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何でも話せる友達?

作者: よち

平日の昼下がりの事。私は、地下鉄に乗っていた。


「学校、つまんなくてさ…」


座席に沿って吊り下がる手すりに掴まって、二周年を迎える携帯アプリゲームに勤しんでいた私は、右下に座っている女性の、そんな空しそうな声を耳にした。

声色は若く、恐らく、ハタチ前後だろうか…


「なんでも話せるような友達が、いなくてさぁ」


「へー。バイト先とかは?」


隣に居る友人は、少なくともそれには値しないらしい。

つまり、ただの友達以下であって、暗に「お前には、その価値が無い」 と言われているに等しい。

それに気付いているのかいないのか、恐らくは後者であろうお連れさんは、そんな言葉を返した。


「ないねー」

「バイト、何やってるの?」


「えーと、ガールズバーと、デリヘル」


なに?


平日の昼間である。

思いもよらない単語が飛び出して、私は思わず目線だけを送った。


…普通の、女の子である。


昨今は女子の定義が広すぎて、女子会って何歳までなんだよ…と、女子の法定年齢の3倍にもなろうかという方々が、平気でこれを口にする。


男女同権と叫ばれる時代に、同世代の男なら絶対に許されないのに、女性だと許される風潮はいかがなものか…


ジャ〇ーズの追っかけをする50代の女は許されて、〇〇坂の追っかけをする50代の男なら、即逮捕である。


「永遠の 16歳です」


こう言われて、思い浮かぶのは女性であろう。

男が口にしようものなら… その未来が想像できない。


昨今の女性が叫ぶ男女同権とは


「これまで虐げられてきた歴史を踏まえて、男子は女子の下僕になりなさい」


という事だろうか…




その女性は、まごうことなき、女子であった。

身なりが派手な訳でも無く、化粧が濃い訳でも無い。

学生と言うのだから当然ではあるが、街中を歩いている女の子と、何ら変わりがない…


しかも、かわいい…


「もう、フツーのバイト、しんどくてやりたくないわ」


職業に貴賎なし。

それはそれで立派な職業であるが、どうしてあなたみたいな…


前言を前提とした上で、思わず、見る事は無いであろう親御さんの姿が頭を過ぎる。



「あ、待ち合わせの時間、もう、過ぎてるわ」


そして、スマホを覗いて、そんな声。


「もう…電車のスピード、遅くない!?」


おいおい…


地下鉄は、時速60Kの制限速度を日々守り、定刻通りに運行をしている。1分の遅れでも遅延情報をアナウンスする日本の鉄道会社の皆さんに、謝るべきだ。

どう考えても、原因はお前…


「まあいっか。どうせみんな、遅れて来るし」


「……」


隣のお連れさんは、ずっと言葉を発しなかった。

呆れているのか…見下しているのか…その両方か…



結果には、概ね原因というものが存在する。


類は友を呼ぶ。類を以て集まる…

希望通りの人間が周りに居ないのは、自身がそれ以下。即ち、話を聞くにも値しないと思われているのだ…


傷の舐め合いのような話を、したい訳ではないのなら…



先ず、自身を正すべきである――


だが、残念ながら、それに気付く事は難しく、気付いたとしても、正す事は難しい――



「私が居るじゃん」


そう言い出す事のないお連れさんの態度は、きっと、正解である――

お読みいただき、ありがとうございました。

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