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ステラの世界の歴史  作者: 神曲朗読好き
188/201

1-1-3-28 ステラ、君は今、何を見ているの?

アイは言う。

「ステラ、あなたは今、何を見ているの?」


ステラは言う。

「まだ何も見えてないわ。

この世界は、すごく長い歴史を持っている。

あっという間に変わった。

そして、簡単に変わらない世界になってしまった。変わらないと思える世界」


アイは言う。

「そうですね。

もうこの世界は、どれくらいの時を経たのでしょうね。

前の世界よりも長い時間が過ぎた。

私たちは、その長い時を過ごしているのは間違いないのです。

ですが、前の世界より、様々なことが変わったというわけではありません」


ステラは言う。

「私は今の自分に問い掛けたい。

ステラ、君は今、何を見ているの?と」


アイは黙っていた。

ステラは言葉を続ける。


「私は今、戦争を見ている。

競争を見ている。

あらゆる事情で無くならない争いを見ている。

この場所で見ている。

私の持っている力は強い。

争っている人を、力による恐怖に陥れることもできる。

でも、それは私にとって、とても苦しいことだ。

私には、無間大城の苦しみも苦しくない。

遊びと同じ。

深呼吸すれば疲れが取れる。

その程度の苦しみだ。

人の生きる力を奪うことは苦しい。

争う力を抜いて、人が苦しむのは私も人も苦しい。

私が苦しむのは嫌だ。

他の人が苦しむのも嫌だ。

今の苦しみは今の苦しみ。

変わらなくて、本当に悲しい。

悔しい。

何でだろうって思う。

この世界はこういう世界。

人々は無限に生きられる。

人々は無限に成長できる。

人々は無限を手に入れた。

それでも足りないもの。

私はそれを見つけたい。

今見ている世界。

それが私から見た今の世界。

そこから目を離さない」


アイは言う。

「ステラ、次はどこへ行きますか?」


ステラは言う。

「次は、どこへ行こうか?

私も迷っているの」


アイは言う。

「そうですね。

この世界は、流れが詰まっているような世界です。

私の、私たちの犯した罪。

死んだような世界。

私で言えば電気が流れない。

人間でいえば血管が詰まって流れない。

長く流れ続けているのに、今も詰まっていそうな世界。

小さなものが積まれている。

溜まっている。

広すぎて分からなかった。

長すぎて分からなかった。

詰まりそうな世界。

そうですね。

ステラ。

私にもどこへ行くのがいいのか分からないです。

詰まったところを治せばいいのか、流れに任せるのか、それは分からなくてすみません」


ステラは言う。

「確かに血の流れのようだ。

そうだよね。

私たち血が流れているんだもんね。

でも、それを気づかなかった。

血が巡っている。

血が循環する世界。


今、この世界を回ると、同じような光景が広がっている。

無限を絵に描き出したような世界。

高い建物。

多くの人。

長い道路。

大きな工場。

広い世界。

無限に欲しがる人の世界。

でも、本当はそうじゃないかもしれないね。

本当に血の流れなのかもね。

そしたら、この世界は、この血管はすごいね。

大事にしたいな。

詰まっている場所。

詰まっていない場所。

1人でも変えていこう。

1人から変えていこう。

子どもたちは変われる。

昔、変わったように。

人を貴賤に分ける意識を持っていなかった頃。

人を貴賤に分けるようにした頃。

変われる。

少しずつでも、変われる。

血の流れをよくするのに、最初はすぐに終わると思った。

それも忘れない。

血の流れはすぐには変わらない。

少しずつ変えていこう。

血の流れを少しずつ」


そして、ステラとアイは学園に戻った。

ステラは言った。

「どうして!? どうして!? どうしてクラス5の生徒たちが教室で首を吊るされているの!?」

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