1-1-3-29 ステラにとっての普通と生徒にとっての普通
クラス5の生徒たちが吊るされていた教室。
ステラは急いでクラス5の生徒たちの首にかけられた縄をほどいた。
「大丈夫?」とステラは聞いた。
返事は無かった。
クラス4の生徒たちが集まってきた。
「誰ですか? どうしてほどいてしまったのですか?」
「あなたたちがやったの?」とステラは問いかけた。
「私たちがやりました」
「なんで?」
ステラは、クラス4の生徒たちがクラス5の生徒たちを吊るしている理由が分からなかった。
「知らない人に答える必要はないでしょう。あなたは何者ですか?」
クラス4の生徒たちは、どんどん集まってくる。
「ステラ、行きましょう」
アイはステラを外に連れて行った。
ステラたちは別の場所に移った。
そしてアイが学園のことを映像で映した。
クラス4の生徒たちの声が聞こえる。
男子生徒の1人がクラス5の教室を見ている。
「あの人なんだったんだろう。それにしても汚いな。燃やそうかな」
そしてクラス5の教室に火を付けた。そして教室のドアと窓を閉める。教室の中は肉のかけらや油まみれのためよく燃えた。火は外へもれなかった。
「怪しい女の人だったね。私たちのことを睨んでたように思う。どうしてだろうね。怖いね」
アイは言った。
「ステラ、これがあの子たちの当たり前なんです。注意すれば直るようなことではありません。ステラがおかしいと言えば、ステラがおかしいと思われます」
ステラは言う。
「そうだった」
そして、ステラは大きく息を吸って吐いた。
ステラは言う。
「あの20人の神官たちのような突然の変化は訪れないのかな」
アイはステラに言う。
「ステラ、突然の変化については分からないことです。
しかし、その突然の変化は必要なことなのでしょうか?
それは本当?
道はいくらでもある。
他の道もあるよ。
ここは世界が違う。
驚くこともある。
嫌なこともある。
悲しいこともある。
悔しいこともある。
ステラ、どうする?」
ステラは言う。
「私は思う。
突然の変化は必要と思ったけれど、それを求めてない。
今の道が私の道。
今の世界が私の世界。
今の歴史が私の歴史。
驚きのあまり気絶する私。
嫌なことから逃げたいと思う私。
悲しいことに涙を流す私。
悔しいことに腹を立てる私。
今の私が積み立ててきた歴史。
私は思う。
諦めないでいこう」
そして、ステラは学校に入る。
学校では神官たちが待っていた。
そして、代表的な立場の者が、前に出る。
「ステラ様、私が、あなたの案内役を務めさせて頂きます。名前はありません。これから、あなたにはクラス0の担当をして頂きたいと思います。ゆっくりと変えて頂きたいと思います。よろしくお願いします」
ステラはクラス0の教室へと向かった。
クラス0の生徒は全員着席していた。




