1-1-1-43 ワタルとハジュン (ワタルから見て)
バレバレのスパイ達を用意して、ステラが家に帰ったことを聞いた。
俺はハジュンの女のほうを連れて行った。
いつもは無いはずの髪が生えている。
髪は黒色。
胸がでかい。
おまけに顔は綺麗だ。
魔王というより、綺麗な天使か……。
「テレポート」
俺は魔神の間で、ハジュンと話した。
それはそれとして、俺には聞きたいことがある。
「これからどうなる?」
俺はそれを尋ねた。
ハジュンは考えている。
「それは私が決めることではありません。ワタル、あなたが決めることではないですか?」
「そうだな。 俺は桜やメリー、ステラ達にも嘘を吐いている。それを貫きたい」
「それで、私は神官に伝えました。この世界の人を幸せにするようにと。私はあなたの意思を実現するだけです。それ以外には無い」
他にも何か考えているんだろうか?
それは分からない。
俺の考えた魔王なら最強のはずだ。
そして神官19人を適当な人を捕まえて、用意した。
1人はなぜか裏切ったけど、洗脳した18人は、今もこの世界で信頼を集めている。
王と神官と将軍や兵士と商売人と貴族たち。
「クラス0〜5まで、全ての人間を幸せにするために、ステラをハジュンのものにしろ。それで万事解決だろう」
「はい。それがお望みなら」
「一応聞いておきたいんだが、どうして神官に名前を付けたんだ? No.1とかのほうが良かったんじゃないか?」
「それはですね。信仰の対象にするなら名前があったほうがかっこいいからです」
かっこいいか。
信仰なんてそんなもんだよな。
かっこいいからやってるとか救われたいからやってるとか。
現実も、この世界も同じだ。
洗脳してしまえば、勝てないことはないはずだ。
ステラにだって。
まだステラの強さは分からない。
「まずはデーヴァを当てているけど、どうやって勝つつもりなんだ?」
「私にも分かりません。まだ序章です。楽しみにしておきましょう」
「そうだな」
デーヴァか。
聞いたことあるような無いような名前だけど、ハジュンと関係のありそうな名前ではある。
勝てるといいな。
天王デーヴァの力で。
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俺はその後家へと帰った。
俺は俺自身が物語的な立場だったら、完全に悪役だと思うけど、俺だってステラを助けてあげたい。
ステラは、現実を知ってほしくない。でも、知ろうとしている。
この世界の住人に俺は俺の味わったことを味わってほしくない。だから俺は、ハジュンを信じて、ステラを幸せにしたいと思う。
俺は苦いものを食べたような顔をして泣いていた。
自分の努力とみんなの協力?
そうか……それがステラの信じることなんだ。
俺はその発想は好きだ。
でも、現実は見えてない。
この世界には差別がある。
戦争がある。
生活がある。
そこには絶対的な自由なんてものは存在しない。
自由なことは良いことじゃないと、みんな思っている。
俺がステラを救ってあげるから。
いっそのこと、新世界の神は、ハジュンに任せて、俺はそれを支配する存在でいいんだな。
神を操る人間か。
それこそが良い。
どこまでも影で支配する。
俺はそういうふうにして、みんなを守りたいから。
異世界から来た最強の勇者ワタルが強すぎる異世界の女の子に嫉妬する役にしようと思っていたけど、そういうのは書けそうになかった。
書ける人に任せよう。
書ける文を書く。それでぼくは、ぼくが知っていると思い込んでいる世界でも書いてみるか。




