1-1-1-17 竜の子
あらゆる世界の宝より尊貴な宝を瞬時に手に出した、竜の娘を表現したい。
ステラは母のことを思い出していた。
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ステラの母は、ダンジョンでスライムを育てていた。それは修行のためだった。
「水に乗る。これは不可能。木の板があれば、泳げる。水を怖がらないで、進みなさい。スライムは飛ばした水によって、人を水にするの。なぜ人は水になるか?それは水によって人は生きるからよ」
「水?」
それから3ヶ月。
「スライムの水圧は約1万気圧よ。よく耐えたわね」
「お母さんが私の体を鍛えてくれたからだよ」
最初は左の人差し指の先端が無くなった。その指は、母が再生した。
次はさらに深くいった。
ステラは懸命な努力により、300日ほどでスライムの中でスライムの水だけで1ヶ月半過ごすことができるようになった。
息継ぎを限りなく無くし、スライムの中で空気を吸う。これをステラは体得したのである。
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「水が軽い!」
ステラは水の中を歩いた。
すると、水中に神殿がある。
外からは見えなかったが、その姿は、学園の建物とは異なり、中が透けてみえる。
そこには、竜と人間の混じった姿をした女の子がいる。
水の中で話をする方法は無い。
ステラは、少しずつ近づいていった。
女の子は、ステラに直接頭の中に語りかけるように話をした。
「私は、アイニー。竜と人間の間に生まれたの。今は5歳。私のお父さん、さっきの竜の餌食になったの。そしてお母さんも。ここは私の家で、あの竜が私たちの力を利用しようとしていたの。止めてくれたのはあなたなの?」
「私ではないけど、仲間が倒してくれたの。あなたはここから出られるかしら?」
「ええ、出られるわ。もうこの家はもたないかもしれない。一緒に私の家を探してくれないかしら。私、何でもするわ」
「そんな簡単に信用しちゃダメ。私はあなたを売り物にするかもしれないのよ」
「私とお話しできるんだもの。信用して当然だわ。私の会話は、通常の人間なら頭が爆発するわ。あなたは平気そうだし、会話もできてる。不思議な人なの」
「そうだったの。私はてっきり、誰でも大丈夫かと思っていたわ」
「いつも、大丈夫なら良いんだけど、人間の世界に力を及ぼすのが怖いの。早くここから引っ越して、新しい住処を見つけたいわ」
「良いよ。私も行くよ。私はステラ。アイニー、よろしくね」
「よろしく。ステラ」
ステラはアイニーと水中から出た。




