1-1-1-59 アリア帝国に育つ木
ステラたちの動向はしばらく置いておく。
アリア帝国では、兵たちの訓練が死に物狂いで行われた。その軍隊は死を恐れることは無いと、他国では噂になった。
アリア108世の忠臣で大将リアストは「決死の覚悟無くして、一命救いがたし」との指針を示して、厳格なルールに則った統制機構を組んでいった。
大将の下には中将があり、中将の下には少将がある。
さらに下にも様々な地位がある。
兵士の1人は「王城には、欲望が詰まっている。民衆を解放するのだ。我らは不死の行進者だ」と語った。
ムゲンクノウはその勢いを見て「これでハジュン様に満足して頂けるかもしれない。私ができることは数が少ない。だが、アリア帝国の中に広がった勢いは、自分でも想像できないものだ」と言った。
ムゲンクノウの信者は日に日に増えている。
ある信者のソンカイは、木の上から異世界に行くことを試みようとして失敗した。
「痛みがひかない……これは異世界に行くことが失敗したからだ。できることならもう一度木に登り、異世界に飛び立つために首を吊りたいものだ」
そのソンカイの行為が、信者が住んでいた場所の隣の人、ハンカイからは"その手があった!"と思わしめた。「どの木が1番首を吊りやすいだろうか?」と探し始めた。
そのハンカイもムゲンクノウの教えの信者だったのである。
そこは、小さな村だった。
ソンカイ村と言い、ソンカイが村長であった。
ムゲンクノウの信者が激増した村だった。
そこには生命の大木と呼ばれる大きな木があった。
枝が柔らかく、首を吊りたい人にとっては、困りものの木だった。
そのため、ハンカイは、大木を切ろうとした。根からは、赤い液が出てきた。
ハンカイはそれを飲んでみた。
それからハンカイは目を覚ましていない。その光景を見た人々は、これをハンカイが異世界に行ったと思ったのだろう。
ソンカイ村ではその大木の液を求めて、皆が木を切った。
木は真っ赤に染まり、枯れてしまった。
そして、皆が目を覚さなくなった。
そこへ立ち寄ったムゲンクノウは、大木の液の味をこう語る。
「海水のような塩辛さに鉄のような苦さ……とても不味いな。不思議な木だ。皆、眠っているのか……」
アリア帝国には、このような木がいくつか育っている。
展開が難しい……。
読んだ本のスケールがデカすぎて、自分の世界が人一人というもので狭すぎる場合、もっと人とも話す機会があるといいのか……。
だが一人で今は書いていこう。




