あの日、自分がモンスターであることを知った。
Aniの原文は悠長すぎる。
新しい学校に転校してきてから1週間と3日が経った。でもできた友達は東雲さんだけ、まったく俺は清々しいコミュ障だな!まったく..。彼女が俺に優しいのは、たぶんいつも俺が一人でいるからだ。現に今も、ペンで俺の腕を突いている。
「東雲さん、勉強の邪魔をしないでくれるかな、今は授業中だよ。」
「私の事嫌いなの?」
「なんでそう思うんだよ。」
「じゃあ、嫌いじゃないってコトね。」
なんで笑ってるんだよ...。罪な女の子だよな。またペンで突いてくる。
「東雲さん、授業聞かないと成績落ちるよ。」
「大丈夫。」
東雲さんはニヤニヤ笑いながらテストを面前に突き出してきた。100点...勉強はできるらしい。授業を聞いていないのに?こういう人間は好きじゃない。俺は必死に授業を聞いて、勉強もしてるのにいつも平均点だ。
「自慢してるのかよ。」
「そういうわけじゃないの。ただ、私が授業中に遊んでもいい身分だってことはわかった?」
「君はいいかもしれないけどさ...」
「―――私が責任取るよ。」
耳元で囁かれ、つい体がビクッと反応してしまった。どういう意味なんだ...?一緒に遊んでほしいってことなのか、勉強教えてくれるってことなのか、どっちにしても...。集中だ、あんなセリフに惑わされては東雲さんの思うつぼだ。
そう思い彼女の方を見ると、笑っていた。遊ばれてたわけだ。
「顔赤くなってるよ?フフ..面白い..」
彼女の腕を掴む。少しビビらせてやろう。
「東雲さん、静かにしてくれないかな。」
東雲さんは何も言わない。顔を赤くして俯いている。何を思っているのか、俺にはわからない。
「内山君、教室の中だよ...」
恥ずかしそうにそう言われ、自分のしていることの意味に気付く。
「いやっ、そういう意味じゃ..」
手を放す。あぁ、最悪の雰囲気になってしまった。女の子の腕をあんなふうに掴んで、逮捕されちゃうよ...。先生に言われたら、ヤバい。
「ごめん東雲さん...やりすぎた。」
彼女が笑ってるのをみて少し安心した。正直言って嫌われたくなかった。彼女が唯一の友達なんだ。
「内山君。」真顔になって俺の名前を呼んできた。
「先生が呼んでるけど、答えは"10"ね。」
さすがだよ、彼女。
休み時間。飲み物を買いに購買に向かっていると、東雲さんが話しかけてきた。
「内山君、あのさ...」
「今週の日曜、内山君の家で勉強会しない?」
顔を赤くしながら言ってくる。
マジで?




