1-1-3-17 街
皇帝ケツチュウのいる城。皇帝の座の前には大臣が3人横に並んだ。
「おや、どうしたんだ?」
ケツチュウは1人の大臣に言う。
1番右の大臣・西望は言う。
「もう何年も前から国の財政が燃えているのでございます」
「仕方がないだろう。どの国を回ろうと、どの時代を巡ろうと、私たちには解決できない問題だ。お金と人の関係は、そう言うものだと諦めている」
ケツチュウは言う。
「私は嘆かわしく思うのでございます。財政の赤字が解決できず、申し訳ございません」
大臣は言った。
2番目に右に立つ大臣・勝は言う。
「もう何年も食糧が足りません。不足する一方です。人の肉は人に合わないため、誰も食べようとしません。無理矢理食べさせていた時代もありましたが、追いつきません。誰も死にませんし、どうすればいいか分からないです」
ケツチュウは言う。
「食糧の問題もそうだ。いつも解決しなかった。どうも人間というのは食に対して貪欲らしい。私も肉を食っているから変わらないがな」
3人目の大臣・義は言う。
「もう何年も兵が不足し、お金も足りません。何とかならないでしょうか?」
ケツチュウは言う。
「人は増えるばかりでも、兵にはならない。兵士になると、いつも光によって焼き尽くされる。それに兵を出せば財政が逼迫する。私たちはこのように生きる以外にないようだ」
義は言う。
「私たちの国は、侵略されそうです」
ケツチュウは言う。
「それなら、またあの光で終わらせれば良い」
3人の大臣は退場した。
場所は変わる。
山がそびえる場所、広大な砂漠。
ステラたちはその場所にいた。
そこに兵士たちがきた。
兵士は言う。
「君たち止まりなさい。どこの国のものなんだ?」
「私たちは……」
ステラは言葉に詰まった。
ビンサール王国と言えば、疑われるか、跪かれるかもしれない。それはステラにとって心地の悪い光景であった。
言い淀んでいたら、兵士は言った。
「また不法入国者か。捕まえる!」
ステラは、みんなを見た。
みんな頷いていた。
険しい山が聳える土地。
険しい山には車が通れるように整備された道がある。
その道の先に、白い壁のある街が見える。
街の中までは壁に覆われているために見えなかった。
ステラたちは車に乗る。
移動には15分ほどかかった。
ステラたちなら移動に10秒もかからない。
兵士たちに合わせたのであった。
兵士の1人が愚痴を言う。
「また不法入国者ですね。いったい何を思ってこの国に入るんだか」
「仕方ないだろう。俺たちだってやっているだろう。国民の国外逃亡の手助けを。要は人が多すぎるんだよ。人の肉はまずいのに、人はどんどん増えていく。この星はどうなるんだろうなって事態なんだよ」
「昔、ドラマか夢だったかで見たことがありますね。地球の人口が70億やら80億になった時、人間は何も変わらず生活していたって。その時のドラマは、途中で電車の映像が出てきて、真っ赤になって終わりましたね」
「俺も似たようなドラマだったか、夢だったかで見たことあるな。俺が見たのは、確か、みんなで笑い合ってたな。酒の飲み過ぎだと思ったけど、寝たのかな。途中で真っ暗になって終わったよ」
「それ、先輩の前世なんじゃないですか? 酒の飲み過ぎで死んだとか」
「あはは、前世の人生って。それじゃあ、お前は、どうなんだ」
「それもそうですね。いつ終わるんでしょうね。夢のように終わりのある人生なら良かったのに」
ステラたちは黙って聞いていた。
街の中を車はまっすぐ進む。
入国者の管理局がそこにあった。
大量の人が並んでいる。
「そこに並べ!」
ステラたちは、大量の人の並ぶ列に向かう。
そこに人が首を切られる光景が見えた。




