1-1-1-52 翻訳者
桜は、ラージュとシャープロが一緒にいるのを見つけた。ステラ、アイニー、モンシュ、グリドラーの四人とも身構えた。
「あれ、2人なんだ。珍しい組み合わせだね」と桜は言った。
「これは、クラス5の俗物共!」とシャープロは言った。
「命の恩人に対して失礼ね」とステラは言った。
アイニーとモンシュは、シャープロを火事の家から救い出したのだが、シャープロは「覚えてないな」と言った。
ラージュは、黙って聞いていた。その目は語っていた。
"まだそんなことにこだわっているのか……"
首を横に振り、「シャープロは、学園から出てきたんだ。これもいい機会だ。そういえば、メリーは?」
桜は「メリーさんは、行方不明になっているの」と答えた。
「あの人はいつもそうなんだよな」
メリーの話を終えると、ラージュは王城での出来事を話した。
最後は言葉が詰まりながら
「現実がどうあれ……俺たちには、俺たちの使命がある。ハジュンを倒さないと……この世界は滅亡する」
みんな泣いていた。
世界の破滅。
"とても悔しかったはず……私だったら見ていられない……ワタルというか、ラージュは頑張ったんだ"とステラは思った。
グリドラーは「ラージュは、法則性の本を覚えているかな」と言った。
「ああ、あの何でも誉める本?」
「あれを翻訳してほしいんだが」
「えっ!?」
「俺はハジュンを……」
ラージュは言葉をとめた。ソリとケイラも泣いていた。
「いや、どういうことか聞いてみようか」