1-1-2-10 ワン王妃
ワン王妃ーーーーーーその言葉を聞いたワンは膝を付いた。
「皆さんは知らないことが多いと言っていましたね。私もその1人です。ワン王妃……。そう言われるようになったのは、つい最近のことなのです。まさか自分がそう言われる日が来ると思っていなかったので……」とワンは言った。
「ワンさん、何があったんですか?」とステラは聞いた。
「実は私は、ビンサール王国の属国大人材国東王ケツチュウ様の王妃に選ばれたのです……」とワンは言った。
モンシュは密かにヒールを唱えた。ワンの様子を見て、心配のようだ。みんな黙って聞いていた。
「私が、警備兵と名乗ったのは、私の身を隠したかったからです。私には、最近まで結婚していた男性がいました。しかし、その人は、別の女性の元へと……。いえ、仕方ないことです。お相手はクーテ様。ビンサール王国の属国で大人材国西女帝クーテ様の宦官となりました」
みんな沈黙していた。魔物たちも真剣に聞いている。
「人間の世界はそのようになっているのか……」とサガラスキは言った。
「はい……。私は怖いのです。ケツチュウの王妃になった人間は、酒をお腹いっぱいに含まされて、お腹を踏まれる人がいると言います。それは、ビンサール王国の国王や重鎮が来た時に、度々行われるそうです。そして、一部の肉を裂かれ、献上するそうです。その時には、西女帝クーテ様が宦官を引き連れて来ます。その宴会の席で行うそうです。……私はハジュン様を信じていますが、そうしたことは絶対に嫌です」
桜は引いていた。
「いつからそんな……気持ち悪い」
「それが臣従の証なのだそうです」とワンは言った。
「私たちが守るわ」と桜は言った。
メリーも「絶対に見過ごせません」と言う。
ラージュは「久しぶりに勇者として……」と言ったところで、ステラが「ちょっと待って……」と言った。
「ワンさん、今はまだ早すぎるかもしれないけど、本気でハジュン様のことを信じ続けるつもりなのですか?」とステラは聞いた。
「はい。私にはその道しかありません。これからもずっと……」とワンは言った。
ステラは「ワンさんを助けたいのは私も同じだけど、本当に助けてほしいですか?」と聞いた。
桜は「えっ? ステラ、あなたちょっと何言ってるの?」と言った。
ステラは黙っていた。
「ハジュン様がつくってくださった世界です。嫌とはいえ、苦痛ではありません」と言った。
桜はワンを叩こうとした。
それをステラは桜の手首を掴んで止めた。
桜は「ごめんなさい。言っても伝わらないと思ったから」と冷静になった。
「ある時は、たとえ夫が先立とうとも操を守ることが大人材国では第一とされてきました。それを守れず自殺した人が英雄とされていたほどです。国、時代によって、考え方は異なります。私にとって今は、ハジュン様が第一なんです」とワンは言った。
そこに無線が入った。
「今、どちらにいるのでしょう?」と。
ワンは、「神様の皆様ありがとうございました」と言って、外へと出ていった。ルンルンもジッとそれを見ているだけだった。誰もワンを追えなかった。桜は呆然としていた。
そして言った。
「結局、あなたが変わらなければ、何も変わらないじゃない……」
一応、自分なりにワンとルンルンの関係性が繋がりました。ただ、本を読んでもあまり理解していないため、それを文章するのは難しいと思います。
色々な考え方を、分かりやすい文章のストーリーにしている人はすごいなと思います。学んでいきます。




