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#06 童貞は街を奪還した



 彼シャツで戦う女騎士……アリだな!! しかも下はノーブラときたもんだ!

 決めた……! 俺あのシャツ絶対ぇ洗わねぇぞ!! むしろ今夜使()()!!


 今日はなんていい日なんだ! 〝(ナマ)くっ殺〟に、スライム緊縛からのポロリに、女子マウント揺れ揺れに、女性からの暴行……!

 今夜は俺の右手がだいぶ荒ぶりそうだぜぇ……!!



「はぁッ!!」


「プギィイイイイッ!?」



 大斧で腹を真一文字に斬り裂かれた豚頭――やっぱオークだってよ――が、断末魔の汚い悲鳴を上げる。


 聞けばこの赤髪の美人女騎士――フローラは、この街の防衛線を任された軍の司令官らしい。

 住人は事前に全員避難させてあるらしいし、結構有能なんだな。


 俺が置いてけぼりにしてきた援軍が来るまであとどのくらいかは分からんが、城に魔王軍の襲撃を報せる伝令が着いてから軍を編成して、この街まで駆け付けるには……ちっと時間が掛かり過ぎたみたいだな。

 もっと早く俺がレベル上げに乗り出せていたら、あるいはこの街の至る所で物言わぬ骸となっている彼ら彼女らを、救えたのだろうか……?



「プギィイイイイイイイッ!!!」


「いてっ!? 何しやがんだこのやろっ!」



 背後から頭を棍棒で殴ってきたオークを殴り飛ばす。

 拳を当てる場所なんてどこでもいい。チートな祝福(ギフト)のおかげでどこを殴ってもだいたい吹き飛ぶんだからな。



「本当に、デタラメな強さだな……。なるほど、近衛騎士団を圧倒したというのも頷ける」


「そう言うフローラもやるじゃねぇか。伊達に軍団長を任されてないってワケだ」


「ハクヤ……お前が言っても嫌味にしか聞こえんぞ」


「ははっ、そりゃ失敬」



 軽口を叩き合い前線を押し返す。

 戦闘音を聴いて集まって来たのか、最初のオーク達だけでなくコボルトやゴブリンなんかも混ざってきたな。



「めんどくせぇな。フローラ、お前隕石降らせたりして一掃できねぇのか? この世界には魔法もあるんだろ?」


「バカを言うな。【流星召喚(メテオフォール)】なんて高等魔術、このような乱戦をしながら構築できるわけないだろう。だいたい私では魔力が足りぬし、そもそも敵に捕まる前の戦闘でとうに魔力切れだ」


「夢の無い話ですこと。おっと、……ほりゃ!」



 会話の合間に腰ほどの身長のゴブリンの頭を鷲掴みにし、群れている連中に向けてブン投げてやる。

 一直線にすっ飛んだゴブリンは仲間のゴブリン達を薙ぎ倒しながら突き進んで、廃墟の壁の染みに変わる。



「なあ、物資の集積所みたいなモンは無いのか? 魔力の回復薬的な物くらい備蓄してるだろ」


「……警備隊の詰所がそうなっているが、先んじて占領されてしまっていてな……。今頃はこんな連中と比べ物にならない、強力な魔物が詰めてるだろう」


「魔力が回復すれば魔法も使えるんだろ? それに強い奴らが居るってんなら、ソコを潰せば一気に逃げてくかもしれねぇし。外回りの雑魚共なんかは、援軍が来たら任せりゃいいんじゃねえか?」


「む、一理あるな……」



 まあぶっちゃけ、雑魚の相手に飽きてきたってのもあるんだけどな。


 もしこの魔物の軍団にアタマが居るなら、ソイツを潰せば盛り返せるかもしんねぇし、何より強いヤツ倒した方がレベルも上がるしフローラの好感度だって上がるかもしんねぇだろ!

 そして晴れてセッ〇スが解禁になった暁には、あのワガママなカラダと綺麗な声を堪能するのだ! やべ、ムラムラしてきたァ!!



「必ずモノにしてみせるぜぇ!」


「ああ、そうだな! ついて来い、詰所まで案内するっ」



 会話は噛み合ってなさそうだったが、俺達二人は群がる雑魚共を蹴散らしながら、物資が貯蔵されているであろう警備隊の詰所を目指したんだ。





 ◇





「ブラッドオーガ……だと……!? あんな奴まで出張ってきたというのか……!」


「あん? あの赤鬼さんみたいなヤツ、そんなに強いのか?」



 詰所付近まで移動した俺達は、近くにあった酒場の屋根に上がって様子を探っていた。

 詰所の建物にはまたぞろ魔物共がひしめいていて、そして建物の中庭――というより訓練場か?――の中央にドカリと胡座をかいて居る赤鬼は、確かに他のとはひと味違いそうな雰囲気を醸し出している。



「オーガ種の特殊個体だ。通常緑色の肌はあのように赤く、頑丈さも桁違いなのだ。そして何より、ただでさえ凶暴なオーガに輪をかけて好戦的で、危険度も段違いだ」


「へぇ……」



 ラノベみたいな便利な鑑定スキルなんか無いからな。こうしてご当地情報を教えてくれるガイドさんが居てくれて助かるぜ。しかも極上の美人で勝ち気なイイ女だもんな!


 安心しろよフローラ。俺がちゃんと守ってやるからな。そして見事世界を救った時には俺とセ〇クスしてくださいお願いしますっ!



「アイツは俺がやるわ。ついでに派手に暴れて他の雑魚も引き付けるから、フローラはコッソリ侵入して物資を確保して回復してくれ。観たとこアイツより強そうなのは居ないみたいだし、一気に片を付けるぞ」


「し、正気か!? ブラッドオーガは〝将級〟の魔物だぞ!? 単独でなど無謀過ぎるっ!」


「その〝将級〟ってのはイマイチ良く分かんねぇけどよ、大丈夫だ。観た感じ負ける気しねぇから」



 そうとも。俺にはさっさとこの街の魔物を追い払って、やらなきゃならんことがあるんだしな!

 何って決まってんだろ? お城に帰ってフローラからシャツを返してもらって、心ゆくまでお一人様プレイをするのだ!! だってセッ〇スできないなら自分でするしかないじゃん!!



「そんなワケだから、行ってくるぜ!」


「お、おいッ――――」



 悪いな赤鬼さんよ。俺の今日の予定はもう埋まってるんでね、さっさとご退場願おうかっ!

 俺はギフトの恩恵をフルに使い、酒場の屋根から思い切り跳躍した。うひょー! 半裸の上半身に風が気持ちいいぜ!



「おっじゃまっしまーーーっす!!」



 本日二度目のライ〇ーキックだ! 遠慮せずに受け取りやがれ!!



「ブゴルァアアアアアアッッ!!??」



 詰所の隣の酒場の屋根から、実に100メートル近くを跳び越えて、中庭に鎮座する赤鬼――ブラッドオーガに飛び蹴りを見舞う。

 ギフトの恩恵マシマシで放った蹴りはヤツの胸辺りに突き刺さり、そのままサーフボードのように俺を乗せたまま、地面を削りながら吹き飛んだ。



「しゃオラァ! 奇襲成功……って、あり?」



 さあこれからドンパチじゃー、と気合いを入れた俺だったが、足の下のブラッドオーガさんはピクリとも動かない。ありゃ、まさかの一撃ですかい。



「まあいっか。そんじゃ、取り巻き連中でも……」



 そう切り替えて顔を巡らせる俺だったが。



「ピギャアアア!!」

「プギィイイイイ!!」

「ピエン! ピエンッ!!」


「ちょ、お前ら……!? おおーい?」



 どうやら今蹴り殺したブラッドオーガさん、予想通りのコイツらの頭目だったらしい。それが一撃で倒されたところを目撃した魔物共は、叫び声を上げながら、蜘蛛の子を散らすように詰所から逃げ出していく。


 ……えーっと? つまりアレだな?



「ミッションコンプリートっ!!」



 片手を空へ突き上げ、重要拠点を制圧した俺は、高らかにそう叫んだのであった。





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