目標はいずれ希望になる
私はサルだ親は昔に生き別れた。その時の台詞は「後悔の無いよう生きなさい」だった、もし私が戻れるなら親と別れる前に戻りたい。なぜついていかなかったのか、それが後悔だ。
私は群れから離れ一人で過ごすことが多い、森でやっていくには一人は心細いがフクロウのパートナーがいる。そのフクロウは親の昔からの知り合いだ。家族と別れた後に面倒を見てもらっている。フクロウは見た目の割に歳をとっていて、物知りだ。親が旅立つ原因もこのフクロウの入れ知恵だ。「ですよね、フクロウさん」「ホホっなんのことやら」この人は物知りだが曖昧にごまかす。「ホっまた親のことを気にしているのかい?」尋ねられた。「まあね、別れて2年経っても思い出すよ。なんせ親は唯一の存在だからね」皮肉を込めて返した。「ホっ君もわかるさ、あのときめきを」「君の親はこの夜の街の景色と、綺麗な星空に魅入られた。私は少し教えただけさ。この星の光はどこから来ていて、街の光はなぜ綺麗に見えるかをね。」私には星空で十分だった。人は恐ろしいのに何故親は人の街に出たのか。人の怖さを知らないはずがない。サルは基本的に森や山で過ごしているが、その面積は減っている。だがサル同士の縄張りの規則は無くならない。縄張りがなくなり街に出るしかないサルは、人間につかまると運がいいと森や山に戻れるが運が悪いと殺処分だ。電気を数分流されて殺される。「怖さを知ってても街に出るほど興味深い景色ってなんなんだ、理解できないよ。」「ホっまあそうだろう君にはまだハ-ドルが高い、まずはサルの群れで頂点になりなさい。苦労を積み重ねていけば、人の街に出る怖さより日々の苦しみの方が勝るから。」フクロウは長年この森を見てきた、この森の行く末を不安に思っているのだろう。先も見えない状態で現状維持は危ないと。サルながら考えてしまう。「ホっ私は夜からが本番だから狩りに集中させてもらうよ。早く君は眠りなさい、考えても未来は思い通りにはいかないし。悩むほど酷くもならないさ。」「また朝君が起きたら話の続きをしよう。群れに入る話をね」私はいつもどおりフクロウと過ごしてきた癖のある木で寝た。癖のある木は私が親と最後に夜を過ごした場所だ、私はここから離れられえない。群れに入るならこの場所を離れることになる。不安だったがフクロウがいれば何とかなる気がした。フクロウは物知りだ、私の弱点も知っている。群れに入る怖さと、心の支えだった親の残したつながりだ。でも私の良さも知っている。ただ現状に満足しない野心的な心も。