1-1-1-53 翻訳について①
「あの本を翻訳してほしい」とグリドラーから言われたラージュ。
それはラージュが"ただ誉めるだけ"と評価した本である。
「ある法則性について書かれているがその翻訳が難しい」とグリドラーは言った。
「もしかして、それでハジュンが倒せるのか?」とラージュは聞いた。
「倒すことはできない。私が知っているのは、ある人の言葉だ」
「誰なの?」とステラは聞いた。
「それはね、私の第2の母、メアリー・ベリーだよ」
「メアリーが?」とラージュは言った。
「メアリー・ベリーは『この本が世界に残る可能性が出てきたら、その時を大切に』と言っていた。『アーリマンや、そうした混沌から生まれた存在のことが分からなければ、私が何人いても、何年生きようと何もできない』と」
ラージュは言う。
「アーリマンは、消滅したんじゃないのか?」
ラージュの疑問に対して、グリドラーは「アーリマンは顕現した何かだ。ラージュが生み出したハジュンは何を顕現させたんだ?」と言った。
ラージュは「第六天の魔王という支配欲の権化とか言われて尊敬されている神みたいな存在かな」と言った。
ステラはその話に入っていった。
「アーリマンもハジュンも同じ存在なのではないかしら」
グリドラーは言う。
「そうなのかもしれないね」
ラージュは言う。
「ああ、何か現実世界でもこんな話が……」と言ったところで、桜が「アーリマンとかハジュンとか、私が好きだったな。でも、宗教が違う」と言う。
ラージュは「詳しいな」と言った。
「アーリマンはゾロアスター教とかで、ハジュンは仏教。でも、悪というのは変わらないな。ふむ……悪というのを詳しく書いたのが、その本なのかな」
ラージュは「いや、そんなのではなかった。善悪とか関係なく誉めていた」と言った。
「まあ、世界線的には今はハジュンが敵の世界線に入ったと考えたほうがいいのかな」と桜は言った。
ラージュは言う。
「まあ、そういうことでいいとしようか。でも、翻訳は分からないな」
難しい話にケイラはウトウトとして、眠りこけた。
ステラは、「みんな疲れているのかも」と言った。
「ごめんごめん。ケイラ、起きなさい」とソリは言ったがラージュが「いや、寝かせてあげよう。」と言った。
「お兄ちゃん、大好き」とケイラは寝言を言う。
ラージュは顔が真っ赤になった。
「いや、俺は異世界転生者だから、本当に妹として見ていいのかどうか分からない」
グリドラーは「まあ、翻訳についての話はまた今度にしよう。今は、ラージュも休もう」と言い、みんな休息することにした。
読んで頂きありがとうございます。
個性が激しい内容になると思いますが、読んで頂けたらと思います。
残り4万文字。今読んでいる本について何か分かるといいな。