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1-1-3-16 それぞれの道

ステラたちはかつてハクマイ村長であった覚えのある石の前にいる。


ラージュは言った。

「あなただけがかつて死があったことを教えてくれる」


かつてハクマイ村長であった覚えのある石は言う。

「さてラージュ、忘れてはいけないことがあるよ。翻訳のことだ。どうかこの世界で果たしてほしい。私たちに米の作り方を教えてくれたように」


ラージュは言う。

「分かった。ここに神官だった神官たちもいる。彼らと協力して、翻訳を完成させるよ」


石は言う。

「待っているよ。またこの世界に生まれてきて、人になった時には、その翻訳を読むことがあるだろうからね。コーカイによって、無数のあらゆる生命が、水を求めている。命は終わらない。命は終わらないんだ」


 コーカイは言う。

「太陽を2つにして、あらゆる世界の命を私の思っている〝仏〟にしました。

それは1つの固定されたものでは無いのに。

しかしまとまってしまった。

また太陽を2つにすることで、乾燥した体になった。

それを私は成仏した姿とした。

乾燥した体に果たして命があると言えるだろうかと考えることはない。

水も、食べ物も我慢した人々のその姿が仏であった。

命はそこにあると思っている。

それは誰からも崇められる人々も同様である。

その姿こそ崇められる。

仏の対象は、食料を与えられず、水を与えられず、ただ渇くままに死んでいった子どもたちも同様であった。

これが私の仏であった。

それは私にとって人の思考を超越した世界であった。

仏とは思考によって捉えられるものではなかった。

私は思考を超越した世界を求めた。

あらゆる星、あらゆる世界で太陽を2つにした。

人々の渇いた体から発せられる声に耳を傾けることはなかった。

それは思考を超越したものではない。

思考が肉体を超えることは無いことは分かるが、肉体が思考を超えるものでもない。

だが、それでもまだ命について分かっていなかった。

命は脳のみで生きるのではない。

肉体のみによって命はない。

精神のみによって命はない。

魂のみによって命はない。

つまり、乾き切った肉体に命はない。

自ら命を絶った死体の身に神性を信じた。

これが私なのです」


石は言う。

「曼荼羅の中に入った命は今どうしているんだろう」


コーカイは言う。

「私は曼荼羅を失いました。

もう分かりません」


石は言う。

「そうだったのか……。それなら一旦置いておこう。今、解決できるものから一つずつ解決していってほしいからね。ラージュ、翻訳を楽しみにしているよ」


「楽しみにしてくれ」とラージュは言う。

そうして、石は静かになった。


目の前にはかつて魔物の山と呼ばれた山・グドラクータがある。


「ステラ、俺はあそこに行くよ。本の翻訳をするんだ。みんな手伝ってくれるかな」

とラージュは言う。


フーコンゼンは言う。

「私たちで良ければ謹んで協力致します」


ラージュは言う。

「ステラ。

君なら世界の戦争なんてすぐに終わらせられるだろう。

強い力を持ってしまうと、大人たちは責任の押し付け合いとも言える不毛な争いを始めてしまう。この世界ではその流れを断ち切ることができる。俺たちは断ち切らないといけないんだ。それに、人を不幸にしないと気が済まないような宣言を受け入れた自分自身と向き合っていかないといけない。俺も少しは貢献したいんだ。また会おう」


ステラは言う。

「うん。ありがとう。私もなんとかしたい。ラージュ、頑張ってね」


ラージュはグドラクータの中へと入っていった。


ステラは言う。

「私は、この世界を広げよう」

ステラはラージュや18人の神官たちと別れた。

次に、どこへ向かうのかは分からない。

それでも、ステラたちは道を進むことにした。

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