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178/201

1-1-3-19 光の中で

工場の中。

多くの人の体が形作られている場所がある。

首を飛ばされた人々である。


彼らは、脳の一部を改造したり、体の能力を強化されたりしている。

そしてまた、何百何千何万何億という年数を過ごすのである。


この地上の人類の命は尽きない。

ただ、生産性の低い人間と評価されれば、生産性を上げて出されるのである。その循環の中に人は生きていた。


桜は言う。

「私たちの世界でもあったかもしれない施設」


ステラは言う。

「ここに何か来るわ」


アイニーが来たのであった。

「早く逃げて!」


桜は言う。

「何かあったの?」


アイニーは言う。

「テレポートをして遠くへ逃げて!」


桜は言う。

「分かったわ。テレポート」


それから数分後。

巨大な煙に工場は包まれた。都市丸ごと包まれてしまった。

そして、煙が無くなると、大きな都市が焼け跡になっていた。


ステラは言う。

「アイニー、ありがとう」


桜は泣き崩れた。

「また、こんなことして……」


アイニーは言う。

「ずっと地上を見ていたの。その間に人は何回も何回も滅ぼしあっていたわ。自分たちのために相手を破壊することを厭わないのが、あの世界から変わっていないみたい」


桜は言う。

「みんな死なないならもう戦争なんてしなくていいと思うけど……」


そこにハジュンが現れる。

「やあやあ、久しぶりだね」


ステラは言う。

「ハジュン!?」


ハジュンは言う。

「そうだよ。しばらく隠れていてね。私もじっと見させてもらったよ。君たちは学園で地上を見ていたんだろう」


ステラは言う。

「戦争の無い世界はできないのかしら」


ハジュンは言う。

「不思議なことにそれは無理だろう。私は召喚されたハジュンだが、あの誓願会で無数の命が誓っただろう。あの誓いこそ、ハジュンではないかな?」


ステラは言う。

「そうね。あなたはそれを勧めただけ。誓ったのは私たちなんだよね」


ハジュンは言う。

「私にも少し哀れむ心があるらしい。まあ、それが本心だからね」


ステラは言う。

「そうだったんだ」 


ハジュンは言う。

「私はあくまで召喚された存在だから目に見える。私もそうだが、目に見えないハジュンは、人が気づかないことを喜ぶだろう。あの世界を滅ぼしても人は分からないのだ。自分の責任にはしない」  


桜は言う。

「元の世界に戻っても、戦争はどこかで起こるでしょうね」


ステラは言う。

「自分たちの手で殺した命に対して、誰も何も思わない人がたくさんいる」


ハジュンは言う。

「なぜだろうね」


桜は言う。

「都市が一つ無くなったのに、何もできないなんて」

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