1-1-1-68 ミイラ化は即身成仏
コーカイの話を続ける。
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私が2つの太陽を与えた星々を数日後に回るとみんなこう言っている。
「ハジュン様、助けてください。助けてください」
ハジュン様に助けを求める求道心。
私も見習わなくてはならない。
星々の人々の元へ向かうと、ある人から石を投げられる。
「お前が太陽を2つに分けたせいで、水が無くなってしまったじゃないか! 洪水の時より死ぬ人が多くなるぞ!みんな、みんな死んでしまうぞ!どうにかしろ!」
私に対する批判の言葉か。
だが、それも星が救われた証と思っておこう。
「ハジュン様、星々を救って頂き大変にありがとうございます。私は嬉しく思います。道理の通らないことを願い、それが救済者によって実現できると必ず救済者を批判する者が出てくる。そうした無認識の攻撃がどれほど愚かな行為なのか、彼らは知らないのだ。私は宇宙の多くの星々を救おう。救済者を求める星は他にもないだろうか?早く救わなくては可哀想だ」
それから数日すると、その批判者は綺麗な顔になっている。まるで何日も欲望に耐え抜き、自ら修行を完成させた人のようだ。これが仏なのか。これこそ、即身仏というのか。私は夢見たことがある。自らの欲望に耐え、自らの体のままで、仏になる者がいると。
これがそうなのだ。私はその人の手を取る。ボロボロと崩れ落ちる。
「ようやく仏になったのですね。ハジュン様、ありがとうございます。私は即身成仏の姿をこの目で確認することができました。私もこのように生きられるようにいつまでもハジュン様を信じて、励んでいきます」
私があたりを見ると、そこにはたくさんの仏が眠っていた。
「おお! 素晴らしい世界だ。私は嬉しい。仏の国土にすることができたのだ。2つの太陽が照らし晴らすこの星。なんと数日で仏になられた方々が大勢いる。もっと見たい!もっと見せて頂きたい! この記録を形に残すには……そうだ!仏になられた方々をハジュン様にお見せして教会に飾って頂こう!」
いくつもの星で仏になられた方々が確認できた。
三千世界を縦横無尽に動ける私は、この三千世界を全て仏様のおられる星に変えられたのだ。
これこそ国土を変じて仏様の国にするということではないか。
一つ一つの星から仏となられた方々を曼荼羅に秘めていく。
これは素晴らしい曼荼羅になる。
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ここからまたステラたちの元へ戻る。
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ステラは、黙って泣いていた。
ぐっと手を握りしめて映像を見ていた。
涙が出てくるたびにさらに涙が出てくる。
「私は無力だ!」
ラージュを除き、みんな涙を流していた。
ラージュはハジュンを見ていた。
「ハジュン、これがやりたかったのか?俺がやろうとしていたのは、こんなことじゃない!」
ハジュン(男)は言った。
「仏とはいかなるものか。ラージュはこの神官たちに仏陀の位を認めた。コーカイの誓い。それは、全ての人に宇宙の真理を広めるという誓いだ。素晴らしいことじゃないか。みんなが喜びに満ち溢れて、すぐに宇宙の真理を悟ったから仏になれた。これは間違いなく素晴らしいことだ」
ラージュは首を振る。
「話が通じないのか?」
ハジュン(男)は言った。
「ラージュ、君の世界の人間も楽しんでいたじゃないか? この世界では君も楽しんでいたね。私は、何もできない代わりに、楽しむ姿が見たいだけだ」
ラージュは「ハジュン! お前にとって楽しむ姿とは何だ! 人が滅んでいるじゃないか!」
ハジュン(男)は笑顔で言った。
「楽しすぎて、滅んでしまったのは、自身の生命力の限界まで楽しんでいるからだ。ラージュやその仲間たちはそう思わないのかもしれないね」
ラージュは膝を付けて、拳で床を殴った。
「どうすればいいのかわからない……」
ハジュン(男)は言った。
「それはそれとして、コーカイが仏になった人々を持って帰るまで時間がかかる。次の神官、フーコンゼンを見てみよう」
三千世界が……。
とにかく書いていこう。




