#03.腹立つのじゃ!ぐぬぬ...殴りたい
なんと、珍しく1日で2話連続更新!
九十九と時空神………いや、こちらではソラと呼んだ方が適切であろう。
「やっぱり、細かい位置を指定するのはめんどくさいのう」
「めんどくさいで、すませれるだけでもだいぶおかしいですよ?」
「やれん事はないが、集中せんといかんから凡庸性が低いんじゃよ」
「集中しないといけない時間なんてたかが5秒ですよね」
「うむ」
「うむ……じゃないですよ。はぁ……。これは、使うことさえできない者が多いんですよ。私だって、充分に使えるまでには至っていませんのに」
「じゃがな。戦闘では極めておれば逆転だって可能じゃ。不十分であればあるほど使用した瞬間、相手に隙を見せてしまうことになる。たかが5秒と言ったが、その間に再起不能なまで叩きのめされるぞい」
「そういう事を申しているのではないのです。これだから、戦闘狂は……。普段使いに便利ですねという事です」
「いやいや。5秒もレイやリンと会う時間が少なくなってしまうんじゃぞ!」
「はぁ……。もうらちがあかないです。それに、こう玄関で話してる時間が勿体無いのでは……」
「そうじゃな! ただい……」
「もう、玄関でうるさいよ。早く入ってきて」
「今、そうしようとしておったのに」
玄関が騒がしい事に気づいて、出てきた男性。
そう、彼が彼女達が『レイ』と呼んでいた存在だ。
つまり、ソラの夫だ。見た目は少し細身で日本人平均身長より少し低いくらいだ。顔は髭など生えてなく童顔。高校生、下手したら中学生と言われても通用しそうなレベル。
一方、ソラは膨れっ面だ。
学生とかでよくある「宿題しなさい」「今やろうとしてたのに」状態だ。
「ごめんって。ソラおかえり。九十九さんもおかえりなさい」
「うむ。ただいまじゃ!」
どうやら合っていたようだ。とても嬉しそう。
「主人がすみません。ただいま戻りました」
「ソラの扱いには慣れてますから」
「なんじゃおぬしら!」
2人が毎度のことながら意気投合している様子に嫉妬しているのか、膨れっ面が更に更に膨れっ面。
怒り方が小さい子のそれであるが、指摘すれば更に膨れっ面が大きくなるのはわかっているので言わない。
2人は、ソラに振り回されている同士分かり合えるのだ。まぁ、最近ではソラを振り回してもいるが。
妻が可愛かったのか、レイはソラの頭を撫で始めた。
「な、なんじゃ⁉︎ なんじゃ⁉︎」
「次は私ですよ」
「ちょっと待てーい! 何が、『次は私ですよ』じゃい! あと、レイ気軽に頭を撫でるでない! べ、別に2人きりのときはか、かまわぬg………。とにかく、家にはいるぞい! さっきから、ご近所さんの生温かい目が気になるのじゃ」
「「「お気になさらずに続けてください」」」
「う、う、うるさい! 家に入るぞい」
「「「ブゥブゥ! もっと続けろー!」」」
「もう、嫌じゃ……」
そそくさに家に帰ったソラ達。
その間、ご近所さんのブウイングが止まる事はなかった。なんともノリがいいご近所さん達だ。冗談だよね。本気だったならなんと怖いことか。
察しの通り、ソラ達は普通の住宅街に住んでいる。
ソラほどの高貴な身分の方が何故このようなところにともあったが、別に大した理由もない。ただ単にソラとレイ、両者たっての希望だ。
そして、先程のご近所さん達を見ての通り、おしどり夫婦としてちょっとは有名だったりする。
「ただいまー。あれ? お母さん達なんで、玄関に集まってるの?」
「おかえり」
「おかえりなさいませ」
「おかえり。まぁ、いろいろあってのう」
「ふぅーん。興味ないかなぁ。手洗いうがいしてくるね」
「最近、リンが冷たい気がするのじゃ。こ、これが、は、反抗期と、と、という、うもんじゃのか⁉︎」
ソラがとんでもないほど動揺している。
落ち着こう。とりあえず落ち着こう。
母親としては、心配なのはわかるが、神としてのメンツもあるから普段通りを取り繕う努力も出来ればして欲しい。
「先程から、ソラ様が百面相してて……。笑いを堪えるのに……ぶふっ」
「いちいち、腹が立つのう。ぐ、ぐぬぬ……。ぶん殴りたいわい。あと、おぬし、笑うなら表情動かせ。無表情で笑われると怖いんじゃよ」
ソラの百面相に耐えきれなくなった九十九は、笑いに堪えるのに必死だった。先程のリンの事など特に気にするほどの事でもないと判断して今は面白い方に集中している。それほどまでに、九十九にとってはソラの方が重要度が高いらしい。あと、ソラも言っていたが無表情はやめてほしい。小馬鹿にした感じがプラスされてしまう。
突然ですが、今レイは何をしているでしょう?
正解はーーーー!
階段の1段目に腰を下ろして温かく見守っているでした。空気に徹する。出来る男は違うなぁ。
「リン様に関しては大丈夫だと思いま……ぶふっ。すみません。思い出し笑いをしてしまい……ふふふ……。ゴホン。す」
「九十九舐めとるのか? 買うぞ? 何が、『す』じゃ。まじ、腹立つわい」
「ほんと、器が小さい。おっと、失礼しました」
「よかろう。その挑発のってやろうではないか」
先程から、ソラから殺気がダダ漏れしている。隠す気配がない。むしろ、九十九に後悔させようと泣かせてやろうと反省させてやろうという気満々である。もちろん、ご近所迷惑になるので対象は九十九だけだ。ソラも立派に成長したのだ。泣ける。
「九十九さんもそこまでにしてください。ソラもよしよーし」
「むむ。わ、わかっておるわい。ふん」
ソラは、撫でられたのが嬉しかったのか怒りがおさまったよう……
「九十九1つ貸しじゃ」
そうでもなかった。
そう言って、ソラはさりげなくレイと手を繋いで手洗いうがいにいった。もちろん、リンはもう洗面所にはいなかった。当たり前である。
(楽しくて、つい調子乗っちゃいましたね。しかし、時空様にあそこまで通じるとは……いや、あの方が単純なだけだろうか。まぁ、次は無さそうだから気をつけないと。さて、あの方に対価として渡せるものは私にはあるでしょうか)
その頃、ソラは
「なんか、今イラッてしたわい。九十九か?」
「もうそのことはおしまい。ご飯作ろ」
「う、うむ」
イチャイチャしていた。
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どうでしたか?
なかなか、話がすすまないですね(笑)




