1-1-1-66 目の前で見る太陽
私は、大きな星に近づいているのを感じる。
太陽だ。
灼熱の太陽が肉体を焼き払おうとするが、私はそれに耐える力を持っているため、焼き払うことはできない。
私の目で確認できたのは、それが燃えているということだけだ。
「ハジュン様、見ていますか?今、私は太陽を貫きます」
私は太陽に潜り込んだ。
曼荼羅に入れた書物を全て焼き払い、太陽を貫く。
だが、何も起こらなかった。
「私では無理か……」
私は考える。太陽にもう一度潜ってみる。
常に燃えている。爆発しているのか……。
「この一つ一つの爆発をずらしたらどうなるのか」
実験をしてみよう。
まずは一つの爆発に「止まれ」と言ってみる。
時間が止まる。
広大な空間での爆発だったのか、私を覆うように時間が止まる。
「なんて巨大な爆発なんだ。地球よりも小さく見える星が、地上を焼き払おうとする力がある理由が分かった気がする。大きな爆発を少しずつ止めていくのは、手間はかかるがやってみるしかないだろう」
恐らく動かしてしまえば、また大きな爆発で地上を焼き払おうとするだろう。
正しい法を広めるための大事な地球を焼き払おうとするこの天魔の力を止める方法は、時間がかかっても、少しずつ止めていくことだ。
ハジュン様はご覧になられているだろうか?
無粋な作戦ではあるが、認めて下さるだろうか。
「貫くだけでは落とせない。ならば、この爆発を少しずつ止めていこう。星というのは、私にはあまりにも巨大だ。この星も正しい法を破壊するために今も生きているのだ。早くその息の根を止めて、地上に打ち落としてみせます」
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ここから、ステラたちの話に戻る。
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こうして、エンジは少しずつ太陽の爆発を止めることにした。
ハジュン(男)は、「そこへ行って励ましてあげたいくらいだよ」と言った。
ステラたちは沈黙していた。
何も言えなかった。
「何か励ましの言葉を届けたいと思うが、太陽を打ち落とすために頑張っているエンジに、みんな励ましの言葉はあるかな」とハジュン(男)は笑みを浮かべて言った。
「無理だとは思うがやめさせろ……もし時間を止めることができたら、地球が滅ぶぞ」とラージュは言った。
ハジュン(男)は「人間には無限の可能性がある。エンジは、太陽を打ち落とし、人々に役立てようとしている。太陽が私たちの手に入れば役に立つ。それを止めることは、人間の可能性の否定にならないか?」と言った。
「人間の可能性は否定しないが……何かもう次元が違うんだ!」とラージュは怒鳴った。
ハジュンは「私は、別に構わない。まあ、エンジは、太陽を打ち落とすのに、まだまだ時間がかかるだろう。他の神官を見せてあげよう」
メリーは「こんなのがうじゃうじゃいたなんて……」
と言い、体を震わせていた。




