1-1-2-6 ルンルンの話
ルンルンは自分も何か忘れているかもしれないと思ったのか、「記憶を映像化できる機器を使わせてほしい」と言った。
ワンは「ルンルンさんは、持っていなかったんですね。思った以上に自分の記憶が戻るのはしんどいですよ」とルンルンに言った。
ルンルンは「心配してくれて、ありがとう。私は、ワンさんの姿を見て、自分も思い出したほうがいいと思ったんです。お願いします」と伝えた。
「分かりました。映像化してもいいですよ」とワンは言った。
準備が整って、映像が流れた。
その映像は次のようなものだった。
------------------------------------
私はルン・シュンル。普段はルンルンと呼ばれている。大人材国には無い医療技術を学びたいと思い、科学連邦まで向かった。
西の果ての国では、科学的に証明できないことは無いという考え方が一般的らしい。
大人材国では、民族と宇宙が強く結びついており、宇宙と結びつく力があるために、私たちが発展してきたという考え方が一般的だ。そして、その宇宙を統べるのが皇帝だ。宇宙のあらゆる事象を操作できると考え、人の体にもそれを当てはめた。
------------------------------------
「名前、ルン・シュンルって言うんだ」とラージュは言った。
「すみません。まだ言ってなかったですね」とルンルンは言った。
映像の続きが流れる。
------------------------------------
科学連邦で学んで何年か経過したある日、皇帝が大雨のためにどこへ消えたか分からないというニュースを知った。
そこで混乱が生じて、コガネイロノタイヨウ帝国とビンサール王国が、大人材国に宣戦布告したということもニュースで知った。
ビンサール王国には、強力な軍隊があるらしい。もう国は終わりかもしれないな。
国の内乱と外敵の侵攻は同時に起こった。
私は科学連邦内でそのニュースを注視していた。どうやら、コガネイロノタイヨウ帝国もビンサール王国も最新の武器で戦いを仕掛けているらしい。
一方で我が国は、地方の貴族が皇帝になろうとしたりと混乱の極みだ。
それから数ヶ月して、大人材国が降伏したとのニュースが流れる。私は科学連邦に住むことにした。
科学連邦内で気になることといえば、年々自殺者が増えていることだ。ムゲンクノウという偉い神官の方が来て、救いの道を説いて広めているらしいが関係あるのだろうか?
そのため、不老不死の研究が行われている。もうすぐ、それは人類の新しい一歩の幕開けとなるだろう。
------------------------------
映像はさらに続く。
------------------------------------
不老不死の薬を科学連邦は開発した。その薬は「ホウマツ-1050」と名付けられた。そこには「10歳〜50歳くらいの健康な身心で、寿命が尽きることなく、肉片が気体になっても10年程度で再生するであろう魔法の薬です」と書かれている。
世界中の人がそれを服用した。
私は本当に変わったのかと思っていた。それからは異様に時が早く過ぎた。毎日、死にそうなほど急いでいた。人間の苦痛は、不老不死の安心感を超えていると思った。戦争は無くならないし、時間が足りないようになっているらしい。人々が平和な心、美しい言葉を忘れるほど時間がない。
そしてある日、猛烈な熱と光が走った。
目が覚めると、動こうとするが動けない。他にも人がいるようだが、みんな同じ状況らしい。痛いっ!
「うー……うー……」
「あれが俺たちの同族とはね……」
何だろう。声が聞こえる。誰か私を助けて……。
「そのケースに触れるな。殺すぞ!」と誰かが言う。
私の手には感触が無い。誰かがケースに触れたのだろう。こんな状況で私は生きている。本当に不老不死なんだな……。
「うー……うー……」
「コーカイ様、こちらが被験者です」との声が聞こえる。
「ありがとう。ハジュン様はおっしゃられていた。みんなが楽しく過ごせるようにいつまでも祈っています、と」
「……ありがとうございます」とすすり泣く声が聞こえる。
体が痛い。肉体が元に戻っている。
「ルン・シュンル。ハジュン様があなたを治してくださいました。よく耐えてこられました。これからもよろしくお願いします」と言われた。
私は見ず知らずの人に治してもらったようだ。
この恩に報いていこう。
その施設の名前は、伏魔殿第2神官コーカイ第6管轄焦熱地区研究所という。
………。
------------------------------------
「ここまでにしておきます。ちょっと疲れました」
「お疲れ様……」とラージュは言った。
「どうも、納得のいくものは得られませんでした……」とルンルンは俯いて言った。
「いや、すごいよ……」とラージュは言った。
11万字いったので良かった。




