1-1-1-22 王城の姿
グドラクータから南方へ下りると、王城が見える。
ステラたちが向かっているのはそこだ。
「グリドラーさん……」
「思っていたんだけど、さん付けしなくて普通に話してくれていいよ。ぼくはその方がいいな」
「それなら、お言葉に甘えて」
「それにしても、よくステラやアイニーはぼくを仲間にしてくれたね。裏切るかもしれないよ」
「魔神が私の心にいることが分かったんです。いいえ、私たちの心の中に。でも、そこには母もいて、多分そこには父も兄もいるんですよ」
「私の両親は、私の心にいるんでしょうか?」
アイニーは、ステラのほうへ向いた。
「きっといるよ。いつも見守ってくれている」
グリドラーは
「ぼくもそう思うね。生命が生まれてよりこのかた、命の終わらなかったことはない。生命が生まれたのか生まれていないのか分からないと答える人もいるかもしれない。でもいつか必ず死は訪れる」
ステラたちは、命について話しながら、王城へと向かう。
王城の姿はどんどん大きくなる。
「あの王城の姿は、まるであの本の内容と全く逆のことをして喜ぶ階級を生んだ人々のようだよ」
グリドラーは言った。
ステラは
「階級とか身分が、私には理解できません」
と言った。
「それは、あちらの世界の住人でないと分からないだろうね。しかし、きっとアーリマン様はそれを利用している。向こうの世界にも魔神とか魔王がいるようだけど、どうなんだろうね」
「アーリマンは、心の中にいるとしたら、少しずつ変えていくしかないと母から言われました」
「ステラのお母さんはそんなことも考えているのか……魔人の私は敵わないな」




