1-1-1-41 強さの理由
ステラは、家へと帰った。帰り道は何も起こらなかった。
「ふぅー」
安堵の息が漏れる。
家には、アイニーとグリドラーとモンシュがいる。
「おかえり」
「ただいま、やっぱりここは安全だね」
ステラはみんなが無事なことに安堵を覚えた。
「ステラも無事で良かった」
アイニーは、言った。
「でも、監視はされているみたいだ。周囲に15人くらいはいるだろうね」
「厳重だね」
桜も帰ってきた。
「ただいま!」
「桜、おかえり」
ワタルは帰ってこない。
メリーも帰ってこない。
桜は「なんか元気ないね。ご飯食べてる? 夕飯の支度しちゃおう」と言った。
明るく振る舞う桜を見て、みんな笑った。
夕飯はカレーだ。
ご飯を食べ終わると、桜が「ステラ、今日何かあった?」と話し、みんなステラへ視線を向ける。
「どうして?」
「今日1年生の教室にみんなが集まって騒がしかったんだ。ステラなら知っていると思って」
「そうね。今日は朝から色々あって……」
桜はステラが俯いたので、「無理に話さなくても良いよ」と言った。
「どう言ったら良いのか分からなくて。今日、ゴウタミという同級生の女の子が、登校禁止になったの」
「学園にそんなに厳しいルールあったかな……」
桜は考えた。
「理由は同級生の男子が私に魔法をかけてきて、その行為を怒ったの。私を守ろうとして殴ったの」
すると、桜は目を押さえ始めた。
「あれ?私こういうキャラじゃないんだけど……」
「私はクラスの男子2人に監視されることになった。私の行動によっては、殺しても構わないというのがクラス0で出たことなの」
「私、そういうの許せないんだよね」
桜は立ち上がろうとしたが、ステラに手首を握られた。
「ステラ?」
「これは、ゴウタミの命もかかっているかもしれないの。私は彼女のことをあまり知らないけど、きっと殺されかねない。私以外の人は、はっきり言って死にやすい。可哀想なくらい死にやすいし、弱い」
「ステラは強い。実力じゃなくて、真実の力が強い」
桜は目から出る涙を拭いた。
みんな頷いた。
「私が強くなれたのは、お母さんと、ここにいる強いみんなのおかげ」とステラは言った。
桜は「少年漫画的だな。ワタルもこういうのは好きだと思うんだけど……私もワタルもみんなにとっての異世界で変人扱いだったから……」と言った。
「人が強くなるのはここからなんだね。いつも何かを乗り越えようと努力するから強くなれる。強さにも色々あるけど、ステラの強さは見習わないとね」とアイニーは言った。
「努力と協力の世界にしたいな」とステラは言った。
「自分の努力とみんなの協力。それが合わさればきっと乗り越えられるよね」とモンシュは言った。
「人間はそれができるから強い」とグリドラーは言った。
ワタルとメリーもその話を帰宅後に聞いた。
メリーは泣きながら聞いていた。
ワタルは「それが前の世界でできていたら良かったのに……」と苦いものでも食べたような顔をした。
そうして、1日が終わった。
まともな話ができたと思う。現実はそういかないから大変だ。




