出来ずに直撃し、塵になっていった。蛾形バグはギリギリ回避したが羽に火が着き、バランスを崩した。落下していきつつもその燃えかけの羽を羽ばたかせ、レオに向けて黒い鱗粉のようなものを飛ばす。


「うわっ! なんだよこんなもん!!」


 レオは飛んできた鱗粉を手で払おうとした。すると、鱗粉の付いた所が火傷のようにただれてしまった。

 レオは「うえぇ」と言いながら火傷の様子を見てみた。左手の肘から先に広範囲にポツポツとあるが、酷い火傷ではなさそうだった。レオ自身火炎魔法を使う身として火傷には耐性があるため、見た目ほど痛みはなかった。

 レオにとって、そこまで痛みがないのなら今はバグの方が重要だった。片羽が燃え尽きて地面に落ちてもがいている蛾形バグにトドメをさすことにした。


「戦うって言ったらやっぱ剣だろ!」


 レオは火炎魔法[ファイアソード]を繰り出した。それはその名の通り火炎魔法で造形された剣だ。

 レオはその剣で蛾形バグを真っ二つにした。すると蛾形バグは斬った口から炎が広がり、燃えて塵になっていった。



「……バグの大群、これで全部みたいだな」


 三人ともバグを倒した所でルシウスが口を開いた。


「ええ。そうみたいね」


「……あのヒト形バグ、行っちまった。……さっきのバグの大群、あのヒト形バグが呼んだのか……?」


 レオが一人言のように呟いた。


「……そうでしょうね。だってあれの歩いた跡から大群が出てきたし、そのまま行っちゃったってことはバグの大群を囮にして逃げたってことでしょ」


 アテナの意見にレオは何となく違和感を覚えるが、はっきりと何が違和感なのかは分からなかった。


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