異世界探訪報告書 0日目 天界
今回は大分長いです…。
第2話 10コの世界 異世界編
「候補は複数あるので一応こちらのスライドにまとめてあります。是非ご覧下さい。」
「ありがとうございます。」
どれどれどんな世界があるんだ…?
※以下スライド内資料。
どんな世界か、ジャンル、就職予定職業(年齢)
近未来宇宙、SF、衛兵(26)
機械世界、SF、学院生(14)
魔法世界、ファンタジー、学院生(17)
剣と魔法世界、ファンタジー学院生(17)
剣世界、ファンタジー、学院生(17)
古代文明世界、ファンタジー、赤子(0)
現代社会、ミステリー、探偵(26)
現代社会、ラブコメ、学生(16)
新世界、ヒストリー、神(∞)
複数の世界、なし、渡航者(?)
※スクリーンに映っている資料を見ている。
…ん?学院生が多いのは分かるけど、ナゼか赤子やら渡航者やら神まであるし、右の数字は年齢だろうけど、そもそも?才って一体?
「あー、思うところはあると思うのですが、その辺も含めてマニュアル通り説明させて頂きますね。一応、候補の10コから選択、という形で転生して頂いています。」
「分かりました。お願いします!」
「それでは説明に入らせて頂きます。」
「まず1つ目の世界ですね。近未来宇宙ということで宇宙を股にかける衛兵として転生して頂きます。こちらからは転生特典として1.ハイスペックの宇宙船(専用の艦体並)2.異常な財産量(20年遊んで暮らせる程度)3.完璧な26才の肉体(オールSランクレベル)などがまとめて贈呈されます。それか」
「ここでいいですか?」
「一応話は最後まで聞いて下さい。条件付きでして、船舶免許と宇宙飛行士の資格を取得して安全を確保してもらう必要があります。なので実際には、異世界転生オレTUEEEEEEは1年の修行を経てから、という形になります。1つ目の世界の説明はこれで終了です。」
1年後かー…。中々キツそうな道だけどロマンはあるよな。…他の世界の話を聞いてからでも遅くない気がするし、一旦保留だな。
「話を聞く気になってもらえて嬉しいです。
それでは2つ目の世界の話ですね。機械世界ということでアーツという名前のハイテク機械について学ぶことが当然の世界で異世界転生オレTUEEEEEEして頂きます。こちらからは転生特典として1.専用アーツ(一騎当千レベル)2.豊富な財産(知識、パーツ、技術など)3.完璧な14才の肉体(以下略)などがまとめて贈呈されます。なんとなくお察し頂けると思いますが無条件で完璧な肉体として転生して頂けます。同様に全ての世界において条件付きとなります。この世界では学院生として転生して頂くので学院生の体で自動車の運転免許を取得して安全確保して頂きます。さすがに1年とは言いませんが年齢は14才を想定しておりますので、2ヶ月程度で大丈夫だとは思います。祖国とのギャップ差だけが条件というところでしょうか。これで2つ目の世界の説明は終了です。」
なるほどテンプレだ。聞いてみるとテンプレ転生している人たちもきっと修行を経て転生しているかもしれないわけだ。ただギャップ差が大きい条件は痛いかもだな。ここも保留にしておくか。
「では3つ目の世界の話です。いよいよお待ちかねのファンタジー世界、中でも魔法が実在する世界です。ここでも学院生として魔法を学んで頂きます。条件としては魔力酔いと急性魔素中毒対策のトレーニングを現地時間で1週間行って頂く程度ですが…、今までの転生者の皆さんはかろうじて耐えたレベルですので、ハッキリ言ってキツいです。こちらからは転生特典として1.圧倒的な魔法知識(単位は万らしい)2.空間魔法に対する慣れ(無限空間を有する)3.完璧な肉体(以下略)などがまとめて贈呈されます。これで3つ目の世界の説明は終了です。」
たしかに、待ってました!ってやつだけど…ナゼか前の世界の条件と評価のレベルが違くないか?ハッキリ言ってキツイとかどーいうトレーニングなんだよ…。
「ファンタジー世界の条件はかつての世界とのギャップ差が他の世界よりも大きいのでどうしても条件が厳しくなってしまいがちなのですが…かつて日本にいらっしゃったは皆様はなぜかこれらの条件を呑まれるのですよ。ファンタジー世界願望が皆様、お強いのでしょうね。」
異世界転生と言えばファンタジー世界、ってイメージはたしかに強いからな…。キツイトレーニングって言ってもまだマシな方かもしれないしとりあえず決定は全部の世界の説明を聞いてからにするか。
「この場所はもうお分かりになってらっしゃると思いますが、天界ですので時間の概念はありません。ゆっくり決めて頂けますよ。」
分かりました。次はどこですか?
「続いて4つ目の世界ですね。この世界も同じくファンタジー世界ですが3つ目の世界とは違い、剣と魔法が共存する世界です。3つ目の世界では剣、と言えば魔法で作り出すものですがこの世界では剣、と言えばあなたも知っている、至って普通の実物の武器です。同じように学院生として剣と魔法を学んで頂きます。最も異世界転生先のイメージとして強い世界なのですが…、条件は剣道5段の資格の取得に加えて魔力酔いと急性魔素中毒対策のトレーニングの2段構えを同じく現地時間で1ヶ月です…。正直言って、10コある世界の中で1番ハードな条件です。その代わり、こちらからは転生特典として1.最強の17才の肉体(以下略)2.専用の聖剣とオリジナル魔法知識(聖剣は言わずもがな、オリジナル魔法は同様に1万を裕に超えるほど)3.空間魔法に対する慣れ(以下略)などがまとめて贈呈されます。これで4つ目の世界の説明は終了です。」
「あのー、「はい。」倍率でもあんの?って思うぐらいにはハードすぎませんか?」
「…実を言いますと、ほとんどの転生者の皆様がこのようなファンタジー世界を選ばれるので他の世界に人が段々寄り付かなくなってしまっているのです。こうなってしまいますと他の世界が段々消えていってしまい、後にいらっしゃる転生者の皆様に、転生先の候補の自由が保証できない状態になってしまうのです。我々は転生者の皆様には新たな人生を幸せに過ごして頂きたい一心ですので、大変申し訳ないですがこのような措置を取らせて頂いてます。」
ナゼかとてつもなく申し訳ない気持ちになってきたな…。
「なんか…すみません。」
「いえいえ、皆様の自由のためと言えども、心苦しい思いをして頂くことになっていらっしゃる現状を変えるべく、我々も日々行動しておりますので、謝るのはこちらです…。」
なんか…人間のエゴを知った気がするな。
「あ、すっかり忘れていたのですが、今ここ天界では転生特典…いわゆるチートを擬似的に体験して頂けるのでした。よろしければ体験して頂いて…とその前に、魂だけでは体験して頂けないでしょうから思い切って17才の完璧な肉体に魂を移そうかと思うのですが…よろしいでしょうか?」
「お願いします!できればチート体験は後から一気にしたいので後回しにしてもらっていいですか?」
「分かりました。それでは…一富士、二鷹、三茄子‼︎」
なんでそれ?って、いつの間にか体の実感がある‼︎力がみなぎるってやつだこれ!
「一富士、二鷹、三茄子は日本では縁起がいいですからね。体もありますしそろそろ説明に入ってもよろしいでしょうか?」
「ちょっと待って下さい。その前に1つ気になったことがあったので質問いいですか?」
「どうぞ、どうぞ。」
「体が出来上がる前に何度か声を出せた気がしたのは気のせいだったりします?」
「気のせいではないですが…。なぜか出せてらっしゃるのですよね。本来は声を出すことは不可能なのですよ。魂ですから。何かしらあったのでしょうか、またこちらで調べさせて頂きたいですので、その際はご協力して頂いてもよろしいですか?」
「分かりました。」
「それでは5つ目の世界ですね。」
「はい!お願いします‼︎」
「承りました。5つ目の世界は大半が3つ目の世界と同じなのですが、剣を主とした世界ですので条件はお察しの通り、剣道5段の資格を取得して頂きます。こちらは実を言いますと時間に関する制限がありませんでして…精神的にはキツイ部類に入ってきますね…。転生特典としてこちらからは1.相変わらずの聖剣(相手の剣を学ぶ能力など)2.剣を扱うにあたる力(言うなれば剣魔法とでも言う)3.完璧な(以下略)などがまとめて贈呈されます。これで5つ目の世界5の説明は終了です。一応ここで一般的、と呼ばれる世界の説明は終わりましたので、少し休憩といたしましょう。」
「ありがとうございま…え?一般的、ってことは次からは…まさか…、」
「ええ。お察しの通り、ありふれた世界ではない、本当の異世界。異常な世界です。」
ラブコメが、ミステリーがテンプレじゃないって逆にどんな世界だよ⁈
まだあと半分の世界が残ってますが、
しばしお付き合い下さい。