1-1-1-4.10年間の努力と一瞬の覚醒
ステラは少しずつ生活にも慣れてきた。
そんなある日のことである。
ステラは人通りの少ない所で歩きながら勇者たちと話している。
「前にも言ったけど、俺たちは別の世界から来たんだ」
「別の世界からですか?」
「そうだ。親はその世界で今も生活しているはずだ」
「そうなんですね。別の世界から来られて、ダンジョンで戦っていて、すごいです」
「あの場所にいたステラもすごいよ」
「母と2人で生活していただけなんです」
ステラは、修行のことは言えなかった。
「えっ?生活!? あそこでお母さんと?」
「そうです…うっ…ひっく!」
ステラは泣いた。
「大丈夫ですよ。落ち着いて!」
メリーが、腰をさすった。
「私も勇者の皆さんのように強くなりたいです」
ワタルがこの世界に来て数年。
「一瞬の覚醒があって、初めて見た世界なだけだから……きっとそうなれるよ」
ステラは、思っていることを口に出さなかった。
"きっと勇者様たちは天才なんだ。一瞬の覚醒と10年の努力と、私だったら一瞬の覚醒がいいなぁ……。でも現実は厳しいなぁ……私は普通の人より努力しないと強くなれない。だからこそ、あの10年を忘れないでいきたい!"
「勇者とか大げさだなとか思うけど、嬉しいし、信頼してくれる人たちを裏切らないでいきたいって思うよ」
ステラは目を輝かせて聞いていた。
メリーはそんなステラを見ていた。
ステラはふと、ワタルと同じ服を着ている子どもが目に入った。
「あの服が今は一般的なんですか?」
メリーは言う。
「ああ、あの子たちは学園の生徒さんたちね。ステラは学園に興味あるかしら?」
「学園ですか?」
「学問を学べるところよ。魔法とか剣を学べたりする」
「本をたくさん読めますか?」
「ええ、読めるわよ」
「もし入れるのであれば、行ってみたいです」
「学園はその時その時で編入もできたりするから、申し込んであげるよ。 保護者は私でいいかな」
「いいんですか!?」
こうして、ステラは学園に入ることになった。