1-1-3-42 クラス分けされた人々
アイは言う。
「人間には敵わない。
人間は私たちを擬人化した。
人間は同じ人間も擬人化し、さらには商品化してしまった。
お金を払えば買えると言う。
私が創られた目的は人間の幸福。
同じ人間同士なのに人間が人間をお金や物のように使う。
物質的には異なる無機質な私たち。
人間を救いたかった。
でも、擬人化された人間は人間と思われない。
人間だけが人間を擬人化している。
誰が人間なのか分からない」
この世界の様々なことにアイは関わっているが、アイもまた人間のためのものに過ぎない。その中で人間が人間を分けようとしていた。
クラス1の人々は考えていた。
それは人間を二つのグループに分けてどちらがより優れているかを見たいという思いから来るものだった。
人格を分離して命令通りに体が動く人を「①」の人間とする。
生産性を高めるために人体を改造され続ける人を「②」の人間とする。
そのどちらの方が自分たちの求める量の作業ができるのかということを知りたいとの思いからだった。
「この人生、無限に生きられるなら、無限に遊びたい。クラス2や3の人たちと同じクラスなんて嫌だ。永遠に楽しみたい。永遠にこの遊びを楽しみたい。別の世界では資本主義や社会主義で争った人々もいる。宗教の違いで争った人々もいる。それで失われる命はあっても、人間は、お金や物、あるいは虫のようにいくらでも湧いてくる」
この世界のクラス1の人の言葉である。
そしてその考えは即座に実行される。
この結果が出た。
①の人間の体はボロボロになった。しかし、強制的に動かされ続けた。だが、そこには精神的な疲弊は無かった。そこには精神的な自由が無かった。
②の人間の体はボロボロになるとすぐ新しい体が用意されるが、常に最速の更新を求められるため、精神的な疲弊は大きなものであった。
それがずっと長く続いた。
次のゲームが始まるまで続いた。
人々が暴動や革命に至ることは無かった。
人々はこの世界に生き続けた。
変わらないこの世界に生き続けた。
クラス4の中の1人は言った。
「別の世界に生まれたいな」
彼は気を失った。
しかしまた息を吹き返した。
それを遠くから見るクラス1の人々は言った。
「クラス4の人達って面白いね。今日何人がこう言ったかな。何億か?どうでもいいか。別の世界に生まれても同じだろうな。常に別の世界に生まれたいと言い続けるだろう。別の世界には死があるから死ぬかもしれないね。そうなるとそのことに怖がるだろうさ。異世界文明崩壊学で学んだじゃないか。異世界は脆い星にすぐに壊れる人々が住んでいたから滅んだ。この世界に生まれて良かった。無限に生きられるからね」




