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1-1-1-62 ハジュンの見たものの授業

 全てのメンバーがクラス分けされた。ケイラはクラス4に入ることになった。クラス0でステラは、特に見向きもされずに、席に着いた。


 学園では半年前から新しい授業が始まっていた。

「異世界についての文明崩壊学」というものだった。


 この授業では、異世界の文明が崩壊する様子が映される。その授業をクラス0の生徒たちは受けていた。


 大きな青い星にある肌色と緑色の大地に点々と光が見える。地上へと映像が切り替わる。


 白髪のスーツを着た男性が2人立っている。何かの映像を見ている。


「大統領、これから人類は新しい歴史を紡いでいかなければなりませんね」


「ああ、そうだ。我々は何度も危機に見舞われてきた。人類悪との戦争、ウイルスとの戦争、そしてまた人類悪との戦争、その度に立ち上がり、戦ってきた。そして勝ってきた。我が国は勝って、歴史を紡いでいくんだ!」


「光あれ!とは我が国が神の代理人として、世界と行った契約から始まるという歴史を紡いでいく光のことだと、私は確信しています」


「まさか2000年以上も経て真実となるとは、私もこの言葉から始まった通りの世の中になって嬉しい」


 光を見る2人の男性。2人とも笑っていた。光の後には大きな雲がかかる。その地の映像が映る。


「……」


「……」


「……」


「……」


「……」


 誰一人生きておらず、生きているものは映っていなかった。


 神官デーヴァは泣いていた。


 クラス0の皆泣いていた。


「こんな荒れ果てた世界になって、悔しいのは異世界の人だけじゃない。私たちがあの世界に生まれていたら良かった。救ってあげたかった。みんな悔しいよな!」とデーヴァが叫ぶと、生徒たちは嗚咽を漏らした。


「ううううう!!!」


 ステラは、この映像がラージュのいた世界だと悟り、泣いた。


 神官デーヴァは涙をこらえながら言った。


「ハジュン様はこのように映像に残してくださいました。 以前紹介したように、異世界では、自分の人生は自分で決めるという思想が覆っていました。しかしながら実際はあの2人によって、世界は滅びてしまった。こんな風にしたくないと私は思う」


 みんな頷いていた。


「異世界は楽しげで心地良いという思想があるなら、その思想の持ち主たちは全滅させなければなりません。そうしないと、またこんなバカなことをする人々の世界になってしまいます。あらためて、ハジュン様に導いて頂けることに感謝しましょう」


 ステラは何も言えなかった。涙を抑えられなかった。こうして、クラス0での授業が終わる。


 ステラは誰にも聞こえないような小さな声で言った。

「あなたはそれを楽しんで見ていた……。だから絶対許せない」


 放課後。ステラはクラス5とクラス4の人々を待った。映像の話は他のクラスでもされているのを知った。

ここで言えることは、ハジュンは本気でこれを映像化して平和を目指しているわけではないということだ。

どうすればいいかは分からないが、分断が心まで壊してしまうというのは止めたいものだ。

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