1-1-1-3 3人の勇者様
ここでは、ステラが思ったことを書いていく。
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きっと勇者様たちだろう。
私は、涙を拭き取る。
勇者様たちは、このダンジョンの奥底まで来てくれた。
とても強くて勇敢な人たちだ。どんな人たちなんだろう。
「皆さん!待ってましたー!」
見慣れない服装をした男性。今ではこの服装が一般的なのだろう。女性も似たような格好をしている。もう1人の女性は白装束だ。
「君、名前は? どうしてここにいるの?」
男の人から声をかけられた。
優しそう。
ここに来るまでに、きっと多くの人を救ってきたのだろう。
「私はステラと言います。ずっとここから出られなかったんです」
自己紹介をした。勇者様たちと確信して、距離を詰めていった。やっと救われたんだ。
「あなた、この辺りをうろついて大丈夫だったの?」
白装束の女性は、驚いたようにこちらを見ている。
「入りたくて入ったわけじゃないんです」
母に連れて来られて、10年間……。
「きっと攫われたんだろう。他に誰かいる?」
「ああっ違うんです。いえ、母が……」
「お母さんがいるの?」
「いえ……魔神を倒した後、消えてしまいました」
私が消滅させてしまった。
お母さん……。
「えっ!?……そうだったのか。それで涙が……教えてくれて、ありがとう。それなら今すぐ出よう。転移魔法できるか?」
優しい人だ。
涙を拭く。
「ええ、このダンジョンから早く出ましょうか。テレポート!」
外に出られた。転移なんて、すごい。高度な魔法を使えるんだ。お母さんも使っていたが、私はまだ使えない。
外の空気。懐かしいな。
私はまた泣いてしまった。
「もう大丈夫だよ」
やっと外に出てこれたんだ。
敵を1体も倒せなかったから、無理だと思っていた。
転移魔法を使った見慣れない服を着た綺麗な女の人。
とても優しそうな人だ。
ここは、確か王城だ。
そういえば、まだ私のことを話していなかった。
母を消滅させたことは話せなかったが、ある程度は話せたと思う。
勇者様たちは表彰された。私のことは、あまり広く世間に知れ渡らないように配慮がなされた。
「ステラ、自己紹介がまだだったね。俺は異世界から来たんだ。開道渡っていうんだ。みんなからは、ワタルって呼ばれているよ。高校生って言う職業をしていたんだ。こっちは、蓮華桜。俺と同じ高校生をしていたよ」
「よろしくね」
桜さんと言うんだ。
「桜さん、よろしくお願いします」
「白い服のお姉さんが、メリー。パーティーを組んで1年目くらいかな」
「お姉さんって、恥ずかしいです。もうおばさんですよ。ステラさん、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
みんなと自己紹介をした後、私は勇者様たちの家に住むことになった。