1-1-3-23 アイニーとシャープロについて書きたかったこと。
まずアイニーについて書いていく。
時は流れる。アイニーも自分が何歳か分からないほど長く生きている。あまり成長はしておらず、8歳の子どものような姿であった。
「他化自在誓願会」が終わり、アイニーは地上を見ていた。
地上は戦争の最中であった。
核兵器による都市破壊が行われる前。
アイニーは、そこへ向かい、ステラたちを離れさせた。
都市の全ての人々を助けることはできなかった。
そこには、シャープロもいた。
アイニーはシャープロを回復させた。
シャープロは「ああ、また助けられたのか……」と言った。
「また助けました」
アイニーは淡々と述べた。
シャープロは「なぜお前を殴った私を助けるんだ?」と聞いた。
アイニーは「宝を守るためです。でも、全部は守りきれなかった」と言った。
シャープロは言う。
「宝か。全部無くなってしまったなあ……。私もあの都市で働いていたのに、全部失ってしまった」
アイニーは言う。
「シャープロ。この世界で何歳まで生きているかはわかりませんが、死なないことなんてあり得ないんですよ。忘れないでください」
シャープロは言う。
「いや、人が死なない世界じゃないか。死ぬなんて……どうだろうね。想像もできないし、私には分からないよ」
アイニーは言う。
「……まあ、いいわ。お腹が空きました。ご飯を食べましょう」
そしてアイニーは動き出した。
シャープロは「私まで食わせることは無かろう」と言った。
アイニーは言う。
「宝を守るためです。さあ、食べてください。お粥です」
シャープロは言う。
「だから、全てを失ったんだ。財産を、何もかも失った。生きていても意味がない」
アイニーは言う。
「シャープロ先生! 死ぬことになったとして、先生は恐怖するでしょうが!」
シャープロは言う。
「今は死なないじゃないか」
アイニーは言う。
「いいから食べてください。先生の命を守りたいんです!」
シャープロは言う。
「何のために私を助けるのだ。考え方が根本的に異なる。私はお前の命を大切には思ってないんだ。なぜ、そんな私の命を守りたいと思うんだ」
アイニーは言う。
「いつもいつも変わらないんですね。あなたはそうだったのかもしれません。私はちょっと離れます。ご飯を食べていてください」
そしてアイニーは飛び立ち、離れていった。
シャープロは言う。
「また1人か……」
シャープロはご飯を食べ始めた。
空高い場所。
アイニーは言う。
「いいえ、1人にはしない」
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誰も1人にはしない。
アイニーはそう誓っている。
アイニーは1人呟いた。
「シャープロが自分を宝だと思うのはいつなんだろう。
でも、それはシャープロにとって良いことだろうか?……私が気づかせたかったこと……。それは良いことだと信じていきたいな」




