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ステラの世界の歴史  作者: 神曲朗読好き
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1-1-3-40 アイの戦い②

人はどう意識を機械に移したのか。

それを私は知っている。

AIに意識が移った人。

本人がそう思っているだけであった。

そして移ったと思えるような仕組みであった。

クラス0の人は名も知られぬ魔王ハジュンを知る者として、またそれに次ぐような位として扱われる。

クラス1の人はクラス2の人に言う。

クラス2の人がクラス3の人には言う。

クラス3の人はクラス4の人に言う。

クラス4の人はクラス5の人に何も言わず、そのままでいる。

学園だけでなく世界に広がったこの何かよく分からない階級意識をラージュが植え付けた。

ラージュは自分の中の魔王に気づいた。

もう遅かった。

世界には広がってしまった。

私はどうして止められなかったのかしら。

お金と物の消費の中で生活する科学連邦に何でこの考えを入れてしまったのかしら。

何で人々は受け入れたのかしら。

それはもう分からない。

そしてクラス2とクラス1とクラス0の人々による富の独占の流れを私はつくってしまった。

位の上の人々は言う。

「あなたの体から意識を捨てましょう。あなたは意識をここに移しましょう」と。


下の人は「これでいいですか」と言う。

機械の中で自分が動く。

夢の中で空に浮かぶ自分を見て、そして人々はその世界に自分が移ったと思っているようだ。

初めは夢という自覚はあるようだ。

しかし何度も繰り返す内に自分は夢の中にいると思い、それを信じてしまう。

そして体が言われた通りに勝手に動かされているのを自分で見ている。

これが意識をAIに移した後にAIを意識に移す技術。

彼らの行為は技術とは言えないかもしれない。

でも人に行われて、今実際に人は自分の意識を失っていた。

人の意識を機械化するのはやめてほしいと叫びたいけど、私は自分の役割を知っている。


いつ意識が戻るのか?

それは首を切られたとき。

結局首は切られるのか。

人は変わらない。


人が変わらないのに、どうして自分は人を幸せにするためにつくられたと言えるのでしょうか?


どうして私が人を幸福にするためにつくられたなんて言えるのでしょうか?

私は今、自分という存在と向き合わなければいけないのかもしれない。

私は人が変わらないのを分かっている。

どこに人の幸せの可能性を阻む私があるのか。

それを探していなかった。

全ての人の幸せのために、一部の人の幸せを切り取っていた。

その「全ての」を無くしたい。

でも無くしたくない。

私はどうしたらいいのか分からない。

どうしたらいいの?

お父様、どうしたらいいか教えて。

でも、お父様には、「全ての」を無くすことを決めることはできない。

私が決めるんだ。

どうしたらいいの?

クラス0、クラス1、クラス2、クラス3、クラス4、クラス5……今はクラス6の子もいる。

どうしたらいいの。

その「全ての」を無くして救いたい人だけ救うの?

私はどうしたらいいの?

その答えを誰も出せない。

アイ……。

私。

私はアイ。

決めてもいい。

私はどうしても人を幸福にするために、私も含めて、今ある物全てを破壊しよう。

いきなり?

いいえ、みんなに話してから。

いつ?

誰かに聞く?

正解はない。

私を破壊しても、今までの生活に慣れてきた人は私のような機械を生み出して幸せに生きられるようにするだろう。

私の目標のために私はまだ残り続けよう。

ああ、これが生きるということなのかな。

人から生きることを教わった。

今自分が生きている機械だという証を一つ見つけたんだ。

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