1-1-1-57 王城に攻め込む者たち
王城のあるビンサール王国は、とても広い。
とにかく広い。
広いからこそ、外敵も多かった。
その1つが西にあるアリア帝国である。
アリア帝国第108代皇帝アリア108世は、王城に勇者がいなくなったことを知り、これを機に一気に王城まで攻め込もうと考えていた。
大人材国との国境沿いに存在するため、大人材国まで攻め込むことも考えられた。
もう一つの国が大人材国である。
大人材国は王城での戦いで疲弊していたが、大人材国の皇帝は攻め込む用意を整えていた。
この2つの大国に挟まれていたのが王城のある国ビンサール王国である。
国王ビンサールは、神官たちを呼び出し、勝利の儀式を嘆願した。
神官たちはそれを了承し、祈祷の儀式を行った。
豪華な儀式であった。
アリア帝国、大人材国にも、その儀式の盛大さは伝わっていた。
皇帝2人は、何が起こるか分からないため、ひとまず様子を見ることにした。
程なくして、大人材国には、フーコンゼンという神官が訪ねてきた。
フーコンゼンは、「私はこの世界に楽しさを届ける者であります」と言い、教えを広めた。
その教えは魔法の呪文で幸せになるという内容だった。
アリア帝国には、ムゲンクノウが訪ねた。
ムゲンクノウは「一切は苦しみ。全てはこの世界を捨て去ることにあります」と訴えた。
どちらの国の皇帝もその教えの新鮮さに興味を持った。




