1-1-1-55 夢に出る光景
ラージュは寝るたびに夢を見た。
ハジュンが、笑っている姿を。
その理由が『人間が楽しいと思っているから』というもので、ラージュには、その言葉の意味が分からなかった。
それを桜に相談してみた。みんなは寝ていた。
桜は、夜空の見える丘へとテレポートして連れて行った。
「誰もいないほうがいいんだろう?」
「ああ、ありがとう」
「それで、私の思うところとしては、ハジュンの言っていることは、あってはならないことだと思う」
「ああ、だが俺の場合は、戦争が怖いなんて思ったのはあれを見てからだ。それまでは国内外の問題を、いつまで話し合いで解決しようとしているんだと思っていた。みんなで戦って、勝った方の言う事を聞けばいいと思っていたんだ」
「私は、まだそういうのは分からないや。同じ地球に住んでいたんだ。これって意味のあることだと思わない?」
「桜は、カオス要素が好きな中二病だと思っていたんだけど、変わったのか?」
「失礼な。私は自分が好きなことと、分けて考えるだけだよ。台風の日に外に出て死んだからね」
「それはすまないな」
「いいよ。それにしても、今になって思うけど私の両親も死んだのかな」
桜は、上を向いていた。
「……ごめん。俺だけじゃないんだよな」
「マリアさんもいるんだよ」
「えっ? どういうこと?」
「マリアさんは、妹のケイラさんの中に生きているみたい。何か手違いでもあったのかな?」
「マリアが生きているんだ……」
「恵まれているよね。私たちは」
桜とラージュは、しばらく夜空を見ていた。
「桜は、ここでは何て名前だったの?」
「唐突だね」
「ああ、何か気になってさ。悪い悪い」
「私は元から桜だよ。なぜかは知らない。もちろん、死ぬ前からね」
「変わらない人もいるんだ」
「両親の名前がプンダとリーカなのに私は北東の花が好きだからとか言って、桜になったんだよ」
「へー、俺の知らない名前だな。……今日はありがとう。少し楽になった気がするよ」
「いやいや、付き合いが長いからね」
2人は家へと戻った。
最近本読んでないな….。




